こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

俺達は絶対無敵だ!「絶対無敵ライジンオー」

 「絶対無敵ライジンオー」は1991年~1992年にかけて放送された全51話のロボットアニメである。

 本作はロボものの老舗サンライズが放つ勇者シリーズ」と共に90年代を支えたシリーズ作品エルドランシリーズ」の第一作目である。サンライズの歴史ココにあり!

 

絶対無敵ライジンオー Blu-ray BOX

 

 本作は色々と興味深い試みが見られた忘れられない一作である。

 

 本作は主人公ロボライジンオーと五次元から地球を侵略しにきたジャーク帝国との闘いを描くと同時に、メインで登場する5年3組の子供達の清く正しい成長を描いた作品である。SF要素を大筋に置いておきながらも、きっちりと子供の教訓となる要素が入っているのでNHK教育で流しても問題無しの作品だと私は思う。少なくとも現在NHKで放送中のアニメ「クラシカロイド」よりは教育的要素が詰まった作品であると言えよう。

 

 物語の取っ掛かりはライジンオーを駆る光の戦士エルドランが敵との交戦中に陽昇学園に落ちて来て、自分は疲れて長き休息を取らなければいけない的なことを言い始めて、最後には5年3組の子供達に「後の事はまかせた」と言ってライジンオーを子供達に託すということである。

 そして学校は一瞬でロボット秘密基地に変えられてしまい、5年3組はそれからというもの地球防衛組と名乗り、五次元人から地球を守るために戦うことになる。

 まぁ、ここで騒ぎを学校に持ち込んだエルドランについては迷惑な奴だなと思う。これについてはBD-BOX収録のオーディオコメンタリーでキャストからも言われているし、OVA第3話では5年3組の生徒からも結果的にこの面倒を押し付けたエルドランが一番迷惑とか言われていた。

 子供らに託しておいて、闘いが終わった最終回になってもエルドランが復活してライジンオーを取りに来ないし、その辺はどうなってるんだって思った。

 

 ライジンオーに合体する3機のロボ剣王、鳳王、獣王は基地と変えられた学校に収容されている。普段の見た目はいつもどおりの学校だが、敵が攻めてくると学校が変形してロボット発射基地に早変わりする。

 5年3組の教室の机や椅子が勝手に動いて司令室に早変わりし、ロボに乗り込む仁、飛鳥、吼児は教室からロボット内部までエレベーターで運ばれていく。この教室の変形する戦闘開始までの流れがワクワクしてとても好きである。

 イケメンの飛鳥君が真面目な顔して実はエレベーターになっている掃除用具入れに入っていくのがちょっと面白い。吼児の獣王への乗り込み方がアクロバティックすぎて見ていて不安になった。そして指揮を担当する女子マリアは可愛い。

 

 ライジンオーに乗り込むパイロット、指揮官、基地オペレーター、レーダー担当などなど基地として機能させるための仕事は5年3組の子供達18人全てが役割を持って行い、大人達が戦闘には関わらない。

 ちゃんとした政府公認のモノホンの防衛隊も登場するが、地球の兵器ではジャーク獣に歯が立たず、良くてライジンオー登場までの時間稼ぎくらいしか出来なかった。防衛長官のおっさんなどは自分のミスでジャーク獣を作ってしまう大失態を犯し、むしろ子供達の足を引っ張ったこともあった。大人の無力っぷりが浮き彫りな点も印象的であった。 

 

 完全に子供のみで敵のジャーク獣に立ち向かう設定は斬新であった。この皆で闘うスタイルは良い。ロボットに乗らない子も含め皆が主人公なんだよと言っているようで良いではないか。

 ロボットアニメ自体が元々子供向け作品なのに本作ではメインキャラまで子供という事でより子供に寄り添った作りになっている。戦闘以外のドラマパートでも子供目線でのドラマが展開された。コレにはオッサン達は「そんなことあったな」「そんな奴いたな」と色々共感できた。

 子供達から見て夢のある設定であることは高く評価できよう。アムロカミーユよりまだ若い5年生の仁や飛鳥君がロボに乗り込んで闘っているのはすごいとしか思えない。これを見た後だと同じく5年生の「ドラえもん」の野比のび太君は何やってんだって思ってしまう。

 勇者シリーズなんかでもそうだったが、今作でもロボの発進シーン、合体シーンは作画が神がかっていてさずがとしか言いようがない。

 後半からの追加ロボ バクリュウオーとライジンオーが合体してゴッドライジンオーになる合体シーンは必見であった。最後の兜を自分で被るというのがカッコイイ。

 

 敵の怪物にも面白い設定が見られる。五次元ジャーク帝国が放った兵器アークダーマが地球のあちこちに点在しているのだが、そのアークダーマは地球人の「~迷惑」という言葉に反応してその迷惑の対象物にちなんだ巨大な邪悪獣となり破壊活動を行うのである。向こう側で地球人が嫌がるものをリサーチしてそれをもってして侵略するという試みは面白いものであった。

 例えば、人々が迷惑だと感じたものにはカビ、ヤクザ、銀行強盗、違法運転、森林破壊、街の騒音、赤子の夜泣き、子供が嫌いな野菜などなどがあがった。各回に登場するジャーク獣の多くは社会悪を根源とし、それにまつわるデザインのものが登場した。軽く風刺がかっているし、こういう行為が迷惑だということを見ている子供達にそれとなく教えることで悪い大人に成長するのを防ぐ教育的効果が見られた。たまに子供や街の人々の単なるわがままの声を反映して生まれたようなものもあったけどね。

 個人的には女性が変なおじさんを迷惑がったことで生まれたジャーク獣オジサーンがツボなデザインであった。

 

 敵五次元人のかなりファンキーな格好をしたタイダーが後に改心し地球で暮らすことになり、主人公の少年仁の実家の酒屋に就職する。このタイダーが改心する元となった仁の両親とタイダーの心温まる物語はちょっと泣けた。

 

 5年3組がエルドランからライジンオーを託されたことに嫉妬して物語初期には3組に強く当たって来た2組の谷口君が、物語後半では地球を守る仲間として作戦に強力してくれて無事和解するエピソードで思わず泣けた。ちょっと大人になってから見ると子供同士の友情に感動しちゃったりする。

 

 やっぱり本作で一番心に残るのは最終回の仁の魂の叫び「俺達は絶対無敵だ!」のセリフである。当時の子供達を勇気付けてくれた名言である。

 仁役の松本梨香はオーディオコメンタリーで、このセリフには魂をこめたと言っていた。

 

 6年生になった地球防衛組が描かれたOVAシリーズも面白かった。

 こっちでは小学校卒業を前にした子供達の心の揺らぎと成長が描かれ、なんだか胸に切ないものがこみ上げて来た。小学校高学年とはいえ、そろそろ恋の一つでも始めるくらいの歳頃の子供達の恋の話についてはテレビシリーズでは触れなかった。OVAではちょこっと恋の話もあって良かった。

 

 

 こういう風にロボットを絡めることで、お堅くなりすぎない子供の心情に寄り添った番組をまたやって欲しいね。

 俺達は絶対無敵だ!

 

 

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