こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

仮面の下の涙を拭え「宇宙の騎士テッカマンブレード」

 1992年~1993年にかけて放送された全50話のテレビアニメ。

 

 地球侵略を企む謎の宇宙生物ラダムを倒すため正義のヒーローテッカマンブレードとその仲間達が地球存亡をかけて闘う物語。かなり過酷な闘いが待っているので覚悟して見よ。

 

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 まず、このアニメ、設定からキツイ。

 第一話の段階で敵の化け物ラダムの地球侵略は8割くらい完了しているように見える。もう世紀末間が半端ない。敵が宇宙から落ちて来て街をぶっ壊し、人も大量に殺して地上の荒廃感がすごい。更地化が進んでいる。昔見たアニメの「モスピーダ」が初っ端からコレと同じくらいに宇宙人に侵略されていたのを思い出す。これだけ侵略されていたらハートが強くないと「もう、ダメやな」と闘いを諦めてしまいそうだ。

 敵はガードが固くて地球の兵器が効かない。ラダムのザコキャラでも地球人からするとラスボス級である。ぶっちゃけテッカマンが地球側に付かなかったら地球は終わっていた。

 

 強力パワーを持つ戦士テッカマンは作中に7人登場する。テッカマンブレードに変身するのは主人公のイケメン青年Dボウイ。本名は相羽タカヤと言うのだが、話の流れで序盤は記憶喪失を装っていた。危険で無謀な行動に走ることからデンジャラスの頭文字DをとってDボウイとこれまたイケメン青年ノアルにあだ名された。

 テッカマン宇宙生物ラダムが寄生したことによって変身能力を得た元人間なのである。ある日、Dボウイの家族と友人達が宇宙船で旅をしていた時にラダムの襲撃を受け、乗船していた者は皆寄生されるか殺されてしまった。Dボウイは洗脳される前に父親の手によって助かった。仮面ライダー的助かり方だな。

 

 Dボウイは敵の化け物共と激しい闘いを繰り広げると共に、他のテッカマンとも闘うことになる。テッカマンレイピアに変身するDボウイの妹ミユキは仲間になるが、他の5人とは元家族友人の間柄だったのに殺し合うことになる。理由はどうあれ次々と家族や昔の仲間達を殺さなければならない過酷な闘いである。

 Dボウイがテッカマンブレードに変身して30分以上経過すると、ラダムの力に飲まれて暴走してしまうという欠点がある。Dボウイは制限時間を過ぎて暴走した場合に仲間を傷つけるかもしれないという恐怖から一時変身できなくなる。変身が怖くて闘えないDボウイを立ち直らせたヒロイン アキの「あなたの30分をわたしにちょうだい」の一言は良いセリフだった。

 

 唯一ラダムに対抗できるDボウイにかかる負担は半端ない。途中でテッカマンを研究して作った地球産の強化スーツ「ソルテッカマン」に身を包んでノアルとバルザックが戦闘に参加する。しかし、本物のテッカマンには戦闘力は遥かに劣る。ザコ討伐がやっとでそこまでの活躍はしない。

 

 ここまでで十分にキツイが、物語後半からDボウイに更なる過酷な戦いが迫る。とにかく主人公を厳しく追い込む。仕方なく家族や仲間を手にかけたDボウイの心は傷つき体は疲れる。

 後半からDボウイがテッカマンに変身すると細胞崩壊が起こることが明らかになる。Dボウイは少しずつ記憶を無くし始める。仲間のアキやノアル達との思い出を忘れ、テッカマンに変身する方法も忘れてしまう。最終決戦の時には敵ラダムへの怒りの感情のみを残し他の全ての記憶を失ってしまう。Dボウイ一人にかかる負担が重過ぎて終盤はかなり欝展開である。地球を救ってもDボウイは全てを失ってしまっていた。

 最終回ラストシーンでは命だけは助かったが記憶をなくして廃人同然になったDボウイとアキが一緒の家に暮らしていることがわかる。

 最終回でフリーマンが言う「忘却は彼にだけ許される」と言うセリフは胸に刺さる。Dボウイの不幸中の幸いが家族を殺してしまった罪と激しく辛い闘いの記憶を全て忘れることが出来たということだった。

 この最終回は胸が痛くなった。地球を救った青年にこの仕打ちは酷い。主人公が命だけは助かったが五体満足で戻ってこれなかったアニメ「機動戦士Zガンダム」「SPEED GRAPHER」などを思い出した。四捨五入するとバッドエンドアニメだな。

 

 キャラクターのことを言うと主人公はイケメンだし、ヒロインのアキやミリィは可愛い。アキはクールな美女で、戦場に身を置くことからちょっとの疲れた感が漂うのが色っぽくて良い。他にはオカマが出るし、渋くてゴツイおじ様キャラもでるので見る人にどれかお気に入りのキャラがきっと出てくるはずである。

 声優がかなり有名な人ばかり出ている。今の大御所達の若い時代の演技が見れるのが良い。

 

 面白かったしカッコイイ変身ヒーローものは好きなのだが、全体的に暗くて結構欝なアニメだった。

 

 

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