こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

月は出ているか!「機動新世紀ガンダムX」

機動新世紀ガンダムX」は、1996年4月から12月にかけて放送された全39話のテレビアニメ。

 

 リアル放送は見ていないが、ゲームボーイアドバンスソフト「スーパーロボット大戦R」に参戦したことから「ガンダムX」が大変気になり始めた。そしてここ10年くらいでDVDレンタルを二周行っている。ちなみにスパロボRで使える「X」のキャラは、皆スタメンにしてステータスマックスにしといた。

 

 グッと心を掴まれる秀逸なストーリー構成が成されているんだな。登場キャラもイケメンと美女だらけで、シリーズ中でもキャラの顔面偏差値がかなり高いと想う。

 これの前にやった「ガンダムW」では、ヒロインキャラは個性的で良いのだが、顔がちょっと好みでないっていうのが多かった。Xの女子キャラは可愛い。これは絶対。

 

 そんなXだが、ガンダムのテレビシリーズにしては珍しい3クール放送となった。聞く所によると、人気がいまいち、打ち切り、といった具合であまり良いお噂は聞かない。しかし、私個人としてはコレは絶対に良い!出てくるガンダムのデザインだって最高だ。まぁこの時期はガンダムもシリーズをたくさん重ね、それゆえ時代に必要とされなくなった時期なのかもしれない。戦争ものだから、そればかり流すと見る方も疲れるよね。時間を開けて、たまにバンと弾ける内容をお届けするのがガンダム的魅せ方かもしれない。と勝手に考察しておく。

 

 そのXを再び見たきっかけは、去年(2018年)になってBD化したから。忙しかったもので、BDを視聴するのが今年にもつれ込んでしまった。というかBD化が遅いわ。これの後に放送したテレビシリーズの「∀(ターンエー)」や「SEED」が先にBD化して、Xがこんなに遅れるかね。なんだこの冷遇は。と、そこには色々事情があるのだろうが、XをBD化するのにモタついたことにはちょっと怒りを感じていた。それだけに、BD化が嬉しかった。

 

 そして楽しんだ久しぶりの3周目の視聴。大変良かった。痺れたぜ。BDってやっぱり綺麗。

 いいものは何度見てもやっぱり良い。もう23年も前の作品なのに、色褪せない魅力が詰まっている。

 

 久しぶりの「X」に感動したので、やっぱりこのブログに色々と書き殴っていこうと想う。いや~元ストリートファイターなもので、相手が人でもブログでも殴っちゃうんだなぁ。血潮の盛りをまだまだ過ぎない今日このごろである。

 

機動新世紀ガンダムX Blu-rayメモリアルボックス (メーカー特典なし)

 

 ガンダムということで、シリーズに共通するモビルスーツを用いての悲惨な戦争、その中で交錯しあう人間模様。この要素はやはりある。

 恐ろしく、そして汚らわしい戦争をスタイリッシュに見せること、濃い群像劇、これはやはりガンダムシリーズ全体でのお楽しみポイントだと改めて気づく。Xでもこの点では魅せてくれる展開が成されている。

 

 ファーストガンダムの時期からちょいちょい出てくる作品ワードの「ニュータイプ」。本作ではその「ニュータイプ」って結局何なの?という点を掘り下げ、突き詰めて行く。最も「ニュータイプ」という概念に触れた作品であったのが印象的であった。

 主人公のガンダムパイロットガロードは、ニュータイプではない普通の少年の身にして、未知なるニュータイプの世界に足を突っ込む。その先で彼が、自分にはニュータイプの力がないと苦悩する点も描かれる。

 

 前作の「ガンダムW」でも火力豊富なガンダムが登場したが、今作ではその点がもっと派手。ガンダムXに搭載されたサテライトシステムによる必殺武器「サテライトキャノン」は威力がスゴ過ぎる。月衛星基地から届くマイクロウェーブを用いてのド派手武器は作品の象徴と言えよう。マジカッコいいぜ。

 他の武器では、ビーム発射口が複数あるハモニカ砲、またの名をディバイダーも印象的だった。

 

