こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

今キているジャニーズWESTの放つ名盤「W trouble」

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 西の才能集団ジャニーズWESTの認知度も世間的にはかなり広まった頃だろう。もうデビューして6年になるグループだ。最近になってやっと世間的にキテいると思えるようになった。

 

 新規ファンにマウントを取るようだが、私はもちろんデビュー時代から彼らを知っているし、CDも全部聴いている。なんなら桐山がBADだった時代からも知っている。

 

 メディア上では、後輩のキンプリがぐい~んと先に行ってしまっていることを、あくまでネタとして言っているが、彼ら7人だって出来る男達である。だからこそ、余裕で後輩を持ち上げるネタも吐けるというもの。ちなみに私はキンプリも好きで推している。

 

 まぁ西だからというのが頭にあるからこそこうなったのだろうが、元々の売り出し方が実力に見合わないちょっと変化球なものだったのかもしれない。初っ端のええじゃないか、次にはおおきに、その次にはズンドコと、往年のファンなら懐かしいお祭りはっちゃけ集団のイメージを植え付ける楽曲をリリースする時期が長かった。デビューしてしばらくしても「おーさか☆愛・EYE・哀」なんていう地域密着ソングを出していた。先輩の関ジャニ∞も、ある時期になると楽曲性として「大阪を離れよう」となったというので、彼らもいつまでも大阪ノリでいるのはマズイ。全国に売り出す歌唱力、パフォーマンス力、あとは単純に人間が面白いという様々な武器があるのになぜ出して行かないんだと長らく思いっていた。なお、先に上げたいくつかの曲は第一印象としては「変」とも取れるが、聞けばちゃんと良い曲でどれも好きな楽曲である。彼らの経歴にディスりを入れているわけではない。

 

 WESTと比べると、後発のキンプリ、スノストらの方がデビュー時の売り込みが派手で力が入っていたと思う。しかしWESTメンバーはジュニア歴もそこそこあるし、実力は確かなものだという定評を集めている。だからガツガツ売り込んで行かずとも、埋もれることなはいとファンが信じていたし、彼らも自負から余裕があったのかもしれない。WESTはどうせすごいんだからガツガツ行かなくても良い、それが私の意見であった。桐山なんかは黙っていてもすごい。

 

 現在のWESTはこれだけのことが出来る才能集団だということを以前よりも見せ付けている。それが如実に現れているのが今年3月に発売した6枚目のアルバムにして伝説の一枚となった「W trouble」である。発売から少し遅れた4月上旬にコイツを入手して聴いたところ、かなりすごいということが分かった。

 

 WESTのアルバムなら、既出シングル曲は一切なしの挑戦の一枚となった三枚目のアルバム「なうぇすと」が最強だと思っていたが、今回はそこを越えたかもしれない。「W trouble」は思い出深いアルバムである。丁度4月頃にはコロナのせいで予定していた新曲発売が延期になったりして新曲が出ない暇な時期が続き、そんな中で他に聴くものがないので本作を鬼擦りして聴いていた。CDだから良いがレコードならすり減っていただろう。

 

 ええじゃないかとかズンズンドコとか言っていた頃が嘘のように思えるくらい音楽性の高いものを上げて来ているし、なによりも歌唱力の高さが際立つ一枚になっている。このアルバムの売上は上々なものとなり、そのことについては先日放送した櫻井くんの「ザ・夜会」に出演したシゲが吠えてアピールしていた。売上の良さも納得の一枚である。

 

  まずは景気良く盛り上げる一発目の曲「W trouble」が大変格好良い。アルバムタイトルと同様のアルバムリード曲である。ここで彼らの新たな一面が見れる。

  密林が開けた先でとんでもなく格好良いパラダイスが待っていた、みたいなマジで勝手なイメージが広がるのが止まらない一曲だ。イントロにジャングル感がある。神山くんの伸びのあるイケボが冴える一曲となっている。サビで繰り返される「最高」のワードが印象的で、その通り最高の一曲だ。とにかくあがる格好良くて楽しい一曲だ。

 

 今年4月頭に放送したMステでのみ「W trouble」のパフォーマンスを見ることが出来た。大分格好良くて参った。曲もいいしダンスもかなり激しめで良い。後半で桐山がセンターに来るところはどうしても上がる。桐山のボス感はやはり弱くないものである。

 

