こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

僕らのお友達にしてヒーロー「小さなスーパーマン ガンバロン」

 

 「小さなスーパーマン ガンバロン」は1977年に放送された全32話の特撮番組である。

 全32話というテレビ放送にしては中途半端な数字が何を意味するか、ちょっと考えればわかるだろう。そう打ち切り番組なのである。

 40年も前の作品だし今見ればかなりチープな作りと感じるかもしれない。しかしコレが意外と面白い。私は大好きな作品だ。

 

小さなスーパーマン ガンバロン DVD-BOX

 

  

 本作はバロンシリーズの三作目にしてラスト作。後にレッドバロンのアニメがあったけどアレはノーカンね。

 「レッドバロン」、「マッハバロン」の血を受け継いでいるのだろうが、本作は前シリーズと比べてえらく路線変更をしたシリーズ中でも一番の異色作となった。

 

 まず、主人公が巨大ロボから変身ヒーローに変更された。しかもヒーロー「ガンバロン」に変身するのは小学5年生の子供である。変身する天道輝はガキだがよく見ると男前。ガンバロンはちょっとドキンちゃんぽい。あと、めっちゃバク転している。

 

 元々子供向けの特撮番組を更に子供に寄り添ったライトでコミカルな物に仕上げている。だいたい前の二作のストーリーがちょっと重めだった。

 主人公も子供で、他にメインで登場するのも子供だけで新聞を作るチーム少年タイムスメンバーである。少年タイムスのリーダーであるデスクはジャニーズJr.なので男前。

 少年タイムスメンバーは足を使って各々が地域のニュースを集め、それを昔懐かしいガリ版刷を用いて新聞にしている。ガキのお遊びかと思えば意外にもちゃんと作っている。彼らのアクティブさを現代の子供も見習って欲しいものだ。

 

 前シリーズで見られた主人公の家族が悪者に皆殺しにされたとか、その殺しを行うような規模のでかい悪の組織というのが出てこない。

 本作では怪人ドワルキン(正体は天本英世演じるワルワル博士)というのが一応の悪者ボスとして登場するが、結構愉快なヤツでドワル(ド悪)の名に名前負けした小悪党くらいなものである。

 名作小説「ガリバー旅行記」のストーリー序盤に登場する小人の王国リリパットに憧れを抱き、自分で巨大化してガリバー気分を味わうという夢を叶えたなんとも迷惑ながら微笑ましいシーンが印象的であった。あと、ドワルキンの頭にトゲトゲ生えすぎ。

 

 基本はドワルキンがちっさい悪さをするのをガンバロンが懲らしめるという緩い内容で、巨大ロボとか怪人がでる回もたまにあった。

 第一話でかなり力を入れていると思われるのが、初回でラスボス並みのでかいゴリラ「オソロシゴリラ」を登場させたこと。こいつは第二話にも出てくる。

 第一話ではジャニーズグループの「フォーリーブス」、続く二話では「ザ・リリーズ」と当時の人気アイドルがゲスト出演していた。初回では潤沢な予算があったようだ。フォーリーブスはもうちょっとでオソロシゴリラに殺されかけていた。

 

 2クール目からは前の2シリーズの栄光を振り返ってのことかガンバロンが乗り込む巨大ロボ「ダイバロン」が登場した。これに乗り込むには強靭な肉体が必要らしく主人公天道輝はきつい走りこみ、長距離水泳トレーニング、極寒に耐える修行など小5の身でありながら成人男性でもばたんきゅーしてしまう程のハードトレーニングを行うことになった。

 

 2クール目では贅沢にグアムロケを行った。金持ち番組な所を見せた。 

 

 2クール目から少年タイムスメンバーのアリスはお受験のため、ケンダマは親の転勤という理由で脱退した。新メンバーのロング、カッパが加入した。カッパはおかっぱ頭からきているニックネームで、見た目は最近の子役でいうところの寺田心君の更に進化したバージョンといった感じのお子様である。

 すごいのが新メンバーのロング。なんと後に声優として活躍する子役時代の金月真美が演じている。「ときめきメモリアル」の最難関攻略ヒロイン藤崎詩織ちゃんを演じた声優である。詩織ちゃんは皆が恋した時代が生んだヒロインであった。

 

 3クール目からは個性的な脇役キャラを一掃して少年タイムスメンバーとドワルキンのみしか出てこない展開になった。カメラマンの百合お姉さんとその父の大造が好きだったのでこれには残念であった。

 3クール目からはそれまで少年タイムスのお目付け役的ポジションだった西郷大造が本編に一切関わらないが毎話の頭と尻で喋る解説者の役で登場した。

 最終回となる32話で来週も楽しいよ的なお別れの言葉を言っておいてそのまま打ち切りとなった。悲しい。

 

 ワルワル博士が仮面ライダー死神博士ムッシュ役がウルトラマンのハヤタ隊員、そしてナレーションの中江さんは仮面ライダーで御馴染みの声。特撮ファンなら嬉しい配役であった。

 

 マッハバロン同様に今回も関連会社の倒産が原因だということである。

 正直このライトな感じは疲れずに楽しく見られたので個人的にはマッハバロンよりも好きだったのだが、真に残念な幕切れとなった。バロンシリーズはおもしろく良いのだが、制作の環境に恵まれなかったな。

 

 ガンバロンのOP曲が子供向けに作られた覚えやすい歌なんだけど、癖になるやや変則的な曲調とギター演奏がカッコイイという点から完成度の高い楽曲と私は評価する。 

 きっちり人物紹介をするOP動画も良い。出演者、楽曲にジャニーズが関わっている珍しい特撮番組だった。

 


小さなスーパーマン ガンバロン OP

  

 

 ガンバロンは新幹線より速いらしいぜ。

 

 

 

 男の子なら正しく強く! ガンバロンの良き教えだぜ。

 

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