こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

世界の忍者大集合!「世界忍者戦ジライヤ」

 1988年~1989年にかけて放送した全50話の特撮番組。メタルヒーローシリーズ作品ではあるが、従来のメタルヒーローとは路線が違う異色作のため発売されたメタルヒーローシリーズを扱った本やCDの中ではジライヤが仲間外れにされていた時期があったとか無かったとか。確かにメタル感が無い。

 前作の「超人機メタルダー」が主人公、敵も含め金のかかったスーツデザインだったのに対し、本作は明らかに低予算制作であると思われる。メタルダーからジライヤの流れに当時の子供達はがっかりしたかもしれない。

 しかし安心せよ。はっきり言っておこう。この作品、かなり面白い。

 間違い無く傑作。正直、今やってる特撮より面白い。

 

 ジライヤを見たくてレンタルビデオ屋に探しにいったことがあるが、スペシャル編集の30分くらいのビデオしかなくてテレビ本編を収録したビデオが置いてなかった。というかそもそもパッケージ化していなかったらしい。かなりの時をおいてDVDになりやっと全話見ることができた。

 

 若い世代ならジライヤといえばカクレンジャーの忍者ブラック ジライヤ(ケイン・コスギ)を思い出すだろうが、こっちのジライヤの方が先に世に出ています。

 

世界忍者戦ジライヤ Vol.1 [DVD] 世界忍者戦ジライヤ VOL.2 [DVD]

 

 「世界忍者戦ジライヤ」は、世紀の秘法パコをめぐって山地闘破が変身するジライヤ達山地ファミリーと悪者の妖魔一族が闘う物語である。

 山地闘破の顔はジャニーズジュニア内グループSixTONESに所属する森本慎太郎と似ていると思う。

 

 パコとは遥か遠くの星の宇宙人が地球に埋めたタイムカプセルにしてお宝である。パコのありかを示したボードという粘土板を山地家が代々受け継いできた。二枚をあわせて一つの地図になるボードの半分を妖魔一族の鬼忍 毒斎が所有し、山地ファミリーで所有するもう一枚を奪おうと闘いを仕掛けてくる。 

 ボードにパコの在り処を示した人物は聖徳太子とされている。十七条の憲法なんかを手掛ける裏でこういう仕事もした人物である。そして、後半で登場する巨大ロボの地雷神も聖徳太子が作ったという設定になっている。聖徳太子のアシスト無しに成立しない物語である。学校の歴史の授業で聖徳太子の行ったこの働きのことを教師に話したら「知らねぇ」って言ってた。教科書が歴史の全てじゃ無い。そして最近では聖徳太子なんて実はいなかったとか言われているからいよいよ聖徳太子が謎人物であると言える。

 物語の端から端までの時間軸を辿るとなんと2300年間の話で壮大その物な出来になっている。

 

 大筋はパコをめぐっての山地ファミリーと妖魔一族との闘いだが、物語を更に盛り上げる要素がタイトルにもなっている「世界忍者」の存在である。その名の通り世界に散らばる凄腕忍者達を示し、アメリカ、トルコ、ケニア、香港、フランスなど色んな国の忍者が日本に集まってくる。

 過去作「忍者キャプター」であれだけ色んな種類の忍者がいるんだって思ったが世界にはまだまだ忍者がいた。国内の伊賀流とか甲賀流とかそんな狭い話ではない。忍者ってワールド・ワイドだったんだね。 

 山地ファミリーと妖魔一族に加え第三戦力でこの世界忍者を置くことで世界感が広がりストーリー性が増す面白い設定であった。忍者同士の絡みも面白い。

 世界忍者の中には秘法パコを狙う者もいれば、別の目的で日本に来る奴もいる。そして山地ファミリーに付く者もいれば妖魔一族に付く奴もいる。また、完全に中立の奴もいる。

 

世界忍者戦ジライヤ Vol.3 [DVD] 世界忍者戦ジライヤ Vol.4 [DVD]

  

