こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

こしのり本

太宰のラスト「グッド・バイ」

太宰治の未完の絶筆それが「グッド・バイ」である。遺作がタイトルでバイバイを言っているのでコントな組み合わせとなっている。太宰にしてはちょっとばかし変わった作風で楽しく読めたので是非最後まで書いて欲しい作品だった。実に惜しい。せめて物語完結…

お父さんと仲直り「和解」

短編作家のイメージのある志賀直哉の中編作品それが「和解」である。 父との不和から実家を出た息子順吉が長きに渡る父との不和を治めるまでの話である。読み終わってから、やはり家族は仲良くなければ損であるし、家族愛は美しい物だと晴れ晴れした心になる…

擦れ違う男と女「雁」

「雁(ガン)」とはカモ目カモ科ガン亜科の水鳥である。カモに似ているがカモより大きい鳥である。国語の教科書に載る「大蔵じいさんとガン」や、名作絵本を原作にした日本名作アニメ「ニルスのふしぎな旅」などで御馴染みの例の鳥である。可愛い、そして美…

私にもあなたにも住まう「肉体の悪魔」

なんとも奇怪にして淫猥さを感じるインパクトのあるタイトルだ。まずタイトルが好きなんだよね。 肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫) 作者: ラディゲ 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 20歳にしてこ…

純愛と奇妙な山越え「外科室・高野聖」

著者である泉鏡花の名前の響きの良さから本作を手にとって読むことにした。 そして、私が手に取った本の表紙は吉永小百合がアップで写っている映画「外科室」のポスターが刷られた物であった。角川文庫のから出た本である。 収録作品は「義血侠血」「夜行巡…

月夜の森のラブコメディ「夏の夜の夢」

シェイクスピアと言えば「四大悲劇」なんて呼ばれる作品群を手掛けたこともあって悲劇の作家のイメージが強いが、実はこの人は万能な作家で喜劇の方も腕もピカイチである。 新訳 夏の夜の夢 (角川文庫) 作者: シェイクスピア,河合祥一郎 出版社/メーカー: 角…

幻想と怪奇渦巻く三人の少女の物語「少女地獄」

「いっぺん死んで見る?」のセリフで御馴染みの地獄への案内人娘のお話ではありません。 「少女地獄」は幻想的且つ怪奇な推理物をお得意とする作家である夢野久作の作品である。 少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫) 作者: 夢野久作 出版社/メーカー: …

国境の長いトンネルを抜けた先の文学「雪国」

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の冒頭があまりにも有名な川端康成の小説「雪国」を読んだ。 漱石の「坊ちゃん」、太宰の「走れメロス」と本作は冒頭の一文が有名でクイズ番組の問題で出てきたりする。 有名な書き出しであるが読んだことが…

過酷な農民の生活を知る「土」

土 (新潮文庫) 作者: 長塚節 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1950/06/13 メディア: 文庫 クリック: 9回 この商品を含むブログ (9件) を見る 舞台は明治時代の茨城県の農村。当時の農民の暮らしをリアルに書き綴った作品である。大昔のしかも都会でない田舎…

子を持つ父親の苦悩「個人的な体験」

新たに生まれて来た子供が障害児の場合に親は一体何を想いどのような行動を取るのかということがわかる考えさせる一冊であった。 個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10) 作者: 大江健三郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1981/02/27 メディア: ペーパーバック …

「小僧の神様・城の崎にて」小説の神様の綴る短編集

志賀直哉の思い出とえば、高校の国語の教科書で「清兵衛と瓢箪」を読んだことだ。テンポの良い短編でとても好印象なままに記憶に残っている。高校の国語のテストで志賀直哉の作品を2つか3つ挙げよという文学青年の我にはサービスな問題が出題したこともあ…

不思議でユーモラスな短編集「檸檬」

檸檬(れもん)、私の大好きな黄金の果実だ。何の話か全く知らない作品だったが「ただ檸檬が好きなので」という理由で手に取った。しかし、これは軽い気持ちで読める簡単な本ではなかった。難解な文体、独特な心理描写、不思議でオカルティックな要素も含む…

社会道徳を無視してでもマイライフ「或る女」

「或る女」。なんとも性を主張した深みがかったエロスを彷彿とさせるシンプルタイトルだが内容は決してそういうのでなく本当に或る女、つまりは主人公 早月葉子の一年間の人生記録を読んでいく本である。 表紙の女の絵をじっと見ているとなんだか変な感覚に…

中国古典を漁ろう「李陵・山月記」

中国古典作品を元に書かれた小説作品なので当然にして人物、地名その他もろもろのワードが小難しい漢字で書かれる。開いたページが漢字まみれだと活字に慣れない方は遠慮したいと思うかもしれないが集中して読めばいける。 読み進めるのに少々不自由をするか…

女に飢えた童貞男のイタイお話「お目出たき人」

人はきっと恋をすることだろうと私は信じている。 タイトルが面白いと思っての完全なるタイトル買いの本だったこの「お目出たき人」という一人の男の恋物語、いやいや考え方によってはまだ「恋」としても出来損ないのような感じなのだが、まぁそこのところが…

楽しい大冒険だけでない深い紀行文「ガリバー旅行記」

このガリバー氏による愉快な冒険紀行文は数多く映像作品化されているため原作本は読まないがお話は知っている、聞いたことがあるという人は世の中にいくらでもいることであろう。私も今回始めて手にとったが、本作のことを始めて知ったのは大昔の白黒アニメ…

おい、山根ぇえ!じゃないよ「山の音」

川端康成作の「山の音」です。山の音(おと)と読むらしい。 山の音(新潮文庫) 作者: 川端康成 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/06/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 主人公の老人 尾形信吾は、ある日の夜中に聞いた遠く吹く風の音…

巨匠宮崎駿もチェックした名作「風立ちぬ / 菜穂子」

風立ちぬ/菜穂子 (小学館文庫) 作者: 堀辰雄 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2013/11/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「風立ちぬ」について 「風立ちぬ」は2013年に宮崎アニメとなった同名作品の元ネタの本である。関係無いがこのアニメ風…

嫉妬が生む悲劇の連鎖「オセロー」

いわずと知れたシェイクスピアの四大悲劇の一つに上げられる作品である。本作の読破を持って私は四第悲劇をコンプリートした。 オセロー―シェイクスピア全集〈13〉 (ちくま文庫) 作者: ウィリアムシェイクスピア,松岡和子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日:…

人間性の美しさも醜さも描かれる芥川の名作「地獄変・偸盗」

芥川龍之介の文才光る人間味溢れる物語二本であった。 地獄変・偸盗 (新潮文庫) 作者: 芥川龍之介 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1968/11/19 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 30回 この商品を含むブログ (53件) を見る まずは「偸盗」の感想 偸盗(ち…

歪な愛の形を物語る「痴人の愛」

痴人の愛 (新潮文庫) 作者: 谷崎潤一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1947/11/12 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 123回 この商品を含むブログ (226件) を見る ずばりタイトルの通りの痴人による不思議な愛のお話であった。 主人公の河合譲治がカフ…

甘美で鬱屈とした時を送る淫らな妻のお昼の顔 ー小説「昼顔」を読んでー

今「昼顔」とパソコンに入力してみると上戸あやが出ている日本のドラマ作品が多く引っかかるであろう。大変話題となっているが見たこと無いっす。 私が言ってる昼顔は大昔のフランスの小説でジョセフ・ケッセルが書いたものである。ちなみにこっちも映像化し…