こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

閉ざされた街で・・・・・・「ペスト」

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 カミュの「ぺスト」を呼んだ。

 

 この流行病の前知識は楳図かずおの漫画「漂流教室」で得ていた。恐ろしい病とは知っていたが改めて怖いと思った。

 

 アルジェリアのオラン市という、地理を知らず、また一つも興味あらずの私には地図でも引っ張ってこないと世界のどこなのか全く検討もつかない地を舞台とし、その流行病ペストに侵食され、人の出入りを禁じられた街で奔走する人々の姿を描いている。

 

 まず、ペスト流行の兆しは街の鼠達に現れた。街のいたる所で鼠が死にまくって処分に困るという所から恐怖の幕は上がる。これは想像しただけで気持ち悪い。鼠の次は人間が次々に病に犯されては死んで行く。中盤では、増えすぎた死体の山の処分について詳しく語っているが、これが読んで想像するに堪えない酷い話であった。

 

 地元の者ではない、取材旅行で街に来た記者ランベールが不運なことに他所の街から出ることが出来なくなった不条理には同情してしまった。

 

 メインの人物リウーと後にリウーと行動を共にするタルーという似た名前の人物が出来てきて、どっちがどっちだったっけという具合に混乱した。

 

 やはり一つ所に閉じ込められると人という者はいつまでも安穏としてそこに留まることは出来ない。出入り口門に住民が押しかけて警備の者とトラブルになるなど住民のストレスの高まる場面も見られた。 

 

 基本的に私には本編の表現や会話内容がちょっと難しくて理解しづらかった。中盤からは読むのが結構退屈だった。特にパヌルー神父の長いお説教がそうだ。日曜日には教会にお祈りに行くという宗教圏では私はきっと生きていけない。 

 

 中盤あたりでペストに犯されて苦しみ抜いて死ぬ少年の姿をかなり文字数を使って細かく描写している。ここが一番印象的であった。

 

 はっきり言って、分かりにくい所はたくさんあったのだが、異常時に対してどこまで理性を保って事に当たれるかがこういうケースには必要とされるのだと気づいた。今の日本は平和で良い。ちょっと前までデング熱とかヒアリ毒とか騒いでいたが、あれが国全土を覆う規模まで広まらなくて良かったと改めて思った。

 

ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)

 

 

 今年はインフルが大変流行っていると風邪の噂で耳にしたので体調管理に気をつけよう。

 

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