こしのり本
「ヴェニスに死す」はトーマス・マンによる中編小説。 タイトルのヴェニスは、ヒーリングアニメ「ARIA」の舞台モデルになったところだな。ARIAのようにこちらの小説にもゴンドラが出てくる。 読みやすい良い感じの長さである。しかし、それは長さだけの話で…
最近はすっかり涼しくなり、本を読むにはもってこいの秋の夜長が楽しめるようになった。そんな読書好きにはウェルカムな時期になったのに私生活が色々と忙しい。腰を据えて落ち着いて本読みが出来ないことにはストレスを感じる。 音楽を聴く、動画を見るとい…
「オペラ座の怪人」はガストン・ルルー作の長編小説である。 過去に愛読した「虚無への供物」という名作(であり迷作)の中で、登場人物の会話にガストン・ルルー作の「黄色い部屋の秘密」のタイトル名が出てくる。この作品をヒットさせた作家として記憶して…
「ロビンソン・クルーソー」はダニエル・デフォー作の長編小説。 主人公の本名はロビンソン・クロイツナエル。これのイギリス訛りがロビンソン・クルーソーの発音になる。 ロビンソン・クルーソーと言えば、無人島でサバイバルライフを送る逞しい男のお話で…
「二都物語」はチャールズ・ディケンズの長編小説。 ディケンズ作品といえば、その昔「大いなる遺産」にはまって読み込んだことがある。あれ以来久しぶりに読む同氏による作品となった。 1700年代後半のフランスのパリ、イギリスのロンドンの二箇所を主な舞…
エドガー・アラン・ポー作の短編「アッシャー家の崩壊」と「黄金虫」を読んだ。 大きくなって落ち着きを得た最近の私は、長編をじっくり読むのを好むようになったが、サクッと読めてなおかつ中身が濃厚なものは忙しい日々の中で楽しむには打って付け。最近色…
「ねじの回転」は1898年に発表されたヘンリー・ジェイムズ作の中編小説。 両親を亡くし、英国エセックスにある伯父の屋敷で暮らす二人の幼い兄妹がいる。主人公女性「わたし」は二人の家庭教師として屋敷に住むことになる。その屋敷には幼い兄妹を狙うとされ…
「消しゴム」は作家ロブ・グリエによる長編小説。 その当時、フランス文学界に新しい風を吹かせた作品群を「ヌーヴォー・ロマン」と言い、この「消しゴム」という作品はその内でも代表的な作品とのこと。 秘密捜査官ヴァラスがとある殺人事件を追うのだが、…
「星の王子さま」はフランスの作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作の小説。 1943年に出版され、今日でも世界中のあちこちで読まれているロングセラー作品である。聖書の次くらいにたくさん読まれていると言われる有名作品だが、その聖書に私はまった…
「マノン・レスコー」はフランスの作家アベ・プレヴォーの長編小説。1731年に発表された。 過去に読んだ何かの本にこれのタイトルが登場したことがあった。よその作家も口にし筆にしたこの作品の名前だけは覚えていて、知っていた。というわけで読んでみたら…
「サロメ」はオスカー・ワイルド作の戯曲。1981年、フランスで発表された。 サロメといえば思い出すのが「バトルフィーバーJ」に出てくる敵の女幹部。女レスラーのマキ上田が扮するかなりインパクトに残るキャラだったな。そんなことを思い出しながら手にと…
「武器よさらば」はアーネスト・ヘミングウェイ作の長編小説。 第一次世界大戦の時代に燃え上がった男女の恋を描いている。 内容 主人公青年フレデリック・ヘンリーは負傷兵運搬の任務でイタリア戦線に参加している。彼は看護婦のキャサリン・バークリと出会…
「エマ」はジェーン・オースティン作の長編小説。1814年に発表された作品である。岩波文庫の上下巻を読んだが確かに長かった。忙しい生活の合間を縫って上下二冊を読むのに約一ヶ月かかった。ジェーン・オースティンの作品ならかなり前に「高慢と偏見」とい…
フランスの小説家ジッド作「狭き門」を読んだ。 昨今の小説というか、ラノベというのを見ると、大体こういう話ですっていう内容がそのままタイトルになっているパターンが多く見られる。あれは長ったらしいタイトル明記がダサかったり、バカっぽかったりもす…
「オンディーヌ」は1939年にフランスの作家ジャン・ジロドゥによって書かれた戯曲。 先に世に出たドイツ作家フーケの作品「ウンディーネ」を下敷きにした作品である。 「ウンディーネ」をフランス的に言うと「オンディーヌ」らしい。 内容 遍歴の騎士ハンス…
