こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

緻密に練られた強盗術「地下室のメロディー」

 「地下室のメロディー」は1963年に公開されたフランス映画。

 

 主演のアラン・ドロンジャン・ギャバンの存在感がなかなかスゴイ!

 

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内容

 出所したおっさんギャングのシャルルは、性懲りもなくカジノの金庫からお金を盗み出す計画を立てる。刑務所で目を付けた若手のワルのフランシス、その義兄のルイを仲間にして三人でことに挑む。

 ゆっくりと時間をかけ、緻密に練られた計画を確実にこなすことで、一味は大金を盗み出すことに成功する。しかし、その後の逃げ出す手順でミスが起きる。

 覆面を被って強盗を行ったが、カバンだけはスタッフにしっかり覚えられていた。フランシスがそのカバンを持って外を歩いていたので、警察に捕まるのは時間の問題である。

 にっちもさっちも行かなくなったフランシスは、最後には泊まっていた施設のプールに札束を詰め込んだカバンを沈めた。プールの底でカバンの蓋が開き、プールにはゆっくりと札が浮き上がる。しばらくすると札で埋められたプールに客達が気づいて騒ぎ出す。プール付近にいたシャルルとフランシスが、金を持ち逃げ出来なかったことに絶望する中で物語は幕を閉じる。

 

感想

 物語はジャン・ギャバン演じるおっさんギャングのシャルルがお勤めご苦労さんして街に帰って来るところから始まる。シャルルがマジにギャングに見えるので怖い。

 バスで家まで移動中のシャルルは、真面目に務める乗客の方々の苦労話を聞いては「安月給でクソみたいな仕事をするなんて嫌だね」的なことを想う。これには労働嫌いの私も共感してしまう。

 シャルルが家に帰還するまでの間にOP曲がかかってテロップが流れる。このOP曲がかなりオシャレで格好良かった。

 


メインテーマ ~映画「地下室のメロディー」より~ "MELODIE EN SOUS-SOL"

 

 

 出所して嫁とおいしいご馳走を食ったシャルルは、務所の中でご馳走を想い描いていたのに、実際に食べると気分が悪くなったと言って残す。務所でくさい飯を食うのに慣れたあとに高級なものを食べると胃がビックリするのかなと想った。

 

 シャルルがワルにかけてはプロということで、作戦を立てる時に頭がいいなと思わす。若くてイケメンのフランシスをカジノの客として先に潜入させ、そこの踊り子娘と仲良くなることで、スタッフしか入れないような施設の裏口を調べさせる。大金のためには女の一人や二人くらいたらしこむくらいの人心掌握術がいるらしい。

 

 フランシスは狭い通気口を通って、地下金庫に降りるEVの上に出る。この侵入シーンは長めに映るのだが、閉所恐怖症の私としては、自分だったらこんな場所は耐えられないとゾッとする想いで見ていた。閉所恐怖症だったら泥棒は出来ない。

 

 鮮やかな手口で金を奪って次の日を迎え、まだ現地でまったりとしているというプロの余裕を見せる一味だったが、その後にフランシスが新聞に写っている、顔は見られていないが金を詰め込んだカバンは覚えられているというミスをしでかしたと分かる。

 警察がスタッフを取り調べするプールサイドには客としてシャルルとフランシスもいた。スタッフが警察にカバンの特徴を詳しく話し、フランシスはそれを聞きながら、まさに今そのカバンを手にしているのをまずいと想い肝を冷やす。このシーンではいつカバンが警察に気づかれるのかとドキドキした。

 カバンの情報が出回った状態でこの地を抜けるのは無理と想ったフランシスは、とうとう現金を諦め、札束の詰まったカバンをでプールに沈める。

 そしてラストの一種幻想的とも言える札で埋まったプールの画が完了する。このラストカットはすばらしい。計画は失敗したわけだが、この後犯行に関わった三人はどうなったのかは分からないまま終わる。まぁカバンを手放せば、あとは普通に逃げられるのかなとその後の物語展開を予想して楽しめた。

 

 大変スリリングで面白い犯罪映画だった。犯行手口も鮮やかだったし、逃げ出すのに失敗した時も衝撃的な土産ものを残していったので、見終えて強く印象の残る作品だった。

 

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