我らが暮らす日本国にはシンガーソングライターを生業にしている人間が数多く存在する。
多く存在するシンガーソングライターという人種の中でもその質はえげつないほどにピンキリである。上は宇宙空間に抜ける程天井知らずの上等上質な腕を持つ者がいて、下は地殻を抉ってまでしてもどん底が見えない程不出来な者もいる。
実力がものを言う結構厳しい世界である。私なら耐えられない。
私は文学青年であるゆえ、楽曲の詩を読むことも当然好む傾向にある。日々ラジオやiPodで音楽を聴くときにもやはり詩に興味が行く。
そこで岡村靖幸というミュージシャンに興味を引かれたわけだ。
この人が一体何者なのかと言うとただの天才、あるいは鬼才である。
先程触れたピンキリのお話だが、シンガーソングライターとしての彼がピンから始まってキリまでの間の一体どの部分に属するのか、それは聴けばわかる。
岡村靖幸は日本のシンガーソングライターである。そしてもひとつオマケにダンサーでもある。複数の技能を備えていて、実に芸達者な男であると言える。私などは、この内のどれも持っていないので一つくらい分けて欲しいくらいだ。
私は岡村靖幸の「だいすき」という曲が本当にだいすきなのだ。いや、ダジャレとかでなくマジである。
一体いつだったかも覚えていない程昔のことだが、とにかくすごく暇で桃の箱の中に入っているあのプチプチして遊ぶシートをいじる以外にやることがなかった日があった。そんな時に音楽PVをずっと流すチャンネルに合わせてテレビを付けっ放しにしていたらこの「だいすき」がかかった。
私は「何だこの曲、魂を引かれる」と思ったのだ。
初めて聴いたのにお耳に心地よいこの親和性はどうしたことだ。「奴はカリスマだ」とも思った。
岡村靖幸 だいすき Peach Show'89 【高画質Ver】
この曲はとにかく楽しい。
実際のところは知らないが背景が真っ白のPVは低予算っぽい作りで世界観が謎。
良いタイミングで入るガキのコーラス。
最後のクセになる謎のワード「へぽたいや~」の繰り返し。
素人の私には上手なんだか上手でないのか、はたまたその場で思いついた魂の躍動を体に現しただけなのか判然としない岡村の独特なダンス。これについてはネットなどを見ると「キモカッコイイ」という謎の評価を受けている。本人的にはどうだか知らないが私としてはこれは名誉な評価であると言える。
魅力なのか毒味があるのかもその場でははっきりしない、とにかく記憶に残る要素が詰まった曲とPVのあわせ技であった。最高だね。
この人はまず声が良くて歌はうまい。普通にうまいのに歌い方にクセがあり、なにやらネットリと粘着性のある歌唱法を用いるのだ。で、この歌い方が大好きなのだ。
私は食べ物にしてもオクラや納豆や長芋などのネバネバ系を好む傾向にあり、それが音楽の趣味にも反映されネットリ系シンガーも大好物なのである。彼なぞはその金字塔である。
このネットリ系シンガーという言葉は世の中に存在しているのどうか知らないが、ある日私が自分で思いついて私の判断で勝手に歌手の方々をカテゴライズしているのだ。岡村の他にもたくさんのネットリ系お気に入りシンガーがいるのだが、それはまた別の機会でまとめをしよう。
それでは、三週間ハネムーンのフリをして旅に出よう。
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