「ひとさらい」は1926年に刊行されたフランス人作家ジュール・シュペルヴィエルによる小説。 妻がいても子供が出来ないビグア大佐は、子供を欲しく思っていた。そんな彼は捨て子や、人から譲り受けた子、さらには誘拐までして子供を我が家に集める。こうして…
「知られざる傑作」は1831年に発表されたバルザックの短編小説。 タイトルがすごい格好良いと想って手に取った。 図書館には昭和27年に入荷したと記載される古いものしか無かった。一昔前の表紙がついていない岩波書店の文庫本だった。全く飾らない地味でレ…
トーマス・マン作の二編の中編小説を読んだ。 「だまされた女」は1953年、「すげかえられた首」は1940年に発行された。 二作共に男女の愛欲、肉欲をディープに掘っている。ライトな読み物ではない。 ・だまされた女 「だまされた女」では初老の未亡人テュム…
「ヒューマン・コメディ」は1943年に発表されたウィリアム・サローヤンによる小説。 物語の舞台は第二次世界大戦下のカリフォルニア州イサカという田舎。そこで電報配達をしているホーマー・マコーリー少年の青春が描かれる。 父を亡くし、兄が戦争の兵隊に…
「愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える」は1972に出版されたジャン=パトリック マンシェットによる小説。 作者マンシェットは、ランボー作「地獄の季節」作中のセリフからヒントを得て、このタイトルに決めたとか。 「愚者~」よりも先に訳され…
「にんじん」は1894年に出版されたジュール・ルナールの小説である。 主人公少年は、赤茶けた髪とそばかす顔の二つの特徴から「にんじん」とあだ名されている。 そんなにんじんは家族からもあだ名で呼ばれ、不当な扱いを受けている。 彼の母ルピック夫人はか…
「鏡の国のアリス」は1871年に発表されたルイス・キャロル作の児童小説。 「不思議の国のアリス」の続編である。 前作と共通して主人公少女アリスが摩訶不思議な世界を冒険する物語である。 作者のルイス・キャロルは、知り合いの幼女アリス・リデルに面白い…
汚れなきあの日(ティーンエイジ)の心に帰ってみたい。そう想った私は、1865年に発刊されたルイス・キャロルの代表作「不思議の国のアリス」を手に取り、この秋の夜長を楽しむことにした。 昨今の色んなアニメを見ても、この作品の名前が出たりパロネタにな…
「蓼喰ふ虫」は谷崎潤一郎の書いた小説。 1928年12月~1929年6月まで新聞連載された作品である。 谷崎文学らしくテーマは男と女のラブについて、この作品でも男女愛の奥の深さ、同時に面倒臭さを解いている。これだから人は恋愛をせずにはいられない。 内容 …
「復活」はロシアの文豪トルストイによって書かれた長編小説である。 1899年から雑誌連載された。ノストラダムスの大予言がどうのこうのと騒いでいた時より100年も前に書かれていた物語と想うと、クソ古いとしか言えない。 内容 主人公青年のドミートリイ・…
変身にまつわるローマ神話が約250作収められた作品、それが「変身物語」である。 古代ローマの詩人オウィディウス作。 変身ヒーローが好きなので「変身」の言葉に釣られて読んでみた。 短編がたくさん入ってるので寝る前にちょこっと読むのに良い。 この夏は…
作家セルバンテスによって書かれた「ドン・キホーテ(後篇)」を読んだ。 この後篇は前篇から約10年経ってから発表されたという。すごい長い物語だけにその構想を固めるにもまた時間がかかったと見える。 後篇でもドン・キホーテの狂人めいた様を拝めること…
「ドン・キホーテ」はスペインの作家セルバンテスが描いたとんでもなく長い冒険もの小説である。 「ドン・キホーテ」なんていう激安ショップがあるが、小説の「ドン・キホーテ」を知る奴は一体何人いるのだろうか。 この物語は前篇だけで文庫本3冊分、後篇も…
フローベール作「ボヴァリー夫人」を読んだ。 不倫、浮気を取り扱いながらも、滑らかな文体と卓越したワードセンスによって文学作品として高い地位を得ている作品である。 二十才は越えていないと、忍耐的に読めないであろうと想った。 かなりの長編である。…
シェイクスピアが単独で手掛けた最後の作品、それが本作「テンペスト」である。 「テンペスト」は嵐を意味し、ストーリーは船が嵐に襲われたことから始まる。 シェイクスピアの人生も嵐のように騒がしくもあっという間に過ぎ去ってしまったものなのかもしれ…