こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

拳法を巧みに操るニューヒーロー「七星闘神ガイファード」

 「七星闘神ガイファード」は1996年に放送された全26話の特撮番組である。

 

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 「ウルトラマン」と「強殖装甲ガイバー」を合わせたような見た目のカッコイイヒーローだ。

 

 特撮ヒーローものなら東映作品をしゃぶり尽くしていた私にとってはちょっと珍しい東宝さんのヒーローである。

 

 私はセルフケアをしっかり行う習慣がついていなった時分には耳鼻科へ通っていた。そこの待合室のテレビでガイファードを見ていたのを思い出す。

 

 本作は放送スタートの段階でほとんどの話数の撮影が終わっていたらしい。質を落としてギリギリで間に合わせたり、それにも及ばす放送を落としてしまう近年のアニメ作品なんかには見習って欲しい部分だね。

 

 提供がゲームに強いカプコンさんということで作中に当時私の周りでも流行りに流行ったサバイバルホラーパニック大作「バイオハザード」が登場した。年代を感じる。登場したのは一番最初のPSの奴だった。私が買ったのはセガサターン版だったな。この「バイオハザード」については操作性がそれまでやってきたゲームとかなり異なる異色ソフトだったとまず感想が浮かぶ。そしてセーブの回数が限られていたりしてキツかった。急に犬とかカラスのゾンビが飛び出してきてビビッタ後に腹が立つ、そういうゲームだった。

 

 なんせ20年くらい前の作品だからピッチフォン、ポケベル、見るからに古臭いパソコンなど出てくる電気製品からも時代を感じさせるものが多い。良い時代だったと懐かしくなる。

 

内容

 科学技術を悪用して日本征服を企む悪の秘密結社「クラウン」と正義のファイターガイファードの壮絶な闘いを描く。

 

 悪の組織「クラウン」は格闘家を捕まえては改造して悪の戦士を生み出している。

 流れの拳法家である主人公 風間剛(かざま ごう)は行方不明になった兄を探すために道場に帰還する。そこで剛もまたクラウンに捕まって改造されてしまう。

 クラウンではまず人間を強化改造した「ガイボーグ」と、謎の緑色のスライムのようなブヨブヨした生命体「ファラー」を人間に寄生させることで作り出す化け物「ミューティアン」の二枚看板を持ってして悪の戦士を誕生させている。科学的、生物学的観点から強戦士の生成をこなっている点が「頭良い」のですごいと思った。

 

 剛はガイボーグにされしまったが、実は過去にファラーにも寄生されているとわかる。クラウンのニ枚看板たるガイボーグとファラーそれぞれの強力なエレメントを備えた剛はをスーパーファイターガイファードに変身してクラウンをぶちのめす。

 

 全26話を3部構成にしているのが特徴。次の部に移ると共に更なる強敵であるメタルファード、ガイアソルジャーが現れ敵組織クラウンの全貌が明らかになっていく。

 

感想

 この作品最大の身どころは拳法を駆使したアクションパートの迫力のすごさにある。もちろん他の特撮作品でもバトルには重きを置いているだろうが、ガイファードのバトルはガチ。素人目にもそのすごさは理解できる。打撃が綺麗と素直に思えた作品である。

 拳法をプッシュした本作は「赤心少林拳」を駆使して悪と闘ったヒーロー「仮面ライダースーパー1」を彷彿とさせる。男の子はだいたいにおいて何とか拳とか何とか流とかいうのが好き。

 

 必殺技も王気七星破という7つの拳法技を用いて敵を撃退する。

 提供が玩具作りの専門でなくゲーム作りの専門であるカプコンなので、後に玩具化して二次創作物として収入を得ることを計ったわざとらしい変身や技に用いるアイテム、移動用のマシンなどは登場しない。

 ただし、放送が終了して2年も経ってプレイステーションセガサターン用でソフトを一本出している。私はセガサターン版を中古で購入したのだがその内容は全く覚えていない。

 

 拳法奥義の技名が漢字で子供には覚えにくかったかもしれない。ド派手にビームを打ったり、カッコイイ武器やマシンが登場しないのは特撮としては地味だったかもしれない。しかし、そのかなり硬派な作りを私は評価している。

 

 ガイファードに変身する風間剛は「拳王流」と呼ばれる拳法の使い手である。変身後はマジに訓練を積んだ拳法家がスーツアクターとして演じるのですごいのは当たり前なのだが、剛を演じた俳優も拳法の未経験者であったが訓練を受けてアクションに挑んでいる。変身する前の姿での格闘シーンも熱い。

