こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

日輪の輝きを恐れぬのなら、かかってこい「無敵鋼人ダイターン3」

無敵鋼人ダイターン3」は、 1978年6月から1979年3月まで放送された全40話のテレビアニメ。

 

 ダイターンといえば、スパロボシリーズでは外せない強力ユニットとして重宝していたことを思い出す。額の日輪から放たれる必殺のサンアタック→敵の腹を丸く切り抜くダイターンクラッシュまでの流れは爽快で楽しかった。

 私が遊んでいたスーファミゲームボーイアドバンスの古いスパロボならサンアタックはパーティで一位くらいの破壊力があった。イベン上HPを削ると撤退してしまう敵ユニットがいた場合には、逃さず経験値を得るためにサンアタックで一撃必殺で撃ち抜くこともあった。そんなわけでダイターン3には大変お世話になっていた。

 敵のコロスとドン・ザウサーの大ボス二体は大変強くて撃退に苦労した。

 

 こんな感じでスパロボでしか知らなかったダイターン3を縁あって全話視聴することになった。

 

 ザンボット3に次ぐアニメ作品で、なんと40年も前の作品である。ガンダムよりも前の富野作品ということで一見の価値ありと判断した。

 

 富野監督としては本作の仕上げは忙しいお仕事となり、万全の状態で事にあたれなかったという。作画やキャラ設定などを含めたダイターンの仕上がりに対しては厳しい自己採点を下している。

 そんなダイターンだが、日本からイタリアに流れ、イタリアで大変人気になったという。もしかしたら日本よりもそっちでウケたのかもしれない。いずれにせよ彼ら職人の仕事が国を問わず今日にも生きているのは事実。私も楽しんで見たのでサンライズの皆さんにありがとうと言いたい。

 

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 噂の男 破嵐万丈(はらんばんじょう)が駆るダイターン3が、地球侵略のため火星からやって来るメガノイド軍団をやっつける物語が展開する。一話の段階から何かと噂の男となっている万丈は、敵からその他の人間にまで知られるちょっとした有名人。初回の段階ではどういう噂なのかと思ってしまう。ちょっとした噂になるくらいのナイスガイ、それが破嵐万丈である。

 

 多種多様の武器を用いて戦うダイターンのアクションシーンが特徴的。次々と武器が出てくる。

 スパロボでも強かったダイターンザンバー、足から出るダイターンキャノン、困った時のサンアタック乱れ打ちなどの武器は印象的。ザンバーを出す時のセリフ「出ろ、ザンバー」は、スパロボで知ってから真似していたお気にいりのセリフ。

 毎回の戦闘時に万丈が言う「この日輪の輝きを恐れぬのなら、かかってこい」は名セリフ。前作ザンボット3が月を冠するロボならこちらは日輪と来ている。どちらもおしゃれ。全然関係ないけど二機のロボの関係性から「太陽とシスコムーン」を思い出した。

 

 万丈達チームのコミカルなやり取りが楽しいアニメで、前作ザンボット3の重苦しくシリアスな感じはないライトな仕上がりになっていた。

 富野監督は前作の影響を受けない作りに尽力していると語っている。確かに月と太陽の関係性を除けば影響は受けていないと思う。

 

 万丈のサポートをするビューティフル・タチバナ、三条レイカのツインヒロイン。家事から戦闘まで何でも出来る万丈家の謎の執事ギャリソン時田。途中で仲間になるガキのトッポ。大きな組織ではなく万丈ファミリーのみで巨大なメガノイド軍団に立ち向かう。

 

 前作ザンボット3では、パイロットが全部ガキ、サポート役はパイロット達の両親や祖父母らといった地味なメンツで事に当たった。そこへ来くると万丈はユーモアとニヒルを併せ持つ都会風の男前、ビューティとレイカはスタイルの良いシティギャルにしてお色気要員でもあった。ギャリソンもおっさんとはいえおしゃれでハンサムで面白い。ダイターンのメンバーの方がずっと華がある。

 

 火星からえぐい額の金塊を奪取したため万丈には金がたっぷりある。良い屋敷の坊っちゃん状態で、完全にブルジョア。そんなわけで正義のヒーローをやっている万丈ファミリーの戦闘以外の暮らぶりはかなり余裕があるように見える。ビューティも社長令嬢なので完全にお嬢様と来ている。

 

 万丈大好きなビューティとレイカが小競り合いを繰り広げる展開が楽しい。どちらも大変可愛いヒロインだが、私はツインヒロインならレイカ派である。それから敵のコロスも良い。