 必殺のアルバムを引っさげてツアーを回る予定だったのが、憎きコロナ騒ぎのせいで無しになったのが悔やまれる。今回のアルバムは大分強いので、これでツアーを回れば元々のファンをもっと沼に落とし、新規のファンだってうんさか獲得出来たはずだ。桐山の勇姿を見ることが出来なかったこの悔しい思いは、Mステを録画したのを鬼リピすることで鎮めよう。 

 

 今回のアルバムには既出のシングル曲が4曲も入っている。「既出4曲もいらんから新曲詰め込んでよ」とシングルを鬼擦りして聴いた者達は思うかもしれないが、改めてこちらの4曲も完成度が高く、それぞれ違ったテイストで面白い。

 

 収録シングルの内「ホメチギリスト」は一瞬大分バカっぽいネーミングに思えるが、内容は決してそんなことはない。たまには己を鼓舞して頑張ろうぜ、という明るく前向きな応援メッセージが詰まりまくった素敵な一曲になっている。後半ではメンバーのありがたい応援セリフも聴ける。桐山が「今日ビール美味いやろうね~」って言ってるのが良い。初期の「ええじゃないか」とか「ジパングおおきに~」あたりの要素を感じる彼ららしい元気ソングである。

 

 ホメチギリストとはダブルA面曲の「傷だらけの愛」は、同時収録の割には随分テイストが違う格好良い一曲になっている。イントロのギター弦を弾く「ジャ、ジャ」って音が耳に心地よい。高音ボーカルが集まる集団がユニゾンで繰り返す「愛」の歌詞が気持ちよく反響するのもまた良い。我々アニメ好きが毎週楽しみに見ていたキャプテン翼のOP曲だったこともあるので、アニソン名曲としても数えられる。

 

「アメノチハレ」は、忘れもしない平成最後のオリコン1位曲だ。同時に平成最後の名曲(多分)にもなった。序盤で聴ける小瀧くんの「頑張ろう」の歌い方が良い。サビ前の神山くんの「ぐぅば~い」のところがおいしいパートである。

 

 去年のバレーボール大会を盛り上げた「Big Shot!!」はかなり作り込まれた名曲で、アルバムになって久しぶりに聴いても燃える。もっと初期にこれくらい攻めた楽しいポップなシングルをお見舞いしてやればよかったのにと思う。これぞ諸々のボーダーを取っ払って大衆に刺さる勝負の曲だったな。めっちゃ爽やかで格好良い曲で何回聴いても楽しいぜ。

「それが君の名前だ」「時代に選ばれし者になれ」のフレーズは、なんかヒーローものに出てくる燃えるセリフっぽくてオタク心にも刺さる。

 

 今回のアルバムは収録シングルの数が多いし、単体でそれぞれが強い。改めて最近のWESTのシングル曲の傾向が良いものだと言える。

 

 アルバム収録の新曲では「Glory Days 」が独特のノリで良い。激しく盛り上がったお祭りも終わりに差し掛かった時くらいのテンション、て感じがする曲だ。なんだろうか、控えめに漂うカーニバル感が愛しく心地よいこれまでになかった感じの曲だった。

 

 なんだかんだ色んな曲を褒めて来たが、このアルバムで、もっと言えば最近のWESTの曲で一番心揺さぶられた名曲が「Special Love 」である。これが一番良かった。

 おふざけは無しでガチにラブを歌う、しかもコーラスワークと歌唱力重視となる難しい一曲である。完成度が高いからこそ難しい。

 なんとゴスペラーズメンバー黒沢薫提供曲で、ゴスペラーズ感が強い。はっちゃけた西のお兄さんとして売ってきた彼らが、プロの音楽集団ゴスペラーズと同じ仕事をしているわけだから、そこから発生するギャップがすごい。この曲、めっちゃ格好良い。

 最新アルバムのここで、WESTはボーカル集団としてここまでのことが出来るのだと見せ付けている。皆良いのだが、特に高音で魅せるのがシゲ、神山、桐山の3人だ。彼らは歌が上手いとかの前に美声である。桐山がマジで格好つけて高音を響かすのは、マジで格好つけているだけあって当然格好良い。甘い声に酔いしれる。とにかくこの曲がすごかった。「WEST マジやん」て言っちゃったし。

「Special Love」を聴いて彼らの認識を改めた者はたくさんいるだろう。

 

 

