「星雲仮面マシンマン」は、1984年1月から9月まで放送した全36話(本編35話+総集編1話)の特撮ドラマである。
その昔プレイしたPSソフト「スーパーヒーロー作戦 ダイダルの野望」に登場したことで知ったスーパーヒーローである。
唇が出ているスーツデザイン、プロフェッサーKのおかしなキャラ設定など、ゲームの中だけでもけっこうなインパクトがあったと記憶している。
秋の夜長にふとマシンマンのことを思い出したので「よし!じゃあ全話見よう」ということになった。私は行動力の怪物という異名を持っている。
というわけで、だいたい10日間で全話視聴した。
その感想を殴り書きしたい。
アイビー星の青年ニックは、大学の惑星レポートを完成させるために相棒のボールボーイ(硬式野球ボールの見た目のチビなロボ)と共に地球にやって来る。
当初は一週間の滞在予定だったけど、子供が嫌いで子供に悪さをするプロフェッサーK率いる悪の組織「テンタクル」を討伐するために地球に残って戦うことになる。地球で出会った女性新聞カメラマンの葉山真紀の用心棒の役目も一緒に行う。
ニックは地球で高瀬健と名乗り、スーパーヒーローマシンマンに変身して悪者をやっつける。
ざっくりこういう流れのお話。
ちなみにマシンマンと命名したのはヒロインの葉山真紀。スーパーマシンに乗って自分のピンチに駆けつけたからというのが理由。
マシンマンは異星人の大学生という設定だった。最初はお気楽気分で一週間の修学旅行みたいな感じだったのに、一週間をずっと過ぎて地球に残る。
マシンマンのヘルメットは「ライダーマン」のように唇部分が出ている。武器のレーザーサーベルを使うと目が光るのは「宇宙刑事」シリーズのよう。
仮面ライダーと宇宙刑事の2つの要素を取り入れた東映ヒット作の美味しいどころ取りになっている(はず)。
マシンマンの乗ってきた宇宙船「スペースコロニー」は湖の奥底に隠されている。高瀬健はそこで寝泊まりしている。
第一話では、高瀬健がスペースコロニーから湖の上に降りて水上を歩くシーンがある。もちろん合成シーンで、今となっては粗い作りからもしれない。しかし、一話のこのシーンの合成は当時としてはかなり頑張っているのではないか、という印象的なものだった。
高瀬健は基本はメガネをかけていて、本当に大学生っぽい感じの見た目。なかなか男前である。
地球での移動時にはスズキのかなり良いバイクに乗っている。バイクは素人の私でも「なんか高そう」と想うものだった。バイクに乗っているくせして一話の段階では信号のルールが分かっていない。赤ではストップというのをここで初めて学ぶことになる。これには「こいつ、あぶねえ」と思った。無免ライダーなのかもしれない。
変身後にはもっとすごいスーパーマシンの「マシンドルフィン」に乗り込む。このドルフィンだが、なかなか奇抜な設計になっている。ドルフィンは基本は車、ジェットに変形して空中移動も可能である。陸も空もいけるからすごすぎる。
で、なにが奇抜かと言うと乗り込むスタイルである。普通なら車でもジェットでも中に椅子があり、それに座って肉眼で前方を見るはず。しかしドルフィンはというと、うつ伏せ状態で乗り込み、首を前に向けるスペースもない。操縦者は下を向いたまま外が見えない。それでも首の上に手を伸ばしてハンドルを扱っている。
「これ、絶対に前見てないじゃん……」と想うのが普通。
しかし、そこらへんの謎は番組内でしっかり解明している。
放送中盤からマシンマンでは、視聴者が投稿したはがきに書かれた質問を読み上げるようになった。別途にそのコーナーを設けるのではなく、マシンマンが事件解決した後の本編の尻の方で急にはがきを読み上げる。
そこには当然「ドルフィンの運転の時に前って見えてるの?」というお便りが届く。そこでドライバーの高瀬健自らが「床に前方が見えるモニターがついているから大丈夫」と答えている。なら安心だ。
おまけに「ドルフィンの中って狭くないの?」というお便りも届く。「体に合わせてしっかり設計しているからそれはない」と高瀬健が答えるが、それについては「いや、それでも狭いっしょ?」と突っ込んでしまった。
とにかくこのドルフィンが奇抜で印象深かった。この作品の好きな点であり、一番の特徴がこのドルフィンだと想う。
