「電人ザボーガー」は1974年4月から1975年6月までテレビ放送された全52話の特撮ドラマ。
もう45年も前の番組だと想うと特撮の歴史も長いと思える。
主なストーリーは二部構成となっていて、39話まではΣ団との戦いを描き、40話から52話までは「電人ザボーガー対恐竜軍団シリーズ」という副題が付き、その通り第二の敵恐竜軍団との戦いを描いている。
まずはザボーガーの思い出について語ろう。
今回、ザボーガーを見るのは始めてで、令和に入ってやっと見れたと嬉しく想う。
特撮好きだった私は、その手の図鑑を毛も生え揃わないチビの頃からよく読んでいた。その中でザボーガーの姿も確認し、しっかり覚えていた。ガンダムみたいで格好良いと想っていた。というわけで見たこともないのにザボーガー愛が膨らんだ。見たいと想ってもレンタルビデオ屋にソフトがおいてないので、見たことがあるという親戚連中に話だけは聞いていた。
200円のガチャポンでザボーガーのフィギュアが出たことがあった。実機は見たことがないけど、その手のマニアショップに行って中身だけ購入した。ザボーガーのガチャポンフィギュアは今でも大切に保管している。
そんな訳で「電人ザボーガー」を見た感想をつらつらと書いていこう。
電人ザボーガァァァ!ゴオォォ!
作品内容は、秘密警察の大門豊と、その魂の弟にして高性能ロボである「ザボーガー」が共闘して世界に蔓延る悪を討伐するというもの。
特撮と言えば変身ヒーローがほとんどなところだが、この作品では人間の主人公大門豊は変身しない。マイクを通してザボーガーに音声で指示し、バディを組んで戦う。この人間とロボがバディを組んで戦うスタイルは珍しい。等身大ロボなところが「ジャイアンロボ」とは違うんだなぁ。
ザボーガーには様々な機能が搭載され、作り手のアイデアが詰まっている。
頭が割れて小さいヘリコプターが出てくる。足先からミニカーが出てくる。これらは敵を追跡、偵察するために使える。ヘリコプターはロープをくくりつけることで高所に登ることを可能とした。こんな感じでザボーガー一体でちょっとした要塞になっているから子供心的に言って楽しい。要塞と言えば砲台があれば文句ないところだが、それもしっかり装備されている。口には必殺の「速射破壊銃」が仕込まれている。
スーパーロボットらしく両耳はブーメンランカッターになるし、手はチェーン式のロケットパンチになる。
一番すぐれものな点はバイクに変形できること。これに豊が乗ることでスピーディーな移動を可能とする。
バイク変形時は小学校のやわらか体操の「ウルトラマン」のポーズみたいにザボーガーが反り返っている。
ザボーガーはロボなので当然強いが、大門豊も生身ながら相当な訓練を積んだ拳法の使い手として描かれる。当時はブルース・リーの拳法アクションが時代の流行りだったことから、大門豊も拳を打ち込んだ後には吠えるというブルース・リー風なアクションを展開する。時代の流行りを取り込むこの姿勢は前向きでよろしい。
大門豊は必殺の「飛竜三段蹴り」で敵を蹴散らした。後には「秘密戦隊ゴレンジャー」のアオレンジャーが「空中六段蹴り」を披露するので、そっちのがすごいなと思い出した。
大門豊を演じた山口暁は、この一年前に放送した仮面ライダーV3に登場したライダーマンこと結城丈二を演じている。顔を見てすぐに「結城丈二やん!」と言ってしまった。なにせ私はライダーマニア。特撮マニアの間では「この人がいなけりゃ今日の東京はなかった(ライダーマンは東京に打ち込まれたプルトン爆弾を食い止めるために爆死しました→そして英雄化)」とまで言われて崇拝されているあのライダーマン俳優なので嬉しかった。それにしても大門豊の顔面、整ってるなぁ。
大門豊の父は世紀の発明「ダイモニウム」の生みの親。豊の弟としてダイモニウムを搭載した万能ロボザボーガーを完成させた。そしてそれが形見になる。
悪の組織Σ団のボス悪之宮博士と大門博士は旧知の仲だったが、己の悪の野望のために悪之宮博士は大門博士を殺して人の研究であるダイモニウムの技術を盗む。かなりのクズ悪党。Σ団は科学技術を用いて世界侵略を展開し、物語の要所要所でも優秀な科学者を無理やり仲間に引き込もうと画策する。1~39話までの第一部ではΣ団との壮絶な戦いが描かれる。これまでたくさんの人と出会ってきたけど「悪之宮」なんて名前の人には会ったことがない。
第一話ではザボーガーはこれだけのことが出来て大門豊も負けじと強いということを我々に見せつけてくれたが、二話からは逆サイドのΣ団の組織力がどれ程のものかを見せつけてくれた。
いきなり世界各地のボスを日本に招集し、さながら「デルザー軍団」集結を思わす危機感迫るテンションになった。この時に集まってくるキングアフリカとかアパッチドリルとかの生身をやや改造したような連中がかなりインパクトがあった。
悪之宮博士は冷酷な悪党で、任務に失敗した者には厳しい処罰を下し、裏切り者となれば容赦なく殺す。世界から集まった幹部クラスの者の中にも裏切り者がいると分かるとクールに処刑する。科学者ということでやはり頭が良く、その上狡知に長けて冷静ときている。車椅子に乗った爺さんということで見た目的にはやや弱々しい感じもするのだが、その言動には悪のカリスマ性を感じた。
