「赤い光弾ジリオン」は1987年に放送した全31話のアニメである。
セガより販売された玩具「超高速光線銃ジリオン」をより多く売りさばくために制作されたいわゆる販促番組であるが、販促番組の域を出てアニメーションとして成功した傑作だと私は思う。
これの玩具が私の祖母のお家に確かにあったのだが、今はどこへいったかわからない。ファミコンでも周辺機器で光線銃があったりしたので光線銃というのが時代の流行であったとわかる。
放送形態が変則的な作品で子供達がお外で遊んでテレビを見ないであろう夏休みの期間は過去回の再放送を行った。全31話という中途半端な話数はそのためのものである。
従来のアニメよりも低予算で制作されたものの作画はかなり頑張っている。
結城梨沙の歌うOP曲「ピュアストーン」のおかげで更なる疾走感のある爽やかな映像となったOP動画は曲と共に私のお気に入りである。
西暦2387年、人類はとっくに宇宙進出を行い第2の地球と呼ばれる植民惑星マリスで暮らすようになっている。その惑星マリスは謎の宇宙人であるノーザ星人のターゲットになり、侵略されるのが時間の問題となっていた。ノーザ星人は強いので従来の人類の兵器ではとても敵わない。
そんな時、宇宙のどこともわからない所から超文明兵器である謎の銃ジリオンが三丁落っこちてきたわけである。色々謎があるけどとりあえずジリオンが人類の手に渡った。ジリオンの破壊力は半端無く、装甲の硬いノーザ星人をもぶっ飛ばせると明らかになり人類がノーザに対抗できる唯一の武器となった。
マリス防衛軍のチーム「ホワイト・ナッツ」に所属するJJ、アップル、チャンプ(三人ともコードネームで本名は不明)の三人の若者が三丁の銃をそれぞれ所持し、人類存亡のためにノーザ星人達と戦うというのが大筋である。
販促番組ということで光線銃ジリオンあり気の作品であることは言うまでも無い。主役はこの銃であるわけだが、そんな銃を操るキャラクターとそのまた周りを囲む脇役も魅力的な作品であった。この作品はキャラクターの個性と、キャラ同士の安定した絡みが楽しかった。
JJ、アップル、チャンプの三人はコンビネーションが悪いようで、その実ベテラン漫才コンビのごとく息のあった軽妙は会話劇を繰り広げるのが印象的であった。特にJJとチャンプの男二人はいつも小競り合いをしていながらもしっかり仲良しというのが見ていてホッコリなポイントである。
侵略宇宙人とマジバトルするという壮大にしてシリアスな大筋がある中で、キャラクター自身を掘り下げた戦争とあまり関係の無いエピソードも多い。ストーリーよりキャラクターを重視した作品であった。
JJの軽薄なようで実は熱い男気を持った性格は魅力的で良い。アイドル好きで仕事に遅刻しまくりというのも愛すべき点であった。JJ役の関俊彦は本作が初レギュラーだったらしい。
チャンプの二枚目のふりしてそうでもない気の抜けた感じは愛すべき点であった。あの見た目と性格で編み物が得意というのがツボだった。
ヒロインのアップルとエイミは可愛かった。アップルの胸元が常に開いているのには目のやり場に困ることなくそこを凝視しまうのでBPOとしてどうなんだと思った。
アップル役の水谷優子、エイミ役の本多知恵子の二人は早くにお亡くなりになった惜しい人材であった。
メカニックのデイブも熱い男で好きだった。戦場に立つことは怖くてできないが自分はメカ担当で命をかけると告白した回は痺れた。
オパオパというサポートメカが出てくるが、コレどっかで見たことあるなと思ったらセガ発売ゲーム「ファンタジーゾーン」のキャラクターだった。セガが提供の作品だからコラボしているわけだ。しかしあのゲームは難しかったんだよな。
ジリオンを所持する三人用のオート三輪トライチャージャーが変形してロボスーツになるのはカッコイイ。バイクがと人が合体してバトルスーツになるのは「機甲創世記モスピーダ」でも見られた演出だ。
放送時期がかつてバブルと呼ばれたうたかたの時代であったため、そんなバブルのマストファッションアイテムである肩パットをつけたホワイト・ナッツの戦闘服が印象的であった。
西部劇での拳銃の発砲音に耳を慣らしている私には、同じ銃は銃でも光線銃であるジリオンの何やら近未来の科学的な物を感じる独特の発砲音は新鮮であった。あの音が耳に気持ち良い。
後半では色々ワケあって敵側の生命力が持たないという流れになり、勝手に死んで行く奴もいた。人間が滅びそうだったのと逆にノーザが絶滅しかけた時に、ノーザ星人の卵を打ち抜くことに躊躇するホワイト・ナッツメンバーの姿が描かれた。正義は一体どこにあるといったような単純に味方と敵で分けて考えられない観念めいた深いラストとなった。
これのOVAがあるのだが、キャラクターは同じでも世界観と設定が全然違うものであった。ホワイト・ナッツの長官であったMr.ゴードンがオネエのバーテンとして登場するのが特徴的であった。
赤い光弾が君の胸に迫る!
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