 メタルヒーローシリーズの中で異色とされる点はまず忍者を扱っていることにある。そして主人公、敵、その他キャラほとんどが人間(例外としてサイボーグ、宇宙人もちょこっとだけ登場する)である点もそうだと言える。超人的能力を持った忍者達もちゃんとした人間であるため、多くの特撮に出てくる怪人や戦闘ロボなんてのはほぼ出てこない。異形忍 紅トカゲが大トカゲに変身するのがわずかに怪人要素を感じるポイントだった。

 主人公ジライヤのスーツもマスクも安っぽいし、初期の方ではマスクの目の所がモロ出になっている。ライダーマンシルバー仮面だって口は出しても目は隠れているからこれはどうよと思った。2クール目らへんでゴーグルをして目が隠れるようになるジライヤ第2形態になる。世界忍者も安っぽい覆面をつけた奴だらけである。 

 しかし、予算をかけた派手なスーツキャラを作らなくても個性で成立する素敵なキャラで勝負してきたのが本策の強みだ。城忍フクロウ男爵、雷忍ワイルド、牢忍ハブラムなどのキャラは普通に職質されそうな変態に数えられる格好をしているが皆大好きなキャラだ。

 フクロウ男爵のちょいちょい英語を交えた話し方がおもしろい。「アイアム偽者などノーサンキュー」という記憶に残るおもしろいセリフを言う。フクロウ男爵がキリスト教信者で秘法パコを私利私欲のためでなく世界平和のために活用しようとする良い奴。その昔徳川家の政策でキリスト教信者を弾圧された暗い歴史がフクロウ男爵の口から語られる。殉教者の魂を弔うためにもパコが必要と言う。フクロウ男爵の行動理念がかなりしっかり組まれたものとなっている。

城忍 フクロウ男爵 

  ↑ フクロウ男爵

 

 ワイルドが母国アメリカに帰る金を貯めるためにビートきよしのインチキ芸能事務所でタレント活動をしている設定が面白かった。ヒカルゲンヅっていうパクリアイドルが所属しているのには笑った。

ギターかかえた渡り鳥 雷忍ワイルド

           ↑ 雷忍ワイルド

 

  ハブラムはお気に入りのキャラで一度はジライヤと刃を交えた相手だがその後仲間になる。かなりインパクトのある見た目をしている。どんな感じかと言うと、芸人のケンドー・コバヤシを真っ白に塗りたくって黒いマスクで口元を覆ったような具合である。子供が見たら多分泣く。こんな奴が「北斗の拳」の悪者一味の中にいたなと思い出す。見た目は悪っぽいけど任務を忠実にこなす誇り高き忍者だとジライヤに信頼されている良い奴。あと、鼾(いびき)がめっちゃうるさい。

牢忍ハブラムの秘宝!!

   ↑ 牢忍ハブラム

 

 

 主人公の山地闘破は高校生の設定だけど登校シーンは無い。愛車ブラックセイバーを乗り回すので普通免許は取っているみたい。たくさんのバイトをして家庭を助ける感心な若者である。ホテル清掃のバイトをする回では時給が600円と言っていた。この時代の時給の相場がこんなものかと意外に思った。今はもうちょっと高いよね。

 山地一家が皆揃って忍者で全員戦闘に参加する設定も良かった。ここのお父さんの山地鉄山役の人は忍者を演じる俳優ではなくて戸隠流のマジな忍者である。その他にも本物の忍者が出てくる。リアル忍法アクションを取り入れた結構マジな作りの作品であった。鉄山は多分一番強い。フクロウ男爵やクモ御前などの強敵にも勝利した。過去作「バトルフィーバーJ」にも倉間鉄山という同じく鉄山の名を持つ生身でも強いおじさんが出てきたのを思い出す。

 主人公闘破の妹のケイは姫忍恵美破に変身して闘う。くのいちの存在は華を添える効果があって良い。ケイが結構可愛い。

 味方くのいちの麗破、敵の紅牙も何かエロさを感じてよかった。麗破がゴーグルをカパっと上げ下げするのが好きだった。

 ザコいけど弟の学もたまに役に立つ。学(まなぶ)なんて名前をして体育以外の学校での学業成績がゴミ。

 