 ヒロインの九条財閥の令嬢である九条麗もかなり体を張ったアクションを行っている。闘うヒロインも見所の一つである。麗の蹴りを見て足が高く上がった綺麗な蹴りだと思った。

 

  クラウンに対抗するガイファード側の戦力は剛と麗とその弟優と城石ドクターの基本は4人である。後に中野刑事と女性の考古学者 村越博士が加わる。

 中野刑事の暑苦しい程の男気あるキャラは良かった。そして後半ちょっとしか出てこないが村越さんは美人であった。

 多くの特撮を見てれば自然と感じてしまうことが、女子供は足を引っ張るということである。しかし今作では先に挙げたようにヒロインの麗は拳法使いで強い。そして弟の優は幼い故、戦闘面での活躍こそ剛や麗には劣るが意外にもかなり役立つ人物である。

 優は見た目からは想像できないがかなり頭が切れる少年で実は天才ハッカーである。国の機密機関のガードの堅いデータベースに潜り込み、対クラウン用に役立つ重要な情報を剛達に提供してくれた。そして、敵に捕まっても知恵と勇気を持ってして自力で逃げ出すなど子供の身でありながら大人顔負けの立ち振る舞いをしたことも印象的であった。

 九条家の御曹司である麗と優の兄弟は莫大な財力と広いネットワークにものを言わせての情報収集をする場面もあり、かなり協力なサポート役を務めた。おっさんの城石ドクターが金持ちの子供にアイスを奢ってもらっていたのが印象的であった。

 城石ドクターが頼りないようでも優秀な科学者で魅力的人物であった。剛とドクターの二人で古物商の社長のガードマンをする回で社長に何か格闘技をやっていたのかと問われた時、剛は拳法をやっていると答え、その後に続いてドクターが「私は漢方をやっています」としれっと洒落を放り込んできたシーンが個人的にツボだった。

 主人公以外もキャラが立っていた作品であった。 

 

 剛の行方不明だった兄の将人もクラウンに捕らわれて改造をされデスファードに変身する。第一部では敵対し悲しい兄弟対決をしたが第三部の後半で再登場し今度は仲間としてガイファードと共闘した。ボスのゾディアックを兄弟二人の合体技「連撃極星拳」で打ち倒すシーンはカッコイイ。デスファードがあれだけかっこいいのに出番が少なかったので勿体無いと思った。もっと登場させて欲しかった。剛と将人の兄弟がかなり顔が似てない。

 

 個人的に一番魅力的な人物がクラウンの女幹部の紫苑恵である。第一部では科学者として登場するが第二部では第一部での最終決戦で負った傷のために改造手術を受けて再登場する。この第二部からの改造後の紫苑がかなりセクシーな格好になっているので良い。片方だけ素足が除く衣装に、綺麗で長い黒髪が好印象であった。美人さんである。

 

 印象的な回が二部の後半で紫苑が死ぬ回である。この回は重い話であった。

 ある天才科学者の科学実験で紫苑の母は死んでしまったので紫苑はその科学者に復讐の刃を向ける。結果的に人を殺した科学者であるが、法律の抜け穴をに潜り際どい所で罪に問われない。

 悪い科学者が裁かれず警察に守られるのは間違っていると優が言うのに対して城石ドクターがそんな矛盾のある社会のあり方を子供に説くシーンは強烈な印象を残した。

 正当防衛だと言って科学者は紫苑を銃で撃ち殺してしまう。

 本来悪であるクラウンのメンバーよりも主人公達が守ってきた人間の方に悪の汚さを見た異色な回であった。

 そして法律で裁けぬ悪を紫苑個人が裁きにかかるというなにやら社会風刺の効いた回でもあった。

 

 特撮番組ではビームなどをアニメ絵で現していた時期もあったがこの時代くらいからデジタル技術がテレビ番組にも頻繁に取り込まれるようになり、本作でも戦闘パートでは鮮明なCG技術が用いられている。しかし、アナログの実写映像に発色のだいぶ良いCGを合わすと二つの浸透性が微妙な感じになっていた。CGの主張が強すぎで画面から浮いちゃっている感じがした。ここらへんの映像技術も日進月歩で今の映像美まで進歩したのだなと感慨深いものがあった。

 

 最終回のラストで画面に「Guyferd Forever」と表記されたのを見て「幽遊白書」の最終回でも「幽遊白書Forever」と表記されたのを思い出した。このForeverを用いた演出が何か好きだった。

 

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 映像特典を見てスタッフ陣がアクションにいかに拘っているのかが良くわかる。

 特典も質が高いので見て損は無い。

 

 

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