私には連れ添って10年目となる相棒がいる。
一つ所に留まって単調な生活を送ること、性(さが)と体質によってそれを行えない私には長く連れ添う人間の相棒はどうしても出来なかった。まぁ欲しいとも思わなかったがな。
そんな私でも、アイテムであれば、しかも持ち運びが楽な物なら人生を長く共にすることが可能だ。
それが何かと言うとズバリ「携帯電話」である。
今から10年前に購入したものである。まだスマホがなかった頃なので、私の10年来の相棒はガラケーなのである。10年経ったがまだまだ現役でいける。使用8年目程でカメラ機能が作動しなくなり、静止画も動画も撮れなくなったことを除けば、使用するにあたって何も問題はない。他には、同じく使用8年目にして電池パックを交換したくらいである。ネットで何か用があれば全てパソコンで行うので、ネットに関しては携帯では用はない。普段はメールと電話だけの連絡ツールとして使っている。それからたまにカレンダーとアラームの機能も使ったりする。
親や兄弟が「いい加減スマホにすれば?」と言うが、私は元々物を大切にする性質の人間であるし、他にもレトロ好きな一面もあるのでコレを廃棄して新しい物を手に入れるなど考えられない。10年も使えばいい加減愛着が湧いて手放すことを考えると寂しくもなる。
私はかなりコアな「仮面ライダー」ファンである。シリーズは全て見ている。その中で「仮面ライダー555(ファイズ)」は今となっては懐かしい折りたたみ式の携帯電話をベルトに差し込んで変身する。あの頃はまだチビで携帯電話を持っていなかった私は、パカパカできるあのタイプの携帯電話を見て「カッコイイ!」と思ったわけである。
そういう思い出もあって折りたたみの出来るガラケーは手放させない。
クイズ番組で見たのだが、携帯電話使用者の中でスマホを所持をする者の割合がものすごく高いと出ていた。もはやガラケーも絶滅しかけている。
寂しいなぁ……私は寂しい。ちょっと前までは、昼夜お構い無しに街や電車の中や学校でガラケーを出し入れするパカパカ音が聞こえていたのに。あれもすっかり懐メロとなってしまった。
諸行無常というが、あれには言い意味もあるが、こうしてむなしくなる意味も含まれている。
今日も私はパカパカ音を立ててガラケー開いて使う。
ガラケー万歳!