こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

週末は踊るに限る「サタデー・ナイト・フィーバー」

 「サタデー・ナイト・フィーバー」は1977年公開のアメリカ映画。

 週末のディスコで弾ける若者を描いた青春物語で、公開した年から考えて確実に古臭いのだが、そんな中でもパワフルなダンスと軽快なディスコミュージック、そしてメインとして登場する若者達の溢れる生命力から活気に満ちた作品だと想う。古いがパワーじゃ負けていない。そういう映画であった。見終わると、何だか踊りだしたくなる元気をもらえる作品。この作品が世界的にヒットして日本でもディスコ文化が流行りだしたとかいうことである。

 

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 ジョン・トラボルタ演じる主人公の青年トニーは昼間はしがないペンキ屋の店員、そして夜にはディスコで踊りまくるフロアのキングと変貌を遂げる。2つの顔を持つ彼の青春を追っていく内容となっている。

 ジョン・トラボルタの顎の割れ具合が程良い。そして胸毛の量がすごいと想った。

 

 トニーの部屋には「ブルース・リー」「アル・パチーノ」「シルヴェスター・スタローン」のポスターが貼っていた。作中でも友達とブルース・リーの映画を見に行こうと相談するシーンがあった。

 ディスコフロアでアル・パチーノに似ていると言われたトニーは家に帰っておばあちゃんに「俺はアル・パチーノだ」とか言ってアル・パチーノが映画「狼たちの午後」で言った名セリフ「アッティカアッティカ」を叫んでいた。分かる人には「ふふっ」っと笑える他所の映画ネタが放り込まれていた。

 

 友達とディスコに繰り出して遊ぶことから頭の悪いパリピを描く映画なのか、という個人的偏見から生まれた作品イメージとは大きく異なり、本作はディスコのシーン以外では割と等身大の悩める青年トニーの青春が描かれる。

 競争社会の虚しさを知った少年たちはどこか将来に希望を見いだせないでいる。トニーはバカな友人に囲まれる日々、ペンキ屋で働く日々に満足しきれないままに日常を送っていく。家に帰ればリストラに合った父、昔から優秀だったのに急に神父を辞めた兄、うるさい母の家族に囲まれてそこそこにストレスを感じている。

 トニーのペンキ屋の給料が4ドル上がったことを父親に報告すると、父親が「4ドルなんてクソだ」と返すシーンがある。これには、無職のジジイが頑張った息子になんてことを言うんだと想った。トニーが食後に食器を片付けていたら「女の仕事だ」と言って止めさたこともあったので、トニーの父親がかなりいけ好かないと想った。

 

 トニーは友達4人と車に乗ってディスコに通うが、その際の車の有り難い役目はディスコで気に入った女性を連れ込んで車内で「やることをやる」というもの。車通いの者はこの点で有利。それにしてもこの時代の若者の貞操観念はどうなってんの?と想うくらいに軽い。

 トニーの友達の一人は女性をうっかり妊娠させて、生むのか中絶するのかを色々な人に聞いて回っている。こういうシーンから若者のそこら辺の責任問題についての注意を促している作品でもあると想った。

 トニーの友達の一人が街で悪党に襲われて病院送りになった後、仇討ちだと言ってかなり大着に狙いをつけて他所のクラブに乗り込んでトニー達は暴れまくる。しかし後になって冷静になって考えると「本当にあいつらが犯人だったのか」という自分達の行動への疑いが湧く。このシーンでは早とちりなアホ共だなと想ってしまった。

 

 ディスコフロアでのダンスシーンは理屈抜きに見ていて楽しい。このジャンル特有のダンスだと想う。やはりインパクトあるのが、有名なあの決めポーズ。絶妙なダサさとコミカルさ、そして格好良さもちゃんと混じった不思議な魅力があるのがあのポーズである。

 トニーが一人で踊りまくるところもあるが、皆が加わったちゃんと動きの合ったダンスも行う。この謎の一体感は何だ、と想いつつもとにかく心地よい。そしてディスコミュージックというのが個人的にかなり波長があう種類の音楽で、聴いていて上がる。

 音楽や照明の当たり具合などから良い雰囲気の社交場だとは想うものの、ディスコフロアは絶対に行きたくない場所だとも想った。何せ私、文学青年なもので。

 

 トニーがステファニーとドライブに行った時に大橋を指して、橋の中にはうっかりセメントに落ちた作業員がそのまま閉じ込められていると話す。これには「何それ、普通に怖い」と想った。これ本当なのかな。

 

 トニーのちょっと暗めな日常パートとディスコでのノリノリな楽しさで、いい具合にバランスが取れ、結果的には全部見た後には「おもしろい」と言える作品となっていた。

 

 

 

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