こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

どこからなのかはよく分からない「空の境界」

 「空の境界」は全7章+終章で構成される劇場アニメ。2007年~2010年にかけて公開し完結を迎えた大作である。

 絶対に空(そら)だと思ったらタイトル読みは空(から)の境界であった。

 

空の境界(下) (講談社文庫)

 

 第1章の段階からアニメのクオリティーがすごい。特にハイセンスでスタイリッシュなバトルシーンは必見だ。あとは雨とか雪などの自然現象の描き方も美しい。

 2007年にここまでハイクオリティーに仕上がっているのはなかなかであり、アニメもここまで来たかと言わせる出来であった。近しい時期に「キャベツ事件」なるアニメ界の椿事が起こった年代とは思えない程にすばらしいアニメの出来だ。とにかく綺麗すぎる。

 アニメーションに妥協しないので御馴染みのufotableが制作を担当しているだけあって美麗なる絵には気持ちよく酔ってしまいそうだ。それにしてもあの「ニニンがシノブ伝」と同じ会社が手掛けたとは思えない。

 プロの現場と言ってもやってしまうのが人情である「サボる」ことを封印し、最後までサボらずハイクオリティをキープしたまま作品を完結させることに心血を注いだスタッフ一同に私は拍手を送りたい。

 

 

 アニメ「SHIROBAKO」に登場する「舞茸しめじ」というキャラの元ネタになったことが記憶に新しい作家「奈須きのこ」原作作品である。

 「月姫」や「Fate」のシナリオを手掛けたのと同人物だけあって今回もダークで怪奇な内容の作品に仕上がっている。残酷でグロくて道徳的にどうなの?って感じのシーンも多々ある。中でもショッキングなのが少女がチンピラに強姦されるシーン、人の身でありながら同じく人を喰らうカニバリズムを描くシーンなどがそうである。恐ろしい・・

 しかし、退屈な毎日にはこれくらいショッキングな要素を放り込んだ作品が丁度良い刺激と言えよう。

 

 

 全章いずれも怪奇なシナリオでサブタイトルがどれも意味深なものであった。

 

 舞台は世紀末である90年代の話であるので画面にはどこかノスタルジーな雰囲気が漂う。私の大好きな女性キャラの蒼崎橙子(あおざきとうこ)さんがゲームボーイ(たぶんポケット)をプレイしているシーンなどは懐かしくて歓喜した。

 時系列順でストーリーが進むのでなく1~7章で時間が行ったり戻ったりするのでちょっとだけ混乱するかもしれない。

 

 この作品の世界観やシナリオのすばらしさなんかは見ればまるっと分かる。私はキャラに対する思い出の方が強い。

 

 本作は長い物語のわりにキャラが少ない。少ないキャラ同士での絡みは濃密なものであり、キャラが少ないのに作品の地味さを感じないのが良い点である。

 どのキャラも有名声優が演じているのが好印象であった。

 

 殺人衝動を持つ二重人格のヒロイン 両儀式とどこまでもお人よしの青年 黒桐幹也の付かず離れずでやっぱり最後にはくっ付くというちょっと奇妙な関係が見ていて微笑ましかった。クールな式がたまにデレて顔を赤らめるのは萌えポイント。

 この時はまだだったが、式役の坂本真綾と黒桐役の鈴村健一は後に夫婦になるわけで、夫婦競演なわけだな。そう思うとなにやら感慨深いものがある。大昔に放送した「月姫」の方でも主人公は鈴村健一だったな。

         

 「月姫」と世界観がリンクする点が式に宿る「直死の魔眼」である。対象となる相手の死を視覚的に捕らえ、名の通り直死させる弱点を見抜くというもはや反則級の死の手引きを行う能力である。懐かしい響きのワードが出て来た。月姫の主人公もこの反則能力を持っていたからだ。能力の危険性と名前に中二的響きのするこの「直死の魔眼」なる能力は私のお気に入りである。

