こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

こしのり本

アホすぎる冒険がとても面白い「ドン・キホーテ(前篇)」

「ドン・キホーテ」はスペインの作家セルバンテスが描いたとんでもなく長い冒険もの小説である。 「ドン・キホーテ」なんていう激安ショップがあるが、小説の「ドン・キホーテ」を知る奴は一体何人いるのだろうか。 この物語は前篇だけで文庫本3冊分、後篇も…

姦通事件から破滅へ「ボヴァリー夫人」

フローベール作「ボヴァリー夫人」を読んだ。 不倫、浮気を取り扱いながらも、滑らかな文体と卓越したワードセンスによって文学作品として高い地位を得ている作品である。 二十才は越えていないと、忍耐的に読めないであろうと想った。 かなりの長編である。…

流されて魔法使いになった王様「テンペスト」

シェイクスピアが単独で手掛けた最後の作品、それが本作「テンペスト」である。 「テンペスト」は嵐を意味し、ストーリーは船が嵐に襲われたことから始まる。 シェイクスピアの人生も嵐のように騒がしくもあっという間に過ぎ去ってしまったものなのかもしれ…

華麗なる復讐「モンテ・クリスト伯」

アレクサンドル・デュマ作の長編小説「モンテ・クリスト伯」を読んだ。フランスの本だけど、これの日本版ドラマが現在放送中らしい。一話も見ていないけど。 我々の世代には「岩窟王」のタイトルの方が親しみがある。10年以上前にこれのアニメが放送していた…

人生をまっすぐ歩む素敵なヒロイン「ジェイン・エア」

シャーロット・ブロンテ作の長編小説「ジェイン・エア」を読んだ。上下2巻に分かれた長い話だった。 内容 ジェインの子供時代から十代後半までの人生を、ジェイン自らが語る一人称視点の物語である。 物語冒頭では幼い頃に両親を亡くしたジェインは伯母のリ…

「赤と黒」けしからんが魅力的な青年の心理を描く大作

スタンダール作の長編小説「赤と黒」を読んだ。上下二巻に分かれ、とにかく長いお話だった。 七月革命を挟んで執筆された1830年代のお話で、実際に起こった事件や実在した人物をモデルにしたキャラを取り入れた大作となっている。 ナポレオンが倒されてから…

理想郷を見た「失われた地平線」

ジェイムズ・ヒルトン作「失われた地平線」を読んだ。理想郷を意味する良く聞く言葉「シャングリ・ラ」の出典元はこの作品であるらしい。 偶然にも謎の地へ潜り込むことになるこの冒険ロマン小説、なかなか面白い。 作品の内容は人跡未踏のチベットの奥地にあ…

世俗を越えて辿りつく悟りの境地「真理先生」

武者小路実篤の小説「真理先生」を手に取った。 武者小路の作品なら「愛と死」「友情」を以前に読んだことがあったが、この「真理先生」はそれらとはまた毛色が違う、明るくハッピーなお話であった。そして人生教訓がたっぷり詰まった本であるが、この教訓は…

大河愛憎劇「嵐が丘」

エミリー・ブロンテによる長編小説「嵐が丘」を読んだ。映画化もした大変有名な作品であるとは知っていたが作品内容は全く知らなかった。 読んだ感想は、とにかく面白い。作品の持つ熱が尋常でない。表紙の触れ込みに「ページをめぐるのももどかしい面白さ」…

子供であったことを忘れてはいけない「飛ぶ教室」

ケストナー作の「飛ぶ教室」を読んだ。そういえばこれと同じタイトルの漫画も昔あったな。 児童文学の名作とされるこの作品を児童と呼ぶには大きくなりすぎたこの私が手に取ったわけだが、これは中々に大人にも響く教訓を盛り込んだ一冊である。 最初はこの…

芥川が世を去る前に残したメッセージ「河童・戯作三昧」

芥川龍之介の短編集を手に取った。 水木しげるの「河童の三平」が大好きなため、同じく「河童」というタイトルに目を引かれて読むことにしたのだ。 芥川が自殺する前の10年間に発表された作品が計10篇収録されている。 まず、「戯作三昧」。戯作は俗世間で広…

閉ざされた街で・・・・・・「ペスト」

カミュの「ぺスト」を呼んだ。 この流行病の前知識は楳図かずおの漫画「漂流教室」で得ていた。恐ろしい病とは知っていたが改めて怖いと思った。 アルジェリアのオラン市という、地理を知らず、また一つも興味あらずの私には地図でも引っ張ってこないと世界…

狂気とエロス渦巻く世界へ誘う「マダム・エドワルダ / 目玉の話」

バタイユ作の眠い夜でも読めば目が覚めてしまう程に衝撃的な一冊がコレ。 内容の濃い2篇の短編が収録されている。 両作品の詳しい内容についてはここでは触れられない。なぜかと言うと、この本の内容がこの世のエロスと狂気、そして溢れんばかりの変態性を集…

訛り言葉を直しレディになる「ピグマリオン」

ついに明けた2018年初の一冊となったのはバーナード・ショー作の戯曲「ピグマリオン」である。 中身は特に知らずにタイトルだけ見てなんとなく読んで見た。 どぎつい訛り言葉を発する花売り娘イライザが言語の科学である音声学の教授ヒギンズの指導の下で訛…

大衆読み物の決定版「暦物語」

ブレヒト作「暦物語」を今年の読書の読み収めとして楽しく読ませてもらった。 鬼才西尾維新の放つ大ヒット長編物の「物語シリーズ」のひとつにも暦物語という作品があるが、今回私が手にとって読んだブレヒトの暦物語は西尾維新が書いたのよりも遥か古に書か…