そんな悪之宮博士だが、一部の後半に差し掛かると作戦の失敗が続く怒りを堪えきれず、ややヒスっぽい言動をとるようになった。彼に段々と余裕がなくなってくる様も描かれていた。
大門豊は一話目でΣ団に殴り込んだものの、ボコボコの返り討ちにされ、ほぼ死んだ状態で身を寄せる新田家に返される。後に新田警部がボコボコにされた時にもちゃんとトラックで家の前に届けた。ボコボコ→自宅送迎、これがΣ団の流儀。
大門豊は一回死んだっぽいけどまた復活する。医者がレントゲンを撮ったところ、胸に「電極が見える」というのだが、これは大門豊が子供の頃に父が埋め込んだ回路だった。このために窮地からも体のダメージが回復した。その説明を聞いた医者が「なら仕方ない」的な感じであっさり電極の謎を受け入れるのにちょっと笑えた。
こんな感じで父の大門博士の発明はすごい。物語のキーワードともなる「ダイモニウム」とは、無機物に生命を与えることが出来るとんでもない発明だとされる。
悪之宮博士はこの技術を用いてロボなりロボ人間なりを生み出して侵略行為を続ける。
Σ団のロボは基本的に二足歩行のものだが、第一部後半にはロボの胴体と車をくっつけた4輪駆動ロボが登場した。車の上に手の長いロボがくっついたのがいたり、大きなブルドックの顔がついた車などが出てきた。意外と評判が良かったのか、車タイプロボが連投される時期があった。個人的には珍しいデザインで意外性もあって好きだった。「仮面ライダーブラックRX」に登場する「怪魔ロボット ガンガディン」がこんなかんじの車ロボで好きだったと思い出す。
悪之宮博士の右手的幹部のミスボーグが良かった。全身銀色タイツを纏い、初期では全身サイボーグに変身して戦うこともあった。あの変身設定がなぜ無くなったのか謎。ミスボーグが美人でスタイルも良くてけっこうエロかった。全身タイツを脱いで一般人に変装してもイケてた。顔が良いので隠すと損と想って中の人の顔が見えなくなる変身設定はなくなったのかな。
ミスボーグをはじめ、大門豊を支えたヒロインの新田美代、恐竜帝国の王女メザも美人さんだった。
番組を盛り上げるための追加キャラとして、中盤には大門豊かのライバルキャラ秋月玄が登場する。最初は変な帽子をかぶっていてカラーギャングみたいに思えたけど、帽子を脱げば男前だと分かった。悪之宮博士に拾われて育ったことから恩義があってΣ団で働いているが、根は真面目で卑怯なことが大嫌い。特撮界にたまにいる悪者に向かないダークヒーローだった。(ハカイダーとかトップガンダーなどが良い例)
途中で出会った孤児の女の子と大門豊の説得によって改心し、Σ団を抜けて孤児院で生活することになった。ええ話や。
第二部の敵組織「恐竜軍団」は悪之宮博士を倒して悪のトップに成り代わった。ボスの魔神三ツ首は世界六大陸を沈めて恐竜帝国の復興を企む。キングギドラの頃から首が複数ある竜とか好き。
前半のΣ団が最新の科学を用いて頭良く世界を侵略したのに対し、こいつらは神奈川県の洞窟に眠っていたのが復活したということで、規模の小さい組織だしえらく古めかしい。なにせ恐竜だし。でも、科学よりも前から生物に備わる暴力を使って分かりやすく侵略することが結局一番怖いとも想った。
恐竜帝国の刺客は強敵で、さしものザボーガーもダウンしてしまう。ここからは子供心をワクワクさせるザボーガーのパワーアップが行われる。
新たに仲間になったバイク乗り松江 健の操る「マシーン・ハッハ」とマシーン・ザボーガーが合体して「ストロング・ザボーガー」になる。パワーアップしたザボーガーもまた格好良い。
健がなかなか可愛らしく青臭い若者として描かれている。それまでは未熟な点を警察の先輩である新田警部から指摘されていた大門豊だが、健に対しては兄貴分の立場になり、愚行に走る健を諭すこともあった。確実に豊の心の成長も見られる。
健の初登場時の衣装がカラーギャングの帝王みたいで何かすごかった。それ以降は派手さをやや押さえたデザインに変わった。
恐竜帝国幹部の「悪魔ハット」、後に登場するその弟「爆弾ハット」(弟は都会のヒップホッパー的ノリで面白い)は「悪魔くん」のメフィスト兄弟を彷彿とさせる。
後半に子供の浩君が敵の攻撃で負傷して死んでしまうのはショッキングだったが、大門豊同様、胸に電極を仕込んで復活した。大門博士の研究は医療にも最適。
最終回の最終決戦では魔神三ツ首と刺し違えてストロングザボーガーが爆発してしまう。無事敵を倒して世界を救った大門豊だが、父の形見にして魂の弟でもあるザボーガーを失った。哀愁漂うラストだった。
途中でインターポールの試験を受けに外国に行ったきり出てこなくなる新田警部が、最終回の一週間後には帰国するという情報が開示されたのに何か安心した。
新田警部が日本を後にしてから、それまで以上に大門豊をサポートした中野刑事が好きだった。警察だけどどこか抜けているおもしろキャラで、緊張すると水虫が痒くなるという設定も笑えた。
OP曲が格好良い。歌っている人が同じだからか、なんだか「仮面ライダーアマゾン」のOPぽくも聞こえる。
次回予告のナレーションが後半回に行くほどテンションを上げて読んでいるように思えた。予告ナレは好きだった。
最後に「電人ザボーガァァァ!ゴオォォ!」
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