 そんなわけでこの一枚、大変楽しかった。コロナでCDが出ない春の間は大分楽しませてもらった。もっとたくさんの地球人にWESTの、いや桐山の声を届けたいぜ。

 

 これに続く強力な一枚となった最新シングル「証拠」も大分良いので、こちらも絶賛鬼擦って聴いている。2020年のジャニーズWESTはキている。

 

 以上、ジャニーズWESTを持ち上げるだけのだらだらした時間でした。

 

 

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一味違う世界観のシレン「不思議のダンジョン 風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫」

不思議のダンジョン 風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫」は、2008年に発売したWiiソフト。2010年にはPSPに移植した。

 

 今回私がプレイしたのはPSP版である。

 

 先月スーファミシレンシリーズ一作目をプレイしてから「もっとダンジョンに潜りたい」と思うようになり、次は「シレン2」もやりたくなった。しかし2はニンテンドー64ソフトである。まず本体が倉庫のめっちゃ奥にあるし、我が家に何本とある64ソフトの中からシレン2一本を探すのが面倒だ。ていうかテレビゲームがそもそも面倒。いろいろと設置するのがだるい。こうなったら寝間で転んででもすぐに出来る携帯ゲームが良い。そんなわけで、コロナ給付10万円の中から数百円出して買ったのが本作「風来のシレン3」である。断言出来る、PSPはまだまだ現役で行けるのだと。

 

不思議のダンジョン 風来のシレン3 ポータブル - PSP

 

ざっくりとした内容

 シレンは叔父のセンセーから謎の鍵を受け取り、伝説のカラクリ城を目指す旅に出る。センセーはシレンの母の弟にあたる。

 旅の中でカラクリ城の謎に迫り、その過程でシレンの両親、それよりもっと前の先祖にも迫っていく展開となる。

 時を遡ること千年や二千年前から続く壮大な物語が描かれる。かぐや姫や竹取の翁などが登場し、おとぎ話、日本神話の設定も盛り込んだ荒唐無稽な展開となって行く。

 

感想

 まず本作だが、プレイ前からも結構な不評を耳にしている。過去シリーズとは色々と違った試みが見られる挑戦の一作だったが、それが裏目に出て往年のユーザーからは非難が集まったようだ。

 

 階段を上り下りした時、人の家に入った時の画面切り替えが遅いのは、プレイヤーにストレスを与える要素として目立つ。この指摘をする者は多いだろう。しかし私はちょっとの間にもキレるような辛抱のない性分ではないので、それくらいはゆっくり待って楽しんだ。後半は難易度高めだったりしたが、やはりシレンシリーズなので結果的には楽しめた。ハマる要素は十分にある。

 

 今回のシレンは見た目が随分大人。チビ表記のドット絵ではなく、リアル等身キャラデザになっている。なんだかモンスターハンターみたい。

 シリーズおなじみの敵モンスター連中もリアルな感じでちょっと変な感じがする。リアル描写のマムルは可愛かった。ちびキャラでないシレンシリーズという点にはちょっとだけ違和感を覚えた。

 美麗なグラフィックで装いも新たに参上したキャラクター達には結構な量のセリフがあるが、そこはファンの持つイメージのズレなどを考慮してか、PSPWiiになってもキャラボイスがない。がっかりなようで、これはこれで安心できる良い判断だったのかもしれない。

 

 大きくなったシレンはイケメンである。シレンの助っ人で参戦する女剣士アスカも24歳のリアル等身デザインで登場する。色々言われた作品だったらしいが、大きくなって大人っぽいアスカが見れたのには感動。チビ時代から時を経て美しくなっている。今作のアスカは可憐で華があり、そしてちょっとばかしエロい。今作のアスカにはドキドキする。今作の感想においてとにかく言いたい良かった点はアスカが可愛いということ。大人になったということで、昔の「ござる」口調は黒くくすんだの暦1ページとして封印されてしまっている。まぁ良いんだけど、人によってはその変更はもはや別人では?と思うこともあるかもしれない。

 

 シレンの他にアスカとセンセーも操作が可能になっている。私は推しヒロインのアスカをとにかく使いたいのでこの機能は嬉しかった。お供キャラを操作出来るのは良いが、ファーストのようにシレンが生き残っていれば他が死んでもセーフのルールは無くなり、誰か一人でも死んだらゲームオーバーになるのがキツイ。二人で旅に出るのに慣れると、戦力的には増したはずなのに三人操作の旅が意外と面倒に感じる。仲間キャラ操作がちょっとやっかいでもあった。

