「リング」は1998年に公開された日本のホラー映画。
世紀末の頃、日本映画史にその名を刻んだヒット作で、作品を象徴する人物貞子は国境を越えて有名キャラになった。恐ろしい女である。
映画なら長い物と短い物、良質な物とクソな物、アニメと実写問わず8000本くらいは見てきたが、中でもこの「リング」は色々想い出深い。そして衝撃を受けた一本である。
原作小説がよく売れて、読んでる奴をがくさんいたし、古本屋にもたくさん並んでいたと記憶している。
今となってはジャパニーズホラーと言えばコレっていう作品群に名を連ねる名作になっている。
当時この映画については、「呪いのテープ」そして井戸から這い出る奇人「貞子」の存在が大変話題になり、見たことないけどこの二つのキーワードは知っているという奴が多くいて、私もその一人であった。公開から結構遅れた見たのだ。
私は本なら水木しげるや楳図かずおを読み、映像なら「オーメン」や「エクソシスト」「怪奇大作戦」あとは「妖怪人間ベム」など見て育った。そのためざっくりホラーというくくりには耐性がつき、何よりこの上なくスリルある非現実世界に陶酔できるから好きだった。
クラスの奴が「リング」のビデオを借りたけど怖くて一人で見るのは無理と言って私の自宅に数人を集めて見ようと提案されたことがあった。なんせ私の祖父は神社の管理人をしていたから呪いとかに強いと思ったのであろう。私はジャンルが何であろうが映画は一人で見たい主義である。この時には「一人で見ろハゲ」としか想わなかった。
セガっ子の私はドリームキャストが大好き。この「リング」もドリームキャストでゲームが出たので購入したのだが、結構クソだったと記憶している。いつか中古屋に行った時に100円で売られていた。セガハードのゲームは良いのとクソのふり幅がすごいからジャケ買いはかなりの博打である。このゲーム版のリングは、今も押入れの中に閉まってある。
こんな感じで「リング」一つ取っても色んな思い出が溢れてくる。
そんな映画「リング」を見た感想をつらつらと書いていこう。
見たら一週間で呪い殺されるという物騒極まりないビデオテープの謎を追って行く、ミステリーの要素も含めつつタップリと貞子にビビらされる作品だった。
まず、キーアイテムの呪いのビデオについて。この内容については、一回見たら脳に刻まれて忘れられない不思議な仕掛けがされている。古臭く、荒い画質でとにかく不気味で気持ち悪い。デジタル放送になった今では、砂嵐とかビリビリノイズとか見なくなったからあの映像も懐かしい。
物語のラストでこのテープの呪いをやっつける方法はテープをダビングして他の人に見せることと判明する。
当時、私の周りでは家庭でダビングが行える環境を整えている人は少なかったと記憶している。まぁ普通なら必要ないしな。私はビデオ大好きっ子で当然デッキを二台持っていたので同級生からダビングを頼まれたこともあった。知らずにやってたけど、あれって扱う映像によっては著作権の違反とかになるっぽいな。
人によっては、方法が分かったところでダビング出来ないってパターンもありえるかも。そういえば当時は500円くらいで利用できるダビング屋ってのもあったな。
とにかく物語のキーアイテムが、現代ではそろそろ忘れられつつある記録メディアVHSテープだったのには懐かしいとしか言えない。
主演の松嶋菜々子がこの時にはやっぱり若い。可愛い。そしてエロい。この女優さんは本当に美人だと想った。真田広之も渋くて男前だな~と想った。ずっと不気味な映画だけどメインの男女はすこぶる顔面が整っているので、そういう意味では華がある映画だった。
即殺されるけど、竹内結子が出ている。若いというかこの時子供じゃん。この女優も好きなのでこんな幼い時から出ていたのかと後になって分かった。竹内結子の友人役で佐藤仁美も出ていた。出ていたとは知らなかったが、今ではすっかり有名な人のかなり若い頃の顔が見れた。
何と言っても怖いのが貞子。髪長すぎ。
この作品がヒットして井戸から何かが出てくるっていうパロディネタが色んな作品で見られるようになった。パッと思いつくので「銀魂」で銀さんがブルーレイレコーダーを買った回でこれのパロディあったな。個人的には井戸って言えば、ドラクエの確か6で出てくるモンスターの「井戸魔人」のイメージが強い。こいつのが貞子よりも先輩。
最後にテレビから貞子が飛び出して来るのは、衝撃だった。この時に貞子の顔の全部は見えないけど片目だけドアップで写るのも怖い。
しかし、ダビングしなかったらといって真田広之がラストで殺されるのは可哀想だろうが。貞子を井戸から引き上げるのは彼がいないと無理だったのに、恩知らずな化け物女と想った。
松嶋菜々子と真田広之が井戸に入ったのを見て「あんな狭くて気味が悪い所、マジ無理~」と想った。
松嶋菜々子が事件を追っていく上で呪いのテープの犠牲者グループが泊まった施設を訪問するのだが、そこの受付に貸し出し用の映画ビデオの棚がある。懐かしいセルビデオの背ラベルをちょっと興奮気味に見ていたら、そのラインナップが豪華すぎと気づく。覚えているタイトルだけでも「シェーン」「愛と青春の旅たち」「スティング」「第十七捕虜収容所」「鳥」などがあり、そして中でも「ローマの休日」「麗しのサブリナ」「シャレード」「ティファニーで朝食を」のヘップバーン主演作品が充実していたことが印象的であった。映画好きなので、「リング」の内容と関係ない小道具を見て興奮してしまった。正直この名作映画ビデオがタップリ並んだ棚の存在が一番記憶に残っている。
ラストが印象的であった。呪いのテープについて取材を受けた少女Aがテープをダビングして次の人に見せるを繰り返してどこまでも終わらない呪いのリレーが続くことに関して「でもそうするしかないならするでしょ」と言ったのが、後味の悪い最後のセリフだなと思えた。確かに必要に迫られたら誰かを犠牲にしてもダビングするだろうな。ビデオデッキ二台持っているからすぐに出来るしな。
やっぱり、ゾクリと来るホラーはたまに見ると良い味である。
平和ボケできる幸せの中に「恐怖」という異質な要素を放り込むのは、マゾっぽい感じもするが、どうゆうわけかホラーはイケる。
映画バンザイ!
スポンサードリンク