こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

こしのり漫遊記 その34「壁を這う魔物」

               

     f:id:koshinori:20170607173257p:plain

 

 

 

 我が家で空き家を一軒所有している。そこは別荘扱いで、たまに人が出入りするくらい。今は父の持ち物だが、その内には私が住むかもしれない。そこは父の母、つまりは私の祖母が元々管理していた家だ。彼女は亡くなる前に管理を私に任せると言ってよこした。仲良しの祖母の頼みとあらば無視するわけにも行かず、たまに私が家の掃除に行ってる。

 

 昔の人間は何でこうも植木が好きなのか、庭に次々と何かを植えやがる。あっという間に成長し、壁を越えて隣の家まで伸びるから困る。ボロの鋸でそれを切るのも私の仕事。家の中よりも庭の掃除が大変。草や木の始末が面倒。庭からは意外な量のゴミが出る。そんな感じで、大変ながらも庭の手入れは出来ていた。

 

 最近あることに気づいた。家の裏の方に回ると、めっちゃツタが這っている。家の表ばかり見ていたから長らく気づかなかった。家の裏には狭い水路が走っている。ツタは水路の壁を這い、我が家のブロック塀を越え、家の壁にまで這っている。雨樋にまで侵入する勢いだ。血管みたいで気持ち悪い。

 とりあえず敷地内に侵入してきたツタは取った。これがどこまでも続くから適当なところで鋸で切る。その作業で一時間半くらいかかった。かなりの量だった。

 ツタを取ってもその内にはまだ伸びてくる。家の壁の凸凹にも根を張っていて、取っても跡が残る。ちょっとした被害だなコレ。

 恐ろしい成長力で向こう三つくらい向こうの家のブロック塀を這っている。水路の上に顔を出しても一体どこから来ているのか根っこを辿れない。下は水路なので降りて辿ることは出来ない。とりあえずツタの先っぽは私の家まで来ている。一つ奥の家の婆さんが出てきて、そろそろ自分の家にも届きそうだから手前の私の家のところに来ているツタを始末してくれとか言ってきた。私の飼っている植物ではないのに苦情みたいなことを言われた。これは困った。このツタの根っこがどこの家にあるのか分かれば乗り込んでさっさと始末しろと文句でも言ってやれるのだが、根っこを追えない。こういう時はどうすればよいのだろうか。

 

 生活でお困りのことがあればとりあえず市役所かなと思い、かくかくじかじかな訳で困っていると電話したら、農林水産課だったか、そんな感じの部署に回された。その水路まで出向いてツタの謎を調査するからちょっと待ってと言われた。とりあえず電話したけど、役所仕事っていまいちあてにならんな~(申し訳ないけど)と思い、期待せずに連絡を待っていた。

 すると一週間くらいして電話が帰ってきた。調べてみると水路から発生したものでないからうちでは扱えんと言われた。まぁ期待してなかったけど連中では手を打てないということだった。

 

 で、次は生活うんたら課とかいう部署に話を回された。こうして話がたらい回しになると良くない空気が漂う。数日経ってそのうんたら課から連絡が来た。根っこを調べると道路から来ているとのこと。とりあえず根本を切断したという。これで栄養が届かなくなってそれ以上は伸びないと言う。まぁそれだけやってくれてご苦労さんなんだけど。現在数十メートルも壁を這っている分は始末してくれないのね?期待していた分の仕事はしてくれなかった。自然発生のものだったらしく、誰も悪くないがこの件は総括して腹が立ったな。

 というか、ツタがあれだけ伸びてるんだから放置して二、三年なんてことはないはず、もっと長いことかかっているはずだ。現に苦情を言う住民もいたのに何でここの連中は誰も手を打とうとしなかったんだ。手前の家の者に話を聞くと、「もう諦めて毎年切るしかないと思っている」とか言ってた。そう言う割にはその奥の私の家にまで伸びてるし。団地にある家なんだけど、住んでる者が始末を怠って、たまに掃除に来るよそ者の私が市に電話するとかどうよ?ちゃんと自分の住んでいる土地を管理しろよって思った。よくこんなになるまで放っておいたなと想う。

 

 意外にも元気に伸びるツタの生命力が怖い。芋づるみたいに細いところは良いけど、ほとんど木くらい太くなっている箇所もあって切るのにも力がいった。

 夏になって葉っぱが出てくる前に対処しておいて良かった。

 根本は切断したとは言って来たけど、まだ心配なんだよな。何か落ち度があってまた伸びてくるような気もしないではない。

 この夏もツタに要注意だ。家の窓とか割って伸びることもあるらしいからな。

 

 スポンサードリンク