 

 ドラマ性をもたせるため、設定にこだわっているというのは分かる。シナリオを読んで行く展開も多い。しかし、ぶっちゃけ言うと、かぐやとかイザナミとかのことはどうでも良いのでさっさとダンジョンの旅を楽しみたいと思うのが風来人の性である。

 後半でシレンとアスカがタイマンでやり合うところは「なんでやねん!」と思い、とにかくアスカを殴るのに胸が傷んだ。

 

 RPGのように村の者からまぁまぁな時間をかけて聞き込みをするパート、要所に入るスキップ出来ないムービーなどは、悪いものではないがサクサク進める旅のペースを乱すものだった。一回死んでからの戻し作業でもまた長いムービーを見ないといけないのはちょっとイライラした。

 

 死んだら即最初からのシリーズ一発目と違い、この作品ではいくつかに分けたステージごとにセーブが出来る。その点では優しいかもしれない。しかし、全体的なことを言うと難しい。シレンシリーズ自体が簡単なものではないが、それでも今回のはちょっと不親切な点もあったりする。

 ボスキャラが多く、奴らには杖や御札が効かない。そのくせ向こうは恐ろしいくらいに全体攻撃、全体ステータス異常技を使ってくる。敵が強いんだよな。よっぽど装備を強化していない限りは、アイテムを整えておくことが勝敗の鍵となる。

 

 中盤からのボスは特に意地悪だ。近づいても遠くまでぶっ飛ばすカラク火車、復活能力を持ち、全体を混乱させる能力もあるカラクリローズには手を焼いた。ステータス回復アイテムがない状態で全体混乱なんかになったらもう終わりだ。混乱状態が続くターン数も長い。

 これで殺されてまた長いステージを一階からとなると、戻し作業にうんざりする。でもやりたくなるから続けるのだけどね。

 

 敵とのやり取りの面でどうしても気になることがある。一度は自分の運がないだけ、気のせいではないかと思って飲み込んだ意見だが、どうやらその範疇も出ているようなので今一度飲み込んだものを吐き出そう。その吐き出した意見というのが「こちら側の攻撃、当たらなすぎじゃない?」ということである。同じことを感じたプレイヤーがもしかするとこの地球上に何人かいるかもしれない。今回のシレンはそのくらいにこちらの命中率が低いのか、向こうの回避力が異常に高いのかしてとにかく攻撃が当たりにくい。当たると予想してかかったものが当たらなかったから、当然のようにプチイライラがやって来る。チリが積もって山になるのは早い。結構序盤からも攻撃当たらない問題のイライラが積もり、本格的なオコへと変わる。これは嫌な要素だったな。あと、こっちこそは運の問題だろうが、階段が見つからないイライラも他シリーズ以上に感じた。てかマップ広くない?

 

 普通なら片手に盾を装備するところを、今回シリーズでは防御を捨てて二刀流スタイルで行けるのが爽快で良い。慎重な私ではあるが、時には防御のことは考えずに2倍攻め込むスタイルも取りたいと思っていた。攻撃のハズレが多い分の保険として二刀流を推すのが私流儀となった。

 最初こそ、「盾なんか使わん」と言って二刀流で行くセンセーの慎重さを欠いたやり口に異論を唱えた私だが、やっぱり男ならズバズバ切る二刀流だよなという結論に至った。

 二刀流は出来ないものの、片手武器以上に強力な攻撃力を持つ両手持ち武器を装備出来るアスカにも盾は持たせない方針で行った。

 守りを捨てて攻めることが出来るという今回作の大胆な仕様は良い。

 

 

 シナリオは結構長い。翁が竜になったくらいで、こいつを倒して終わりっぽいと思ったらまだ続く。結構引っ張るな。ちなみに私はラスボスのイザナミ完全体を見るには至ったが、残念なことに殺されてそこでドロップアウトした。

 ラスボスステージまで進めると、昔のステージに戻ってアイテム集めや武器強化が出来なくなる。イザナミに挑むにはかなり近回りして行ったため、アイテムやレベル、なによりも武器の強度が足らなかった。ここまで来るとザコキャラも強すぎて積み状態になった。情けないが、イザナミに殺られた後には再びそこまで登る戻し作業をする気力がなかった。というか、そろそろ次のゲームもしたいと思っていたし。

