こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

尻尾を立てろ!「ガンバの冒険」

 1975年放送の全26話のアニメである。

 児童文学「冒険者たち」を原作としたネズミ達の冒険の物語である。アニメでは原作で15匹いたパーティを7匹にまで減らしている。確かに15匹は多すぎる。「七人の侍」とか「荒野の7人」とか「王下七武海」とか色んな作品で何かと7人構成のものが目立つしラッキーナンバーでもあるのでやっぱり7匹で正解。

 小さい頃に再放送を見ていたが、ただネズミが可愛いで終わるわアニメではない。少々トラウマ要素の入ったアニメである。

 大昔の作品である故、出演役者の中には既にお亡くなりになられている方も多い。今回はTV画面に手を合わせて本作BD-BOXを視聴した。ガンバ役は人間の男女からサイヤ人、アライグマまで幅広く演じる野沢雅子が担当している。

 

ガンバの冒険 DVDBOX 

 

あらすじ

 街ネズミのガンバとその親友のボーボの二匹は海を見たいがために港までブラリとやって来る。そこで港ネズミのパーティに参加した。

 パーティ中に傷を負ったネズミの忠太が転がり込んできて、恐ろしい白イタチのノロイに自分たちの島が支配されたので助けて欲しいと頼んでくる。

 白イタチのノロイのヤバさ加減はネズミ界では有名な話で数々のネズミがノロイの名を耳にしただけでビビッて縮み上がる中ガンバ、ボーボ、ヨイショ、シジン、ガクシャ、忠太、イカサマの勇敢な7人のネズミ達はノロイ討伐のために立ち上がり大海原へ旅たつ。

 

感想

 主人公は可愛いネズミの子供向けアニメではあるが大人が見ても面白い。

 物語はネズミ視点で展開する。わずかばかり登場する人間はネズミから見た巨人サイズで描かれ、モノクロ表示であることが特徴的である。キツネ、猫、イタチなどのネズミの天敵の動物は人間から見れば可愛らしいがネズミからみたら化け物そのものであり、ネズミを捕食とする獣達はものすごく恐ろしい化け物タッチで描かれている。

 

 最初はノロイにビビッて仲間に加わろうとしなかったヨイショに向かってガンバが「尻尾に恥ずかしくないのか」と言うシーン、ヨイショが無謀とも思える冒険をどうして始めようとするのかとガンバに問うと「尻尾がうずくから」と答えるようにネズミの世界では尻尾が自己性や主体性を表す重要な役目を担っているようである。ガンバの尻尾がらみのセリフが粋があって良い。

 途中で船を降りる予定だったイカサマが真の仲間になるまでの流れが好き。

 

 途中で寄った島ではキツネに支配されたリス達を解放するためにノロイの前の中ボスのキツネを討伐するエピソードがある。その際にガンバ一行は最初はキツネに返り討ちにあう。ガンバ達の抵抗はキツネの怒りをかい、大人しく支配されていないとこうなるという見せしめに仲間のリス数匹がキツネに殺される。

 リス達は半端な正義感で事を引っ掻き回したとガンバ達を言い責め、島から追い出そうとする。正義のために立ち上がったガンバ達が逆に悪者にされたという子供心にはきついシーンであった。半端な正義感で揉め事に首を突っ込んでも解決できないどころか返って悪い結果になるという深いメッセージ性がこめられたエピソードだったと解釈した。

 第11話で明らかに「男はつらいよ」の車寅次郎(とらさん)を模したネズミのトラゴローが登場する。シリーズ全48作全視聴を決め込んだ「男はつらいよ」ファンの私としては嬉しかった。

 

 7人のネズミ達は時に喧嘩もしながら協力してノロイ島を目指す。第20話でノロイ島に上陸してからはそれまでよりもかなりシリアスなストーリーになる。

 ラスボスノロイはもちろん戦闘力が高い上に瞳術を使い相手を惑わす。そして高い知力を有し狡猾に立ち回りガンバ達を苦しめる。

 最強イタチのノロイにガンバ達は全く歯が立たずに第一戦はあっさり返り討ちに会う。

 この白イタチのノロイがとにかく怖い。可愛らしいネズミのキャラデザをひっくり返して線が多く影も使って怖い顔に描いている。白い悪魔は連邦だけでなくノロイ島にもいた。

 ノロイ討伐は一筋縄ではいかずかなりの犠牲を出すことになる。

 ノロイに弟を人質に取られたネズミの太一は已む無くノロイのスパイとしてネズミ達の貴重な食料を火口に落とす。この時に食料の番をしていたネズミの一郎も食料と共に落とされ、体を岩に強く叩きつけて絶命するシーンが衝撃だった。弟を救うためとはいえ一郎を死に追い込んだ太一を普段はクールなイカサマが怒りの感情をむき出しにしてボコボコにするシーンも忘れらなれない。

 太一も後にイタチ達に嬲り殺されるという無残な最期を辿る。子供向けにしてはちょっとバイオレンスな表現だったかもしれない。

 長老ネズミが戦いに傷つき息を引き取るシーンは悲しくて涙が出た。島をイタチに占領されて岩礁をアジトに闘っていたために土に埋めることが出来ず長老の死体を海に沈めるシーンは忘れられない。

 頭の良いノロイはネズミを一箇所に追い詰めて逃げられなくし、そこで飢え死にさせるという作戦を練る。ネズミ達は食料困難を起こし空腹の苛立ちから内部分裂を起こすなどのシーンもある。ノロイがいかに戦略に長ける頭脳を持つかがわかる。 

 想像以上にノロイ戦は苛烈を極め、後半パートは手に汗握って視聴した。

 

 OP曲が明るく楽しくキャッチーなナンバーなのに対してED曲はOPの楽しさは何処へ行った?というくらいに暗い。ED曲は歌詞に髑髏(どくろ)が出てくるなど明らかに子供向けではない。

 

 本作を見た後はイタチの印象がすっかり変わってしまう。

 それから皆が良く言うハムスターは良いけどネズミは無理っていうやつ一体何なんだろうね。ネズミも愛してあげてください。

 


ガンバの冒険 OP

 


ガンバの冒険 ED