 Xの面白い仕掛けは、EDにある。EDでは、EDアニメーションを流しながら、次回予告、そのナレーションもセットで行われる。EDの間中次週放送内容が見られるので、予告映像が長くて良い。そして最後には、次週のどこかでキャラが言うセリフが読まれ、それが次話のサブタイトルになる。よって全話のサブタイトルは、その回で誰かだ言うセリフになっている。次の回では、サブタイトルのセリフを誰が言い、どこで出てくるのかを探すという楽しみが生まれる。斬新だったし、何か格好良かった。印象的なセリフはたくさんある。あとはED曲の三曲はどれも良かった。そしてナレーション役の光岡湧太郎のイケボがまた良い。

 

 好きなサブタイトル or セリフを上げていこう。

       ↓

1話「月は出ているか?」ジャミル

5話「銃爪(ひきがね)はお前が引け」ジャミル

7話「ガンダム、売るよ!」ガロード

9話「巷に雨の降るごとく」テクス

11話「何も考えずに走れ!」ジャミル

15話「天国なんてあるのかな」ロアビィ

22話「15年目の亡霊」カトック

27話「おさらばで御座います」リー将軍

 

 全部良いんだけど、抜粋するとここら辺が挙げられる。

 リー将軍の「おさらばで御座います」にはマジで泣いた。

  エアマスターに乗るウィッツ、レオパルドに乗るロアビィが休暇を貰い、その先でそれぞれのドラマが展開する第15話「天国なんてあるのかな」は、ガンダムらしからぬ、また別物の哀愁が漂う神回だった。

 

 

 Xの1話の段階では、15年前に既に大きな戦争が終わっている。そんな作品舞台となるのは、戦後15年が過ぎてもまだ戦争の残り火がくすぶる世界。コロニー落としの傷跡を残す地球は、荒廃としていて、人々の治安も良いものとは言えない。見る所を見れば、「北斗の拳」のような終わった世界観も漂っている。地球には長らく冬が訪れ、太陽が見えない時期が長く続いたと言う。恐ろしい設定だ。

 主人公少年ガロード・ランは、モビルスーツをはじめ、なにかしらのジャンク品を売っぱらって生活する孤独な人生を送っている。何でも屋的に何でも依頼を引き受けて生計を立てるガロードは、謎の少女ティファを探して連れてくるという依頼を引き受け、ティファと運命の出会いを果たす。

 ティファは「ニュータイプ」の少女とされ、その力を求め、利用しようとする悪い連中に追われる。ガロードはそれを助け、なんだかんだの内に、ジャミル率いるバルチャーという過去の戦闘で残った使える部品とかを回収して売る軍団の仲間となる。

 

 ガロードとティファとのボーイ・ミーツ・ガールの素敵な恋物語が物語の主軸となっていく。最初はガキのガロードも戦いを通じて確実に大人に、そして男になって行く。

 その一方で、15年前の戦争では軍のエースパイロットを務めた元ニュータイプジャミルニートの贖罪の戦いも濃く描かれる。戦争によって精神を病んだジャミルは、一時はコックピット恐怖症になり、兵士として戦えなくなる。自分のように戦争で傷つくニュータイプを救うため、ジャミルニュータイプを保護することに邁進する。ジャミルは戦艦フリーデンの艦長で、皆のリーダー。まだまだガキのガロードを良き方向に導くお父さん的なポジションキャラで素敵すぎた。

 ジャミルの「月は出ているか?」のセリフはあまりにも有名。その他にはガロードに対して言った「銃爪(ひきがね)はお前が引け」「何も考えずに走れ!」のセリフも印象的でかなり好き。上記3つのセリフはサブタイトルにもなっている。

 最終回でおもむろにサングラスを外すジャミルは格好良すぎ。演じた堀内賢雄の声も良い。

 

 フリーデン搭乗メンバー、他の脇役まで皆それぞれを掘り下げ、心の成長を遂げる様を描いている。主役のガロードだけではなく、多くのキャラにスポットが当てられる。好きなキャラが多い。