 

 悔しくも私が負けてしまったイザナミを見事倒してくれた者が、この地上に幾人か存在している。そしてそいつがYoutubeにその瞬間を捉えた動画をアップしてくれているではないか。気が利く上に暇な連中がいる者だ。彼らの上げたクリア動画視聴を諸々の補完とし、このゲームは仕舞うことにした。

 

 どこでもダンジョンやメインシナリオクリア後に開かれる新たな道など、おまけ要素は他にも様々あったのようだが、まぁメインシナリオは最後まで見たのでそこらのことは良いかって感じ。

 

  楽しい点、文句として上がる点様々あったが、結果シレンシリーズは面白い。十分に楽しめた。重ねて言うが、今作に出てくる大人のアスカがとても良かった。危険な長旅の中で目の保養となったぜ。

 

 女忍者のおぼろというキャラが、定職に就かない風来人などフラフラした根無し草みたいなものだと軽くディスって来ることがある。だが、逆に定職になど就いたら風来人の名折れだぜ。風来人である以上、根を張らずにあちこち漫遊すれば良し。私もそんな生き様に憧れながらシレン達の冒険を心のアルバムに刻むのであった。

 

不思議のダンジョン 風来のシレン3 ポータブル - PSP

不思議のダンジョン 風来のシレン3 ポータブル - PSP

  • 発売日: 2010/01/28
  • メディア: Video Game
 

 

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晴れでも雨でも未来は大丈夫である「天気の子」

「天気の子」は、2019年7月19日に公開された劇場アニメ。

 かなりのヒットを飛ばした前作「君の名は。」から約3年ぶりとなる新海誠監督最新作品である。

 

 公開から約1年経ってやっと見れた。パッケージ化がありがたい。

 期待して視聴したところ、だいぶ楽しかったので2回見てしまった。

 

 絵が綺麗だしキャラデザも相変わらず好みである。メインヒロインの陽菜がめっちゃ可愛い。次点で活躍する夏美もかなり良かった。

 

 色々感動したので感想をだらだらと書き殴っていこう。

 

天気の子

 

 本作は、地元の島を脱して東京に家出した主人公少年 森嶋帆高が、雨を一時的に晴れにする不思議な力を持つヒロイン天野陽菜と出会って成長してラブも育てるファンタジックなボーイ・ミーツ・ガールものである。我々アニメ好きが好んで見たくなる安定のジャンルの一つであった。

 

 東京上陸前の船の中からでも、帆高は東京で生きていく恐ろしさと厳しさを実感していた。まずは東京って怖いと思える作品だった。未だに行ったことがない東京シティのことがちょっとばかし分かるお話だった。

 船の中で帆高が須賀さんにご馳走するビールが一瓶980円、ホテルの自販機で売っている唐揚げ、焼きそばも割高だ。カップラーメンが500円なのは恐ろしい値だった。東京の食い物って高い。

 ホテルのシーンで帆高が「カップラーメンは2分が丁度食べごろ」と伝えたのはCMにもなっていたと思い出す。

 

 とにかく東京で生き残るのは大変。金の問題は絶対について回る。宿がない帆高は、金がある内にはネットカフェで暮らしている。ネットカフェというのも昨今良く聞くようになったけど行ったことがないので、あんな場所なんだと学びになった。

 

 とにかく金がいるから仕事探しをする帆高少年。東京の街に知り合いがゼロでも、そこはネット社会の申し子ならではの情報を集めに出る。一人ぼっちがたくさんの脳で物事考えることが可能となる現代人の強い味方のネットコンテンツがヤフー知恵袋である。家出の未成年でも雇ってくれる仕事がないかと知恵袋で調べていた。優しい暇人の皆がすぐに情報をくれるのを見て「これがネット社会か」と実感した。「法律違反だから無理」「タヒね」みたいな厳しい意見が見える中、風俗関係ならそこらの事は緩いという情報を得て事務所に行くが「舐めんじゃねんねぇ」と追い返される。

 

 その後のシーンでは、ヒロインの陽菜が闇のスカウトにあう様子も描かれている。違法か、グレーなゾーンかのような怖いけどきっとある都会ならではの事情が見られる展開が印象的だった。東京で生き抜くのは厳しいのだ。