 ウィットに富むイケてるジジイのギャリソン時田のポジションも見ていて面白い。

 キャラクター同士のコミカルな関係性や会話劇も面白い。

 

 万丈役の鈴置洋孝はじめ、キャストには既に亡くなった者が多い。今ではもう見れない名優達の芝居が見れる資料的価値がある作品でもある。 

 

 

 敵のメガノイドは人間を機械化したもので、ゆえに機械ながらどこか人間味のある者もいた。基本的にはドン・ザウサーの意志を代弁するコロスの指示に皆が従っているが、結構な数の者がコロスに反逆したり陰口を言ったりしているので統率はいまいちな感じもする。ドンの横に居座るコロスに嫉妬している者、ドンを討って軍団を乗っ取ろうと考える者もあった。プログラムで命令を聞く完全なるロボでないので、忠誠心の方が安定していなかった。

 また、メガノイドは恋愛が禁止されているが、掟に背いて恋をして駆け落ちして軍団を抜けた者もいた。禁止行為とされる恋愛を取り締まるための風紀委員がメガノイド内にある設定は意外だった。

 

 機械化したメガノイドは生殖して自分たちで仲間の数を増やすが出来ない。地球侵略を考えてはいるが、一気に人間を捕まえてメガノイド化せず、ちょっとずつ行う点は生々しく考えられた設定だった。

 一話では人間の中でも美女軍団を一気に捕まえてメガノイド化する作戦が展開される。万丈と敵との会話に「美女」のワードがちらほら出る点がちょっと面白かった。

 

 ザンボット3のメガブーストがグロテスクかつファンタスティックなデザインだったのに対し、こちらでは巨大化しても人型の敵なので見た目が安心。

 

 毎度の展開はギャグ要素などのコミカルでライトなものがほとんどだが、たまには悲劇を扱ったエピソードもある。万丈らメインの登場人達のかつての知人がメガノイドとなって敵に周ることもあった。

 

 そもそも敵のメガノイドの生みの親となったのは万丈の父親である。父の手によって万丈の兄と母もメガノイドの実験体にされた。基本はお気楽な青年の万丈だが、身内の研究のせいで地球がピンチになったという責任を背負いながらも戦う葛藤が濃く描かれることもあった。

 

 体を機械化して宇宙進出することで、人類は愚かな同族同士の争いをやめて平和な世界を目指せるというのがコロスの意志であることが後半で分かる。全くの敵意で動いているわけではないと分かるあたり、敵側にも少なからず感情移入してしまった。しかし、なんだかんだ言ってもそれは強者のエゴなのだろう。

 

 ゲームでも強敵として登場するドン・ザウサーとコロスの二人の敵キャラはやはり印象的だった。

 ロボット刑事の頭をふっとばして脳みそを丸見えにしたような歪なデザインのドン・ザウサーの存在感はやはり強い。意識を失っている状態で喋らないが、コロスのみは意思を汲み取ることが可能となっている。がしかし、これも本当かどうか、もしかすると全部コロスの独断なのでは?という路線もあるのかもしれないが詳しいことは分からない。

 ドン・ザウサーの心をコロスが喋って部下に命令を伝えるという妙な連絡手段が組織内で取られている。

 沈黙状態の大きなドン・ザウサーの横に妖艶な美女のコロスが控えるというミスマッチな取り合わせもまた異質にして印象的な画だった。美女と野獣のような敵のコンビが特徴的な作品でもあった。

 

 最終回には遂にドン・ザウサーが覚醒してダイターンと対決する。そしてしっかり喋る。激闘の果に万丈は行方不明となってしまう。 

 最終回ラストは印象的なもので、ます戦いが終わった万丈チームの皆は解散して万丈の屋敷を出ていく。次に無人となった屋敷の一室に明かりが灯って終わる。万丈の行方についてはっきりと分かる描写はないが、最後に見たあの明かりは生還した万丈が灯したものであって欲しい。この前、我が家のリモコン式の電灯が誤作動して勝手についたことがあったのだが、あの現象ではないと信じたい。

 

 日輪を味方にして正義のために戦い抜いた噂の男 破嵐万丈はきっと生きている。例え死んでもいつまでも私達の心に生きている。結果、彼は生きている。ありがとう破嵐万丈、ありがとうダイターン3、それからギャリソン時田。

 

 

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 OP曲は格好良いのでお気に入り。

 

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