汚れなきあの日(ティーンエイジ)の心に帰ってみたい。そう想った私は、1865年に発刊されたルイス・キャロルの代表作「不思議の国のアリス」を手に取り、この秋の夜長を楽しむことにした。
昨今の色んなアニメを見ても、この作品の名前が出たりパロネタになっていたりする。世界的にヒットした児童文学である。大昔にディズニーアニメ化したのを懐かしく思い出す。
内容
ある日アリスが姉とまったり過ごしているところへ、一匹の兎が走り去って行った。その兎はチョッキを着て、時計で時間を見ながらとにかく急いでいる。それを追いかけたアリスは大きな穴に落ちる。穴の向こうには不思議な世界が広がり、そこでアリスの冒険が始まる、という子供心を引き込むストーリーである。
感想
まず、アリスのキャラってこんなのだっけ?と想った。アニメのアリスしか知らないけど、アニメだったらもっと大人しい感じだったと想う。こっちの原作ではアリスが結構おてんばで、喋りも独り言&独りノリツッコミが多めのなかなか愉快なお嬢様に設定されていた。
そしてアリスと調子を合わすように、やや漫談ぽい口調で進める語りもクセがあって意外だった。「不思議の国のアリス」ってこんなテンションの話だったっけと想った。
この語りは嫌いじゃないけど。私が手に取った新潮社の訳はそんな感じだった。
アリスは謎のアイテムで体が大きくなったり小さくなったりして、謎多き人外連中と出会っていく。登場キャラはトランプの兵隊や王様、お姫様、チェシャ猫、あとは喋る虫とか動物、まともな人間キャラはアリスとその姉くらいだった。
アリスは様々なキャラクターに会って会話をするが、いずれの相手とも会話が噛み合っていない。登場キャラが意味不明なことを言うシーンが多い。やたらと民の首を切りたがるクレジイジーなトランプの女王様とかやばかった。
謎のセリフ、それに謎の詩も挿入される。これは当時の教訓や流行歌のパロディが含まれているとのことだが、古いし外国のことなので私にはよく分からない。
お茶会のシーンやウミガメモドキと喋るシーン、最後の裁判のシーンなど、読んでもちょっと分からないというシーンも多数。あとはトランプの王国でやったクロケー大会ってなんだって想った。
なかなかカオスな世界観だと想う。
アリスの冒険には目標とかオチとかは特にない。
夢オチだったということで、唐突に目が覚めて現実世界に戻る。そして最後は姉目線でアリスを見つめ、アリスがどんな大人になるのか的なことを言って終わった。このお姉さんは雰囲気からしていい女な感じがした。
これは当時ならではのウケるノリとネタなのだろう。少女が異世界を冒険するこの設定は古今東西の子どもたちに受けるだろうが、今の日本の子供がこれを読んでも理解できないのではないかと想った。
中々興味深くはあるが、謎なテンションの話でもあった。
これの続編の「鏡の国のアリス」もあるのでそちらもチェックすることにしよう。
- 作者: ルイスキャロル,金子国義,Lewis Carroll,矢川澄子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/02/25
- メディア: 文庫
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そう言えば最近、野生の兎を見なくなったな。
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