 帆高が陽菜に贈り物をする際にも、何が良いのかを検討するために再びヤフー知恵袋に世話になる。知恵袋のありがたみも分かるアニメだった。ちなみに、困難を前にしても自分一人の脳で突破することが十分に可能な私は、一生このサービスの世話になったことがない。

 

 東京での生活に困窮していた帆高にそっと「ビッグマック」を提供する陽菜は天使に見えた。箱を開いた瞬間にフワッっとしたパンの柔らかさが分かる描写が大変良い。とっても美味そう。

 

 いろいろあった結果、帆高は東京行きの船の中で一緒になった須賀さんと再会し、彼のオフィスで働くことになる。多分「ムー」的な雑誌に載せる記事を作成する事務所らしい。オカルティックな夢を追っては売るという素敵な仕事なので、控え目に言って出世である。

 

 就職後の帆高は、デカデカと「ムー」と書いてあるTシャツを着て働いている。「あのはな」のじんたんが着ていた「地底人」「白ネギ」とか書いてある謎ワードTシャツを思い出す。

 須賀さんの事務所の給料は月給3千円。安っ!もろもろ差っ引いてもこれは安い。我が祖父が言うには、昭和初期ならたいした稼ぎであるらしい。令和に入ってもこの賃金だから東京暮らしは厳しい。

 

 作中の東京は雨日が続く異常気象になっていて、後半では夏なのに雪が降って暖房をつけるくらい寒くなる。徐々に東京が水に沈み、「ARIA」の世界に近づいて行ってる。果てにはそこも飛び越えて「青の6号」や「AIKa」みたいな水浸しの世界になっていた。

 ファンタジー作品だが、こんな異常気象がリアルにやって来るのも案外遠くないのかもしれないと思うと怖いぜ。

 

 タイトルに「天気」というワードが入るだけあり、本作の全体的なイメージとして強く残るのは「めっちゃ雨降っている」と「めっちゃ晴れている」だった。雨降りのシーンは多く、その中で水の演出に拘っていると分かる。逆に晴れて行く様を描く時も、雨上がりの空ってこんなに素晴らしい、ということを最新の映像技術で伝えている。天気の演出は神がかって良い。

 主人公たちが雨を晴らす儀式巡礼をしているシーンを通し、晴れた空が人々の心を明るくしているということを現している。晴天を視界に入れれば心がリフレッシュするという天気と人間心理のあり方を描いているのが良い。

 

 雨を晴れにする100%の晴れ女の異名を取る陽菜が、雨を晴らして欲しい人々の元に訪れては雨と共に人々の曇った心も晴らして行く。陽菜の持つ異能力と呼んで問題ない特性を活かした新手の商売を描く展開には注目できる。一回3500円で晴れサービスを受けることが出来る。安いか高いかは晴れを求めるあなた次第。

 

 初業務の際には、陽菜の弟の凪が等身大のテルテル坊主になり、帆高はテルテル坊主を吊るしまくった傘をさして儀式の援護をしていた。成功しない限りはマジで胡散臭いだけの雨降り儀式にしかならない。晴れ女最初の勤務地となったフリーマーケットを管理をするおっさんが、早く帰ってもらえと指示を出す気持ちも分からないではない。

 

 晴れ女という最新ビジネスを、今どきの売り込み方であるネット予約で行っているのもなんかすごい。ヤフー知恵袋同様、放浪先でネットコンテンツに助けられている帆高少年が描かれている。ネットは家出の強い友になると分かる作品でもあった。

 晴れ女出張予約サイトトップ絵のカバに見えるカエルのイラストは陽菜が担当している。どうやら絵心いまいちなヒロインらしい。

  

 

 雨に包まれた東京の運命を変えるすごい力があるメインヒロインの陽菜は、それだけでも十分特徴的なヒロインだが、他にも良い点がさまざまあり、総合的に見て大変私のツボを突く推しヒロインとなった。とりあえずめっちゃ可愛い。

 私が陽菜に出会ったのは2020年だが、映画公開は2019年だったため、彼女は2010年台最後期のいわゆる「俺の嫁」枠ヒロインだったのではないだろうか。

 

 メインヒロイン陽菜の思い出を振り返りたい。

 

