こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ぼっちの美学を見よ!「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」

 

 「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」という昨今のラノベ界に充満する長ったらしいタイトル作品群の一つに分類される作品は2013年4月にアニメ化され全13話が放送された。縮めて「俺がいる」と呼ばれている。

 あの名作も振り返れば5年前のアニメ作品かと思うと時の激流の速さに恐れをなしてしまう。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。/ SNAFU

 

 本作は大変面白く私も大好きな作品で本放送からしっかりチェックしていた。これを5年ぶりに視聴しようと思ったきっかけは、つい最近私と私のお兄ちゃんとの会話中に本作の名が出てきたからである。

 私のお兄ちゃんが「やはり俺の青春ラブコメ何とかって俺妹(おれいも)の続編か何かなん?」と聞いてきたのだ。

 以前、世間の面白いをイマイチ知らず、そんでもってとても暇していたお兄ちゃんが「面白いアニメを教えて」と私に言って来たので私は「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」というアニメを紹介した。

 すると、面白いに餓えているこのお兄ちゃんは一発で俺妹にハマり暇暇地獄から抜け出たのだ。ラノベ童貞であるゆえ色々わかっていない彼はそれ以来長いタイトルで「俺」と入っていれば伏見先生の名作の派生作品か続編かと考えるようになっていた。

 

 私には私のお兄ちゃんがした「俺がいる」と「俺妹」て何か関係あるの?という問いは猫っていう犬種がいるの?って問うのと同じくらいに愚かなる問いと書いて愚問と思えたわけである。

 

 というワケでこういったお兄ちゃんとの愉快な問答にきっかけを得て本作を再び見てみようと決定したのだ。

 

本編について

 ぼっちで捻くれた主人公 比企谷八幡(ひきがや はちまん)が怖い女教師の平塚先生の命によって奉仕部という部活に図らずも入部することになり、部員の雪ノ下雪乃と協力して困った悩みを相談しにくる生徒をお助けするという流れから始まる群像劇となっている。

 

 主人公が根暗なぼっち、クラスの端っこにいて存在感が無い、女子にキモがられている、同級生からは勝手にヒッキー、ヒキオ、苗字を読み違えてヒキタニ君と呼ばれているという主人公にあるまじきあんまりな初期設定になっている。ここらの残念ステータスは物語進行と共に徐々に改善されていくことになる。

 群れることを嫌い、ボッチを貫く精神はある意味で勇ましい。建て前を言って醜くも体裁を取り繕う者よりもヒールを演じる役回りになっても個人主義を貫く八幡の方がすばらしい。性格がひねているのに根性がまがっていないという良く分からない魅力を持つ主人公に描かれている点が良い。

 ぼっちの八幡は若くして人間関係の酸いも甘いも経験して人間関係を完全に面倒臭がっている。ゆえにぼっちのくせして人一倍人間観察力に長け、人間心理を読み取る高い能力を習得している。なんだかんだで人を見抜く目を持っている彼は気配りが出来て結果良いヤツな行動もとれている。

 願望としてぼっちをとっているが、他人を見抜いて理解できるから集団行動への対応ができるというエリートぼっちであることがわかる。ただ単に集団から跳ねられたために孤高を気取るしか選択肢の無かったそこらの寂しい学生とは次元が違う。八幡はぼっちを美学にまで昇華させている。

 

 アニメ内で主人公八幡のぼっちに関するモノローグが語られるのを聞くとひねていているのにその理屈に納得し共感してしまう。皆で仲良くはいいこととされる。だからといって反対のぼっちが非難されることかと言うとそうではないのだ。

 このいつもアンニュイで口を開けば理屈っぽい面倒なことを言う主人公が私自身と考えがとても似ていて激しく共感できるので大好きである。

 

 学校で職場体験の希望を取った時に会社出勤しない専業主夫を目指している八幡は主夫の仕事場である自宅の見学を希望したのがウけた。これは考え付かないナイスアイデア

 

 この作品の魅力の一つは人物同士の軽妙な会話劇にある。中でも一番面白いのは比企屋八幡と雪ノ下雪乃の両者が互いに豊富な語彙力と多彩な表現力を用いて仲良くハイレベルな口喧嘩を行うシーンである。一般の高校生には真似できない次元でバチバチやりあっている。雪ノ下に口喧嘩を吹っかけた同級生女子 三浦は雪ノ下に論破されて泣かされたこともあった。怖い。

 魅力的なツインヒロインの一人雪ノ下は容姿端麗な見た目とは裏腹に結構腹黒くて毒舌が過ぎる。この雪ノ下を演じて前々からナチュラルにドSの演技に定評があった早見沙織のドS演技がより深みを増したと勝手に思っている。はやみんのドS演技が超好き。

 雪ノ下とは対照的に明るく社交的でちょっと頭ゆるそうだが超絶可愛いもう一人のヒロイン由比ヶ浜結衣もとても魅力的。というかこの作品の登場キャラは男女共に良いキャラをしている。特に女子キャラは可愛い。

 雪ノ下と由比ヶ浜が仲良くなってゆる~く百合感だしているところは、日中仏頂面で通している私でもニヤけが止まらなかった。

 由比ヶ浜が文化祭で言った「待っていてもしょうがない人は待たない こっちから行くの」のセリフが印象的ですごく好き。ブルゾンちえみと逆のこと言ってる~。

 元気でちょっぴりアホな感じのする由比ヶ浜を演じた東山奈央ちゃんの声がキャラとすごいあっていた。

 

 少ない男性キャラの中で一際光っているのが葉山隼人である。この葉山は根暗で暗いヤツに描かれている主人公八幡と真逆の本来なら主人公に相応しい清々しい青年に描かれている。

 葉山も後に深く八幡と関わることになる。光と影のように全く異なるこの二人を見比べるのも面白い。対照的な二人の人物の行動を辿れば、人間の持つ集団心理と個別心理それぞれが理解できる。中身が違えどそれぞれが間違いなく人間ならではの思考と理解できるので人間って不思議で奥が深いと思わされる。

 

 ぼっちの精神を持つ八幡が奉仕部の雪ノ下、後に加わる由比ヶ浜と一緒にお悩み相談者の依頼を受けて行動する過程で集団に関わることで、思春期を迎えた学生の感情の機微が織り成す上質な群像劇が繰り広げられていた。この人物同士の交錯する関係性を描くのが最高に楽しいポイントである。

 人と人との関係が複雑で一筋縄にいかないのを気づかせる本作を見て夏目漱石の「三四郎」を読んだ後のような気分になった。  

 

 とにかく良く練られたシナリオや深みのあるセリフを生み出してる原作者先生がスゴイ腕を持っていると感心できる作品であった。人間をよく理解していないとコレは書けない。

  まぁ、重ねて言うがシナリオとかの魅力を除いても女子キャラが可愛いので目の保養になる。声優も良い。

 

 あと、デブの中二病男子生徒の材木座というヤツがかなり強烈なおバカキャラで面白い。アニオタ男子の2割か3割が抱くであろう「声優さんと結婚したい」という野望を抱いている点もしっかり痛い。

 

 

 やなぎなぎの歌うOP曲「ユキトキ」は曲説明をだらだら論じる余地無く神。

 テレビでは流れないラストサビの「雪解けと一緒に春にかわっていくよ」の歌詞でなんか泣ける。OP動画もスタイリッシュで良し。聞くたびに私の心に積もる雪が解けては涙となって流れて行く。

 

 


Oregairu opening 1

 

 

 

 私はかなり磨かれたぼっちだが、人間大好きです。