こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

心の剣を握れ「バケモノの子」

 2015年公開劇場アニメ映画。

 細田守監督のアニメ映画作品はこれまでもチェックしていたのであたり前のように見ると決めたわけだが、それにプラスして私の大好きなミスチルが主題歌を担当しているので更に視聴意欲が湧いた。私の幼少期なんて頃はだいたいアニソンとジャニーズとミスチルくらいしか聴いてないからな。

  幼い人間の男の子 九太(人間界での本名は蓮)は人間界と異なるバケモノの世界に迷い込み、そこで出会った無骨にして粗暴、粗悪なバケモノ熊鉄の弟子となり武道を極めることになる。人間の子供とバケモノのおじさんの不器用で歪な形を取りながらの師弟にして義理の親子でもある関係を描いた心温まるストーリーであった。

 前作の細田作品で狼人間という少々ファンタジーな要素を盛り込んだが、今作はよりファンタジー感を出して、ガッツリ獣面のバケモノ達がたくさん登場する。主人公がバケモノの世界に9歳~17歳まで身を隠していたというのは人間界の方では神隠し事件という大事になるだろうなと思って見ていた。九太が卵を「生臭い」と言って嫌うのには卵好きの私は怒(オコ)でした。

 熊鉄の武道における修行スタイルがまさかのブルース・リーと同じく「don't think feel(考えるよりも感じろ)」タイプであったので、いざ考えて九太に稽古をつけてみると教えるのが下手すぎる。その中で熊鉄の「心の剣が大事」という抽象性を極めるのに何だか極意のそれっぽさを感じるセリフが印象的で好感が持てた。この心の剣というのが後のストーリーで生きてくる。よくわからないけど心に刺さる言葉だなと思っていたらラストあたりで伏線回収となった。

 読書好きの私は九太が図書館に行くシーンで本棚に見えるトルストイ、オースティン、エミリー・ブロンテなどの有名作家の名に興奮した。そして九太がたまたま読んでいたメルヴィルの「白鯨」。これもこの図書館だけのアイテムと思ったら実は伏線てラストで白鯨と同様のバカでかい鯨と対峙することになる。文学好きにはちょっと嬉しいんだけど。義務教育と+αをすっ飛ばしての17歳は「鯨」の字が読めないのかと思った。

 前半でガッツリなファンタジー世界にいて、中盤にして高卒程度認定試験をクリアして大学を目指すなんて妙な話になって、お役所に行ってそれについて説明を受けるという変則的展開にはちょっとびっくり。これが少し勉強になった。役所なんて行かなければそんな試験も関わりがないので新しい知識を得られた。

 どうして?って思うくらいに九太と熊鉄が口争いをし、おまけにどっちも口が悪いなと思うが熊鉄が結局は弟子にして息子のように九太のことが可愛いのがわかるのが心温まる。

 人間界に出て一郎彦と対決する場面から作風が一気に変わったみたく大都会不思議バトルもの展開になった。別に悪い運びとは言わない。鯨のグラフィックが幻想的にして美しく、爆発や炎もすごい迫力だなと画に見惚れた。決着シーンでの九太と熊鉄の心を重ねての渾身の居合い切りには「人斬り抜刀斎」の鮮やかな剣術を彷彿せずにはいられなかった。気合の入った作画だった。

 もうひとつ欲を言いたいとすればヒロイン楓のことかな。ちょっとキャラ弱くない?

という点。楓とのシーンがもっと欲しいかなと思う。まぁバケモノとの関わりがメインなので人間はオマケくらいなのかな。

 人間とバケモノで世界を住み分けている大きな理由が人間の心に抱える闇が世界を壊す恐れがあるためである。楽しいファンタジーアニメの中にも人間の弱さや愚かさがもたらす危険性を訴えている作品でもあると感じた。

 あとはやっぱりラストにミスチルの歌を聴けたのが良かった。

 

 

主題歌

Starting Over / Mr.Children

REFLECTION{Drip}通常盤

REFLECTION{Drip}通常盤

 
Starting Over

Starting Over

 

 私も心の剣の素振りをして鍛えます。