 天気を操る以外の陽菜の特性としてもう一つあるのは、本編中盤くらいまで引っ張った年齢詐称問題。 

 最初は今年18歳になると帆高に告げるが、実はまだ義務教育過程にある中3だと後で分かる。年齢を偽ったことがバレてマックのバイトは首になる。

 よく注意して見ていれば、家のカレンダーに記された陽菜の誕生日の欄に、次に迎える年齢の「15」の表示があり、帆高を捜索して取り調べに来る警官も児童だけで暮らすのはマズイと言ってきていた。そんなヒントをチラつかせていたにもかかわらず、梶君演じるリーゼントで態度の悪い刑事が、帆高に陽菜の年齢を告げるまでまさか帆高よりも年下とは気づかなかった。

 気づかないくらいに陽菜がしっかりしていて大人っぽいといういうことである。巨乳キャラの夏美さんみたく体付きに大人を感じるまでは行かないのだが、弟の面倒を見て働いて自炊も出来るという自立した女の一面を見せていた点で、帆高より年上感があったな。年齢において意外な驚きを見せた食わせ物ヒロインだった。めっちゃ可愛い。

 

 男帆高の女子のお宅初訪問となった陽菜の家でのシーンで見れる陽菜のお料理テクニックは大変印象的だった。やはりお料理女子は強い。陽菜の作ってくれるポテチ入り焼き飯が美味そう。チキンラーメンのサラダとかもアイデア料理で印象的だった。これが東京女子の腕前か。田舎暮しでは出てこない発想、とも言い切れないが、やはり都会暮らし者の冴えたるアイデア力は侮れない。

 ネギ、豆苗の根っこを水につけて栽培し、さっと料理に入れてくる女子力高めな点も惚れ惚れする。料理をしながらも、客人の家出少年帆高を放っておかず、悩みを聞いてやる態度を示す点にはお姉さん感を越えてママ感も感じた。ええヒロインや。

 しかし、この段階で本当の年齢は伏せられていたものの、年齢で言うと中3女子の家に上がるのにドキマギしていた帆高のことを思うと「プスス」という笑いも起きる。この反応は童貞だな。

 

 ホテルのシーンではマジでちょっとだけ陽菜の入浴シーンが見れたのが良かった。風呂上がりの女子の髪の香りにドキッとなっている帆高の心情が良く分かる表現も良い。

 ホテルのベッドでのシーンで髪を降ろした陽菜も良い。ここで陽菜渾身のヌードシーンが見れるのだが、晴れ女の呪い的な反動で体はスッケスケで良い景色は見れない。

 

 陽菜がめっちゃ可愛いけど、サブヒロインポジションの夏美も大変良い。サブにしては存在感と可愛さがありすぎる名キャラだと思う。巨乳のお色気枠でもあり、胸の谷間とかも見えている。色気たっぷりの目の保養キャラだった。

 前作「君の名は。」では、ヒロイン三葉がバスケをするシーンで乳揺れ現象が起きたことに大変衝撃を受けた。こちらの夏美も新海作品キャラとしてはかなり衝撃的なお色気番長だった。童貞(予想)の帆高少年の目線が胸に集中することを感じて「胸、見たでしょ」と強めに出てくる感じも良い。

ほしのこえ」「雲の向こう~」などの初期の暗いテイストの新海作品ではまず見られないポップな女子像と萌えがここにある。嬉しいことである。

 

 単車をぶっ飛ばして帆高を警察の追ってから助けてくれる所では素晴らしいドライブテクを見せてくれている。夏美が駆るバイクのピンクカラーのボディデザインがおしゃれで可愛い。それまで何社も就職試験に落ちた彼女が、白バイ隊員ならイケるかもと唐突に進路志望を口にするドライバーズハイ状態なシーンも良かった。頼れるお色気番長の夏美が一押しキャラだった。

 

 スケベな分析ばかりではなく、胸に響く人生観というものも本作から感じることが出来た。

 

 一見堕落した人間に見える須賀さんが、早くに亡くした妻を思って泣くシーンにはしんみりとする。ちゃらいように見えて奥さんのことが忘れられない須賀さんが、人間は歳を取ると大事なものの順番が入れ替えられなくなると呟く点に深い人生観を見た。心に響くセリフだった。

 形はどうあれ、東京を雨だらけの世界にしてしまう未来決定を行なった帆高に、世界なんて元々狂っていると言って励ます良き先輩の一面も見せた。須賀さんが何気なく言い放つ言葉に重きものを感じる。ガキに一瓶980円のビールを奢らせ、月給3000円しかくれないケチな一面も見せるが、物事の本質を見て喋る良きおっさんでもあった。好きなキャラだな。