 直死の魔眼を発動してから後のバトル絵がまた綺麗なんだよな。

 

 

 この作品はまず絵が綺麗で女子キャラも可愛い。やはりヒロインに目を向けないわけには行かない。

 

 メインで登場する式はとにかくクールで美人。そしてものすごく戦闘力が高い。お家はヤクザらしい。高校時代から常に和服着用で冬場の寒さは和服の上にジャンパーを羽織るという巷では類を見ない奇抜なファッションで凌いでみせる。第6章での学校に潜入するミッションでは学校の制服をちゃんと着ている。式の学生服はレアでよかった。

 

 普通の女子なら踊って喜ぶ程の極上スイーツであるハーゲンダッツいちご味を黒桐がお土産に買ってきても「いらない」とはねるあたりが更にクールであった。良いキャラ設定であると思う。

 

 アイスの話でいうと、第5章で式の家に居候した家出少年が食い終わったハーゲンダッツのカスをシンク一杯に溜めるシーンが印象的であった。「どんたけ食ってんねん」とツッコンでしまった。

 

 私は妹萌えなので今作でも発見してしまった素敵な妹ヒロインの黒桐鮮花(こくとうあざか)について語りたい。メインで登場する黒桐幹也の妹でありながら、マジでお兄ちゃんに恋する娘である。

 お兄ちゃんに自分を妹でなく一人の女子として見てもらうために、妹の近しい距離からあえて離れた学校の寮に入るという突飛な策を実行するアクティブな女子である。恋愛テクニックの一つである「押してダメなら引いてみな」を応用した作戦であると考える。だが、効果の程は見られない。

 アダムとイブよろしく「禁断」を味わうのにどうしようもなく惹かれる傾向にあることを式に告白すると「変態」と一言返された。お兄ちゃんを取られるからという訳で式とは大変仲が悪い。ヒロインズで仲が悪いのもまたおもしろい。そういえば月姫でもヒロイン同士が仲が悪かったと記憶している。

 鮮花が主役の第6章が何気に一番楽しかった。

 

 私が全キャラ中で一番お気に入りのキャラが蒼崎橙子さんである。黒桐幹也の仕事先の上司であり魔術師である。年上で眼鏡萌えが入り、ポニテで喫煙者である。

 美人でガタイが良くてエロイ。ずっとエロイ感じを出していて言う事がイチイチ小難しいのが特徴。本田貴子の声が良く合っている。

 二重人格ではないが眼鏡の着脱で性格のモード変更を行うのも良い。社会人ともなると色んな面を持っているものだなと説得力があるキャラであった。

 

 第5章で橙子と荒耶宗蓮が激しいバトルを繰り広げた末に橙子の分身人形が破壊されたシーンがすごかった。荒耶宗蓮が橙子の分身の心臓を取り出してそれで十分に殺せているところを更に首ももぎるという実にスムーズな殺人の流れ作業を見せてくれたのが印象的であった。

 

 全7章の長いストーリーだが、スピード感ある作品に仕上がり中だるみせず楽しく見られた。

 あと、第7章に出て来た黒桐の学校の先輩が変態でキモイ。

 

 全7章が終わって結びの終章が存在するのだが、この終章の内容が難解である。雪景色の中で式と黒桐がずっと話をして終わるのだが、会話内容が難しい。ちょっと眠くなる中でただただ着物を来た式と降りしきる雪が綺麗だなと思えるラストであった。

 

 見終わってとにかく大作感がすごい一作だと思えた。

 

 あと、オマケ話をひとつ。

 コレは私同様に引っかかった者を何人か知っているのだが、それというのが実写映画の「空の境界」の存在である。アニメから実写になったのかと思ったらこちらは表記のみ同じの原作から何から全く違う別物である。しかも実写の方は「空(くう)の境界」という読みらしい。空の一文字で「そら・から・くう」と3つあるので色々とややこしいことになったな。漢字って奥が深いね。