 

 ガロードの周りのおっさんキャラ達が格好よい。ダブルエックス奪取を命をかけて手助けしてくれたカトック。飴、ガムなどを間食しがちで口癖が「死んだ女房の口癖だ」のおじさんだった。彼の言った「死んだ女房の口癖だ」「15年目の亡霊」のセリフは2話連続でサブタイトルになった。

 身を持って戦士の矜持を証明し、壮絶な死を遂げたリー将軍。最初はムカついたけど最後には良いやつだったルクスも良かった。

 フリーデンには医師として搭乗しているテクスも忘れられない。ポジションでは脇役なのに、格好良いから目立ち過ぎている。免許の有無は謎だが、カウンセラーとしても一流の腕を持っている。怪我を治す以外にも、フリーデン搭乗員達の心を癒やす言葉をさり気なく投げかける。絶対に若い子にモテそう。

 

 とにかくキャラが良いんだな。お堅い感じがするサラなんてエロいし、エニルの危険な匂いのするエッチなお姉さん感も良い。エニルは今は亡き本多知恵子が演じているので、ちょっと泣きそうになった。カリスを演じた水谷優子も亡くなっている。BD化する間に、亡くなった役者の方もちらほら見られた。そんだけ昔の作品ってことか。

 

 ガロード達と敵対する、ヴァザーゴ、アシュタロンの二機のガンダムを駆る強敵フロスト兄弟、こいつらは作品を語る上で無視出来ない。二人共格好良いイケメンなのだが、狂気性とキモさがつきまとうグロテスクなキャラ性を持っていた。私の周りにいるガンダムXを知る者からは、変態兄弟と呼ばれていた。スパロボRだったらこの兄弟はかなり強いので相手するのが嫌だったな。弟オルバの特徴である語尾に「兄さん」を付ける喋りは真似したな。てか、あいつ兄さん好きすぎだろ。とにかくこの兄弟は名物キャラとなった。

 

 役者のことを言うと、サラを演じたかかずゆみ、ウィッツを演じた中井和哉は、初レギュラーで、ど新人の時分に出演したとのこと。確かにかかずの芝居は初々しい。この人の声、高くて可愛いから好き。オーコメで、関西から出てきた中井和哉が、公衆電話で母や友人に電話をかけるって話を聞くと泣けてきた。今ではワンピースに出てたり、バラエティ番組のナレーションも呼んでる売れっ子の中井和哉だが、新人の時には心寂しい思いもあったのだなと想うと感慨深いものがある。

 うるさいキャラをやるイメージのかないみかが、無口なヒロインティファを演じて大人しいのも印象的だった。ティファはとにかく可愛い。

 一番思い出があるのが、ガロードの顔と声が初見では「うん?」ってなる話。ガロードはイケメンでどっちかって言うと、女性がやるようなキャラだと想っていた。「テニスの王子様」の越前的な声を予想していたのだが、高木渉の悪ガキボイスだったから、最初は意外な声だと想った。しかし、今ではもうガロードの声は高木渉しかいない、誰が何と言おうと、高木渉が演じて良かったと想う。最終回までの間に違和感は無くなっている。3クールの内に、高木がガロードを自分のものにしたって証だ。

 こんな感じで、長いガンダムの歴史のみならず、アニメに命を吹き込む声優達の成長ぶりも見て感じ、そして本人の口から聞くことも出来る。良きアニメであり、良きBD-BOXであった。

 

 39話という通常よりも短い話数だが、ストーリーに破綻はなく、むしろ余計な部分無くギュッと凝縮されて見やすかった。却ってソレが良かったのかもしれない。スタッフコメンタリーでは、もう1クールあったら死んでたかもしれないというくらいに製作が大変だったらしい。やっぱりコレでいいのだ、な終わり方だった。

 

 話は面白いし、ガンダムも格好良い、キャラも魅力的、メインもゲストも有名声優が登場する。もっと人気が出て評価されても良い作品だと想う。

 

 

 最後に、「月はいつもそこにある」(最終回サブタイトル)

 

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