サイコホラーの元祖を辿ろう「砂男/クレスペル顧問官」

ホフマン作のサイコホラー小説「砂男」「クレスペル顧問官」「大晦日の夜の冒険」の三篇が収められた一冊を読んだ。この寒い夜を更に寒くするような内容の作品群である。 どれもこれも幻想怪奇な内容となっている。ヒッチコックの映画を見た後のような気持ち…

失われた世代の青春の日々「日はまた昇る」

アーネスト・ヘミングウェイが描く失われた世代の若者達の青春を描いた一作、それが「日はまた昇る」である。 物語がスタートする前のページに 「みんな失われた世代ね、あなたたちは」 ガートルード・スタインの言葉 と表記されている。 実に意味深で印象的…

三文以上の価値ある作品「三文オペラ」

ブレヒト作の戯曲「三文オペラ」。 乞食と盗賊と娼婦の栄えるというなんともダークな要素の揃ったロンドンの貧民街を舞台として、お尋ね者の盗賊ボス メッキースの大捕り物を描く内容となっている。 タイトルに「三文」と付く通り、気品溢れる従来のオペラと…

リアル路線の社会恐怖「セールスマンの死」

アーサー・ミラーによる戯曲作品、それが「セールスマンの死」である。 作品の内容はタイトルが示す通りに、とあるセールスマンが死ぬお話である。 セールスマンのウィリー・ローマンが死を迎えるまでの過程を見ると創作物だからといって無関心でいることは…

農家を舞台にした愛憎劇「楡の木陰の欲情」

劇作家オニール作「楡の木陰の欲情」を読んだ。 いや、全く知らない本だった。 何か底知れぬ深いテーマがあるような心に引っかかるこの変わったタイトルに釣られて読んでみた。 これは面白い。 作品前面に良くも悪くも「人間」らしさが漂っている作品であっ…

私もかつてはそうだった「恐るべき子供たち」

コクトー作の「恐るべき子供たち」を読んだ。 先日見たアニメ「空の境界」で登場人物の黒桐幹也の名前についてヒロインの両儀式が「フランスの詩人みたいな名だ」と感想を述べたシーンがあった。そのフランスの詩人がこの本の作者コクトーであろう。 かつて…

韻文小説の金字塔らしい「オネーギン」

プーシキン作の「オネーギン」。 オネエではなく登場人物のエヴゲーニィ・オネーギンという青年の名がタイトルとなっている。 内容は遺産で遊び暮らすオネーギンが田舎娘のタチヤーナに惚れられて恋文を貰うのだが、オネーギンは他に類を見ない特殊な振り方…

女性の自我の目覚めを描く「人形の家」

イプセン作の戯曲「人形の家」を読んだ。 日本では弘田三枝子が歌うこれと同じ名前の「人形の家」という楽曲が大ヒットしたのを思い出す。私も良く聴いていた。いずれもマストで子供の遊び道具ということから布施明の「積み木の部屋」という曲とごっちゃにな…

訳がわからない。だがそれが良い「ゴドーを待ちながら」

サミュエル・ベケット作の戯曲である。 本作はとある田舎の一本道が舞台。エストラゴンとウラジーミルというかなり歳のいった冴えない浮浪者が主な登場人物の2幕構成のストーリー。 途中にポッツォという高慢ちきなジジイとその下僕のラッキーというのが出て…

女の特性を知る「かわいい女・犬を連れた奥さん」

戯曲作家として有名なチェーホフの小説作品。 表題の2編の他に「中二階のある家」「イオーヌイチ」「往診中の出来事」「谷間」「いいなずけ」の合わせて7編が収録されていた。全体的にどことなくアンニュイ感が漂っている印象があった。 「かわいい女」に「…

迫り来る死から生をを振り返る「イワン・イリッチの死」

ロシアの文豪トルストイの書いた恐ろしい作品。 ロシア人作家の作品の登場人物はとにかく名前が覚えづらい。ロシア文学を好んで良く読むのだがこの名前の問題には困ったもんだぜ。 一官吏であるイワン・イリッチが不治の病にかかり、迫り来る死からそれまでの…

幼い頃の繊細な感情を綴る「銀の匙」

夏目漱石も絶賛したという名作「銀の匙」を読んだ。 農業高校を舞台にした漫画あるいはアニメ、そしてセクゾの中島ケンティーで実写化もした「銀の匙 シルバースプーン」の方では無い。ちなみに私はシルバースプーンの方に登場する御影というヒロインキャラ…

「機械・春は馬車に乗って」

横光利一(よこみつ りいち)による十篇の短編小説が収められている。 「春は馬車に乗って」という素敵なタイトルに惹かれて読んでみた。 これはタイトルどおり素敵なお話であった。 機械・春は馬車に乗って (新潮文庫) 作者: 横光利一 出版社/メーカー: 新…

失われゆく栄光を偲ぶ「桜の園・三人姉妹」

ロシアを代表する劇作家アントン・チェーホフ作の戯曲である。 チェーホフ四大戯曲の内2作が収められている。過去に他2作の「かもめ」「ワーニャ伯父さん」も読んだのでこれで四大戯曲は無事コンプリートである。 4作共通して言えることは、喜劇要素とどうし…

刹那の時を永遠に「一握の砂・悲しき玩具」

国語や社会科の教科書で良く目にした人物石川啄木の歌集である。綺麗なタイトルに惹かれて読んでみると中身はなかなかヘビーで笑えない話であった。 私としては歌集などを手にとるのは慣れないことで少々内容が脳に入りにくい箇所もあった。しかしその内に慣…