 

 須賀さんを演じたのは小栗旬だった。小栗にアニメで会うのは「どうぶつの森」のとたけけの芝居以来だ。犬だけどたくさん聴いた歌手の一人に上がるのがとたけけである。

 ドラマ「GTO」では、女子にめっちゃ虐められていたガキ役だったのに、ここでは随分ダーティな役が出来るようになったものだ。そう思うと彼も経歴が長い。

 

 後半では、晴れ女の陽菜を人柱として天に捧げることで、雨や雪に覆われた東京の異常気象を正すことが出来ることが明らかになる。これに対して須賀さんは、一人の犠牲で東京が助かるなら歓迎だと言う。単体よりも全体が良くなることを意識した社会人の大人な意見だが、まだガキの帆高はそんな体裁は良いからとにかくマイオンリーワンのヒロインを取り戻すことに奔走する。がむしゃらなのは無様である一方、真っ直ぐで清々しくもある。東京の未来が暗黒に染まろうがなんだろうが警察に銃を向けてまで陽菜を天から奪い返した帆高の自己決定による行動には大きな成長が見れた。

 お利口に周りの顔色を見て皆の利益を追うのではなく、ただ一人のヒロインのためだけに後のことは無視して一生懸命に行動した帆高を描いたのが良かった。東京を救う選択肢を捨ててまで愛に走ったことは美しい。後に須賀さんが言うように、世界なんて元々狂っているんだから東京のことは無視して陽菜をゲットして正解だった。

 なんだかんだでおかしな未来になっても、二人が一緒なら「大丈夫」と最後には悟る帆高の爽やかな成長が見れて良かった。

 

 天気にまつわる謎を扱ったファンタジー展開にボーイミーツガールだけで十分面白かったが、そこに帆高がおもちゃと間違ってガチの拳銃を拾ってしまう非行少年要素を加えたのは意外性のあるドラマとなって良かった。悪意からではないが、いけない物を所持したことで、東京から引き上げた後も高校を出るまではまさかの保護観察扱いになるのは印象的な設定だった。帆高は良いヤツだが、地元では東京のお尋ね者として女子共に噂されているのがちょっと気の毒だけど面白い。帆高もなかなか愉快な青春を送っていると分かる。

 

 アニメファンに嬉しい仕掛けが、前作「君の名は。」に登場した瀧君と三葉が友情出演でちょこっとだけ出てくることだ。彼らを見つけた時には思わず「あれ?」と声が出てしまった。前情報がないから抜き打ちの感動要素だった。プチ同窓会気分になって楽しかった。

 

君の名は。」を見た数年前にも、なかなかの感動と衝撃を受けてここにダラダラとあれこれ書き殴ったのがまるで昨日のようである。

 

 瀧君は男前度がアップしていた気がする。こんなにイケメンだったっけ?と思った。

 瀧君の勧めを受け、帆高は陽菜の誕生日プレゼントの指輪を買うためショップに足を運ぶ。そこの店員が三葉だった。久しぶりに昔の女に会えた気分で嬉しい。三葉がめっちゃ可愛かった。ちょっと大人のエロスも出て良い感じだった。口噛み酒を作らせれば日本一の女も田舎を脱してジュエリーショップの売り子になり、すっかり垢抜けていた。良い傾向である。

 

 声優好きにウケるネタが、凪くんの二人の彼女を佐倉綾音花澤香菜が演じたこと。どちらの少女も演者の下の名前を取ってアヤネ、カナという名前に設定されている。どちらの声優も推しなのでこの仕掛は嬉しかった。

 

 老齢の刑事が登場するが、声がめっちゃ平泉成で、本業の声優でないにしてもこればかりは声を聴いて一発で分かった。小栗旬ら他の出役畑の出演者の中でも飛び抜けて声に特徴があるのが平泉成だった。好きなおっさん声である。

 

  なんだかんだで未来には希望の光が指しているという明るいメッセージ性が読み取れる作風が好きだった。大変感動した。あとはヒロインがめっちゃ可愛い。

 

 

 RADWIMPSの担当した主題歌の良さが改めて分かるものだった。これもセットで聴こう。

 

 

 愛に出来ることはめっちゃある。

 

 

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