こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

君の瞳に乾杯「カサブランカ」

 「カサブランカ」は1942年公開のアメリカ映画。とんでもなく古い白黒映画だが、魅力がタップリ詰まっているので見て損は無しだ。

 

カサブランカ (字幕版)

 

 時は1941年、第2次大戦世界大戦下でドイツに自国を占領された多くの人々はアメリカへの亡命を計ったという。しかし戦時中にはそれを行うことがとにかく大変。軍の目が光っているからだ。そういう訳で、アメリカ行きの船が出るリスボンへ向かうには、とんでもない遠回りをしないといけなかった。

 ものすごく疲れる思いをして、人々はフランス領のカサブランカを目指す。そしてそこで出国ビザをゲットした者はめでたく新大陸アメリカを目指すことが出来る。だが、苦労してそこまで来ても、この出国ビザを手にすることも容易でなかったという。多くの者が手にできるかどうかわからない希望を胸に描いてカサブランカの地で足止めを喰らったという。

 本作はそんな時代に多くの者が足止めを喰らった運命の地カサブランカを舞台にした珠玉のラブ&ロマンス作品である。

 

 この作品はここ10年で4回も見ている。

 一度は学校で見た。歳のいったおっさん教員が「こういった歴史が、またこういった名作があったのだと知っておけ」という親心から見せてくれた。

 作品の下敷きとなった第2次大戦世界大戦中の世界のことは、当時を知らないのでひとまず置いといて、とりあえずラブロマンスの要素は素敵だと思えた。かつてパリで恋人同士だったリックとイルザがカサブランカの地で再び出会い、その時イルザは夫にしてドイツ抵抗運動のリーダーであるラズロと行動を共にしていた。戦争下の危うい状況下に置いても、人が人を愛することを止められはしない。メインの登場人物三人による恋の三角関係が形成される。マクロスを見た時から私は三角関係が大好きで、算数の授業で図形の単元に突入すれば授業そっちのけでそこら辺の趣味のことを考える、そんなヤツであった。個人的にストライクな作品である。

 作中でリックの口から数回飛び出る名セリフ「君の瞳に乾杯」は、言ってみて~と思わずにはいられない。が、しかしそんな私は下戸である。

 

 この作品を見ると、ジュリーこと沢田研二の名曲「カサブランカ・ダンディ」、そして郷ひろみの名曲「哀愁のカサブランカ」もセットで思い出す。それから映画の中でサムが歌う「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」も雰囲気出ていて酔いしれるぜ。

 

 何回見ても素敵に痺れる作品だぜ!

 

 戦争映画であることも重要な要素なのだが、それよりも良いのは愛に生きる男を描いていること。ハンフリー・ボガート演じるリックの男らしさがとにかく良い。

 普段はクールに装い、薄情な男に見えなくもないリックだが、その内面は愛に溢れていて、弱い者に味方する心優しき男である。

 若い夫婦の亡命を助けるためにイカサマをしてまでギャンブルで儲けさせたり、自分の店の店員に対しても優しい。

 最終的には自らも危険な目に会いながら、ラズロとイルザを出国させたのは格好良かった。愛も大事だが、大義もということで、愛するイルザをラズロに譲る形を取った。

 

 リックの社交性とコミュニケーション技術に長ける点も印象的。

 通行証を持っている疑いをがかかっているリックは、警察署長や軍の少佐に目をつけられて、店の会話の中でそれとなく牽制されているが、いつもウィットに富んだ返しをしてやり過ごしている。言葉による駆け引き的なものが面白い作品だと想う。この辺りのオシャレで軽快なセリフ回しはお気に入り。ルノー署長もそうだが、どこか掴みどころがないのない感じの人物達が好きだった。

 

 ラズロがリックの店でフランス国家を歌い、客の皆も合唱を始めるシーンが印象的だった。泣きながら歌う人もいて胸にぐっと来るものがあった。ここら辺で侵略を受けても自国の誇りを失わせないという戦争に対する強い意志が見られ、戦争下の物語なのだと強く意識することになった。 

 

 ルノー署長も実は反ドイツ主義の人間とラストで分かり、ラストシーンでリックとルノーが霧の中を歩いて行くシーンは記憶に残る。

 

 あと気になる点は、リックの店で皆がタバコをふかしすぎということ。煙の量がすごいんだよな。絶対臭そう。煙の臭いNGな私では1分といられないであろうと想った。

 

 結果として、戦争の絡んだ当時の世界情勢について理解していなくても、ラブロマンスとしてしっかり見れる作品だと想う。

 そしてイルザ役のイングリット・バーグマンは今見ても良い女。

 

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 それでは今夜も君の瞳に乾杯!

 

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