こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

未来から自分の赤ちゃんがやってくる!「ママは小学4年生」

 1992年放送。全51話のテレビアニメ。

 小学4年生の女の子が15年後の未来からやって来た自分の赤ちゃんを育てるというタイムスリップを扱ったSFハートフルホームドラマ

 小学4年生といえばまだ10才なので志田未来ちゃんの「14才の母」どころの話ではない。

 

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あらすじ

 時は1992年、主人公水木なつみは親の仕事の都合のため、なんと第1話にしてロンドンへの転校がきまっていた。両親は急な用が入ったのでなつみより一日早くロンドンへ飛び立つ。一人だけで過すことになった日本最後の夜に雷が鳴り、ピかっと光るとリビングには見知らぬ赤ちゃんがいる。赤ちゃんと一緒に現れたコンパクトからは15年後のなつみの声がして、そこにいるのは15年後の2007年から来た自分の娘だと明かされる。

 赤ちゃんを未来に帰すまでの間、小学4年生のなつみが赤ちゃんのママになると決心する。未来からやってきた赤ちゃんの名は偶然にもみらいちゃんという名であった。

 なつみはロンドンへの転校を取り消して日本に残り、両親の留守を預かる叔母のいづみと愛犬ボビーと共に忙しい育児の日々を送ることになる。

 

 今となっては92年も07年も遥か遠い過去となってしまった。

 

感想

 実際、大人であっても赤ん坊の世話をするということは大変なことである。それを学生とママの二足の草鞋でもってやってのけるなつみはなかなかガッツがある。 

 みらいちゃんの存在を公にすると歴史に変化が起きるかもしれないという理由から物語の序盤では誰にもみらいちゃんの存在を明かすわけにいかず、学校に通う間は叔母のいづみと交代して世話をすることになる。

 育児のため普通の小学生のように夕方まで外で遊ぶことが出来ず、休日の外出にも制限がかかるため友人付き合いが減るなどなつみの悩みが見えるシーンも多い。がさつで火事に疎い叔母に代わって火事炊事も行うのはすばらしいと思う。

 なつみは親友に隠し事をする罪悪感に堪えられず中盤でみらいちゃんの存在を親友に打ち明けるが信じてもらえず、絶交を宣言されるというシリアスな場面も少々あった。

 いづみが足を骨折して入院した間は、みらいを背負って学校に行き、その格好でテストを受けるというなんとも違和感のある学園風景を見られた回もあった。

 最初はオムツの仕方やミルクの温度もわからないなつみが最終的にはしっかりしたママに成長する姿が楽しめた。

 

 ママである主人公なつみを演じるのは「クレヨンしんちゃん」に登場する国民的赤ちゃん「ひまわり」を演じるこおろぎさとみである。赤ちゃん役で名を挙げる前にまさかのママ役を演じていた。

 

 メインで出演し、なつみと共にみらいちゃんを世話するいづみ叔母さんの成長も楽しめた。いづみはなつみの母の妹で売れないバイオレンス漫画作家である。がさつで家事も碌に出来ないし、小学生の姪とガチの取っ組み合いの喧嘩をするなど実に大人気ない。 

 なつみの両親の留守を頼まれてなつみの家で暮らすが犬と赤ん坊が嫌いということで最初はなつみの愛犬ボビーと娘のみらいを毛嫌いするが、ストーリーが進むにつれてボビーに普通に接し、みらいを可愛がるようになる。

 なつみとは喧嘩ばかりしているが学校の教頭になつみを悪く言われた時に、一生懸命に育児をするなつみのことを想って全力でなつみを庇った態度には感動した。なつみが母として成長するのと同じくいづみも人間的に成長する姿が見られるのが楽しかった。

 

 アニメであってもやはり赤ちゃんは可愛い。これに限る。

 みらいは女の子だが少々やんちゃな性格で男の子も泣かすし、熊に遭遇するなどのかなり危険な状況にあっても動じない。笑顔の耐えない天真爛漫なお子様である。

 ストーリーが進むにつれて歯が生え始める、掴み立ちをしようとするなど成長が見られる。OPアニメではしっかり一人歩きをする可愛い映像も見られる。OPアニメのみらいちゃんの寝返りシーンがすごく可愛い。

 

 クラスで一番最初にみらいの正体を知ったなつみの同級生の山口だいすけとの絡みが好きだ。明るいだいすけも実は母親が継母であったりと家庭の複雑な悩みを持っていて、小学生の子供が実の母との別れにより傷つくシリアスな場面も描かれていた。

 普段はやんちゃなだいすけも本当はやさしいから女子は好きになるだろうな。イタリアからの転校生のマリオにサッカー対決で負けた時に言い訳をせずに素直に負けを認めるなど男らしい一面も覗かせた。

 

 終盤では三流クソゴシップ誌に「小学4年生が赤ちゃんを生んだ」という内容でなつみがスキャンダルにすっぱ抜かれて、遂にはクラスの友達、先生、両親にもみらいは未来から来た赤ん坊だと告白することになるという飛んだ騒ぎになる。

 報道陣が押し寄せる騒ぎの中、マッドサイエンティストの江地(えじ)さんの作ったタイムマシンで12月25日にみらいちゃんは未来に帰ることになる。みらいが未来に帰る最終回のリアル放送日も12月25日であった。劇中とリアルの素敵な一致であった。

 タイムスリップ物の先輩作品である「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がそうであったようにタイムスリップに必要な強大なエネルギーは稲妻から得るというパターンは本作でも活かされていた。

 

 

 なつみが育児を通して母の気持ちを知り、自分がみらいを心配するように自分の母親もまた自分を心配に思い大事にしてくれていると悟るシーンは道徳的教えになるので、このアニメは多くの子供達にみてほしいと思えた。

 最終回のなつみとみらいの別れのシーンで、みらいがなつみを「ママ」と呼ぶシーンが泣けた。

 

 心温まる名作だった。ロボットが全然でてこないけれど本作はサンライズ製作アニメである。

 アニメ「アイカツ!」を手掛けるまでサンライズが女児向けアニメを製作したのは本作のみであったという調べがあるが、本当の本当のところを暴くと「アイカツ!」は極薄く女児向けの皮を被せただけであって、実は男子のハートこそを振るわせるアニメである。よってサンライズの誇る真にして唯一の女児向けアニメは本作「ママは小学4年生」だけなのである。本作は間違いなくサンライズの名作である。(私独自の分析の末の勝手な解釈です)

 

 

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