こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

訛り言葉を直しレディになる「ピグマリオン」

 f:id:koshinori:20170703084918p:plain

 

 ついに明けた2018年初の一冊となったのはバーナード・ショー作の戯曲「ピグマリオン」である。

 中身は特に知らずにタイトルだけ見てなんとなく読んで見た。

 

 どぎつい訛り言葉を発する花売り娘イライザが言語の科学である音声学の教授ヒギンズの指導の下で訛り言葉を矯正し、気品漂う振る舞いができるレディになるお話である。

 どっかで聞いた話だと思ったらいつぞや見たヘップバーン主演映画「マイ・フェア・レディ」と同じではないか。調べるとピグマリオンを原作にした映画が「マイ・フェア・レディ」だとわかった。

 映画「ローマの休日」で町娘に扮する実は王女様の役を演じたヘップバーンが「マイ・フェア・レディ」では訛っている上に結構汚い言葉使いをするマジな田舎娘を演じていたのでそのギャップにちょっと驚いた覚えがある。

 

 この小説ピグマリオンでも初期のイライザは愉快に訛った言葉を扱う下卑た少女に描かれている。

 ヒギンズ教授が皮肉家で擦れていてものすごく口が悪い。ヒギンズが愉快にイライザをディスる様が面白い。

 訛り矯正前のイライザについては

「こんな耳障りな騒音を発するする女はどこにもいる権利はない 生きている権利もない」

「ドブ板に泥水を流したような英語の発音」

「腐ったキャベツ」

「英語に対する侮辱の権化」

 などなどのイカした表現を用いたたくさんの罵詈雑言を浴びせている。

 

 やはり会話劇で進行する戯曲ならではセリフの面白さが冴える作品であった。

 ヒギンズがマザコンでママ大好きであるので若い子に興味がいかず独身主義を抱えている点が印象的であった。

 

 話の流れ的に日々の訓練の中でイライザとヒギンズが愛し合って結ばれてのシンデレラストーリー的な展開を予想したのだが、それに反して最後ではお互い結婚は無いという決別の道を選び、イライザは他の男と結婚して花屋を経営して自立して行く。

 結末がちょっと変化球だったね。

 

 イライザの父親が仕事を適当にして金に困る程のろくでなしだったのだが話しの後半でひょんなことから金持ちになってしまう。しかし、富や地位があったらあったで不自由的な悩みを抱えるところに人生の深さを感じた。分相応を守って生きていくのが人生エンジョイの秘訣であるとわかった。

 

 私も発音とかに関しては問題ない言葉使いであるが、時に地方特有の地方弁を扱うので他所の地域の人には「何それ どうゆう意味?」と問われることもある。私はイライザ程の困った訛り言葉は発しないが、イライザに少し共感するところもあった。

 

ピグマリオン (光文社古典新訳文庫)

ピグマリオン (光文社古典新訳文庫)

 

 

 私は方言女子が好きです。

 

スポンサードリンク