ちなみに私のお兄ちゃんは、この運転スタイルが必要なドルフィンを見て笑っていた。
基本的にマシンマンへの変身時には「ドルフィ~ン」と叫んでドルフィンを呼び、ドルフィンの中で変身することになる。別にドルフィン無しでも変身は可。ちなみに変身時には高瀬健が普段からかけているメガネをはずす。はずすとまたこれはこれで別口な男前である。
相棒の小型ロボットのボールボーイが愛らしかった。ボールボーイの声は、特撮界では悪い女で知られている曽我町子だった。懐かしいけどいつ聴いても耳に馴染む声。
やはり攻撃方法は、マシンマンが敵に投げて使うというものだった。野球ボールなら「まぁそうなるわなぁ」という展開。
悪の組織は前半はプロフェッサーKの率いる「テンタクル」が、後半からはプロフェッサーKの姪っ子のレディーMが率いる「オクトパス」の2つが登場する。
ここの家計がそうなのか、どちらのボスも大変子供嫌いである。プロフェッサーKは子供に近寄るとアレルギーでくしゃみが止まらなくなり、レディーMは鼻の頭が赤くなる。このように敵のボスにだいぶコミカルな要素が用意されている。マシンマンの物語展開もかなりコミカルで特撮ものの中ではかなり子供向けな感じになっている。
レディーMに関してだが、彼女は後半になるとスペインから日本にやって来る。日本に来てから鼻が赤くなるアレルギーに気づいたように思える。「じゃあスペイン時代なら大丈夫だったんだ」と思った。KとMが共に嫌うのは「日本」の子供に限定されるのかもしれない。
プロフェッサーKは意地悪ジジイで、子供が泣いていると安心し、枯れ木をみると落ち着くという。なかなか破滅寄りな趣味だと想う。
普段は家に籠もって画を書いている。孤高の芸術家ぽい。Kを演じた高身長の俳優 天本英世がジジイの役なのに若い側近よりもデカイのが特徴的。天本英世は「仮面ライダー」「ガンバロン」でも悪役で登場するので悪役イメージが強い。しかし顔は整っている。
プロフェッサーKが行う子供への嫌がらせは様々あるが、第一話では「子供から教育を奪う」という作戦が展開された。学校の教科書が真っ白になって勉強ができなくなるという子供的にはむしろ嬉しいかもしれない作戦だった。
プロフェッサーKは、マシンマンに自分のアンドロイドを何体も倒されたことで落ち込み、中盤からスペイン傷心旅行に出る。その間にバトンタッチで姪っ子のレディーMが日本に来る。そして後半ではプロフェッサーKも日本に帰って連合軍でマシンマンと戦う。
テンタクルもオクトパスも基本のアンドロイド戦士は同じモデルの使いまわしで腕につける武器と名前をかえて同じようなのが出てくる。つけているパーツで前部分は変わるが全部「~男」という名前。
最後にマシンマンが敵基地にいるKとMを追い詰めた時、「お前の剣のサビにはならない」「自分たちは自然に帰る」と言ってボス二人は転送装置で姿を消す。
なんだろうか、自滅したのか、それとも逃げたのか。最後に意味深な言葉を残して退場したのでそれまでコミカルテイストできたけどこの部分はちょっと不気味だった。
悪者共の討伐、大学のレポート、これらと並列してもうひとつ展開する高瀬健の物語が、地球で出会ったヒロイン葉山真紀との恋物語である。時々は真紀に片思いする野菜配達の亀ちゃんの邪魔が入ったりもするが、結局二人は愛し合っている。
最終回では、大学から「そろそろ帰ってこないと落第にする」という通知が届く。マシンマンはいつか帰るという内容の書き置きを真紀に残して母星へと帰っていく。その後は描かれないものの、きっと地球に帰って真紀と一緒になったのだと私達少年は予想するのである。良い話だった。
おまけ話で、この作品がしっかり古いものだと分かった点をあげておこう。
悪党共が金の引き渡しをするシーンなどをはじめ、金が出てくるシーンがいくつかあった。そこで映る紙幣が「聖徳太子の一万円」「伊藤博文の千円」なのでやはり古いと思えた。
劇中でおそらく3回、わらべの「もしも明日が…。」が流れている。83年12月発売のヒットナンバーということで翌年放送のこの作品でも流れたようだ。懐かしのヒット曲も聴けてなんか良かった。
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