世界忍者戦ジライヤ Vol.5 [DVD] 

 

 最終決戦の盛り上がりはなかなか良かった。ジライヤと過去に闘った敵達が再登場して暴れるのは興奮したな。忍者なのでもちろんチャンバラアクションを繰り広げる。水戸黄門とか暴れん坊将軍でもそうなのだが、大人数で切りあいする展開ってやっぱり熱い。

 昔の敵も出たが、かつて刃を交えた末に熱き友情を結んだ仲間達も駆けつける。最終決戦の応援メンバーが城忍フクロウ男爵、雷忍ワイルド、爆忍ロケットマン風忍馬風破の4人だったのは嬉しいが、途中で別任務が入ったからと本編に絡まなくなった(と言っても普通に降板だろうね)槍忍突破の復帰と私のオススメのハブラムが来てくれなかったのが不満な点。

小さな命に燃えた爆忍ロケットマン

     爆忍ロケットマン

 

 最終回のジライヤによる今までの闘いの回想シーンがなんか泣けた。ここに突破が出ていたのは良かった。

 「宇宙刑事ギャバン」に変身する役者の大葉健二がゲスト出演する回があった。闘破に勝ってジライヤスーツを奪ったという強さを見せた。やっぱ大葉健二カッコええ。

 後は、裏切った弟子を追って山地家にやって来たおじいちゃん忍者の玄斎が死んでしまう回が悲しかった。学が「おじいちゃん」と叫んで泣く場面に私も涙を誘われた。

 

 オタク的に気になるシーンが二つあった。一つは山地家のテレビで子供たちが「オバケのQ太郎 ワンワンパニック」というファミコンゲームで遊んでいたことである。このゲームは私も所有していて幼き頃によくやった。今でもまだ持っている。何回やっても途中で犬とかに殺されてゲームオーバーになってクリアしたことがない。しかし、定期的にやりたくなる後引く魅力を持つ楽しいゲームだった。

 もう一つは前作「超人機メタルダー」でロボ犬のスプリンガーが視聴していた「超電磁ロボ コン・バトラーV」が今作でもテレビで流れるシーンがある。東映さんのアニメだから流してもいいんだろうけど、ジライヤを放送した当時からいっても10年前の古いアニメを何故2作連続で推したのか謎。しかしコン・バトラーVは名作にして名ロボである。

 超電磁スピンの破壊力を思い出したぜ・・・あと、第4次スパロボではガルーダに苦しめられた。そしてガルーダの母親のオレアナはクソヤローだった。

 

 本作はOP、ED共にカッコイイ曲でノリノリなんだよね。幼い頃からの特撮好きにとってはもはや子守唄の串田アキラソングである。ED曲の歌い方がもうアッコさんだわ。

 OP映像ではジライヤが吊りロープに捕まり勢いを付けてオフィスビルの窓をぶち割って中に侵入し、そのまま部屋を駆け抜けてまた向こう側の窓をぶち割って出て行くというすばらしきショートカットを見せる。歯磨きしながら一緒に見ていた我が父が「こんなことしとると請求くるで、捕まるで」と呟いていた。今思えば過激な演出だったのかもしれない。平和のためなら窓ガラスの一枚二枚くらいの犠牲は出るものだ。

 

 チープな作りでも飽きないように所々で盛り上げポイントを置いて最後までずっと楽しんで見ることが出来た。特撮番組作りの新たな可能性を見出した一作だったと思う。金だけ一杯使ったクソ番組はジライヤを見習え。

 「変身忍者嵐」「忍者部隊月光」「大忍術映画ワタリ」など忍者作品は私の人生をいつも楽しく彩ってくれた。そして本作「世界忍者戦ジライヤ」もその仲間の一作となった。 やっぱり忍者はカッコイイ。

 

 忍者で繋がる世界の輪「世界忍者戦ジライヤ」でした。

 

 最後に、アイアム偽物なんてノーサンキュー!! byフクロウ男爵