「MOTHER3」は2006年に発売したゲームボーイアドバンス用ソフト。
キムタクがCMに出た事で有名なあの「MOTHER2」の続編。しかも「2」から12年も経っての発売となっている。
かつてはニンテンドー64で出るということで、懐かしのゲーム番組「スーパーマリオスタジアム」で発売予告だけはされていた。しかし計画が流れ、随分遅れて2006年に発売。当時既にニンテンドーDSが発売していたので、最新機種でないアドバンスソフトの本作はそんなに売れなかったのかな。このゲーム、中古ではすごく高い。
・今更になってこれをやろうと想ったきっかけ
このゲームソフトは新品で買って、当時から我が家にあったのだが、色々忙しくて私はやっていなかった。代わりに「暇」を青春のお供としていた私のお兄ちゃんがプレイして「こいつは結構鬱になる名作だぜ」とコメントしていた。しかし当時はアニメの方でも名作「涼宮ハルヒの憂鬱」が放送されていて、ハルヒブームに乗っかって「鬱」って言いたいだけだろうコイツと想って流していた。
そして徐々に記憶から薄れていったところ、つい最近この作品を思い出すことがあった。
私が毎週楽しみに見ているゲーム番組「勇者ああああ」でMOTHER3が取り上げられていたのである。とにかく面白いからやってみな的な紹介をしていて、幸いにも私は今でもソフトを持っている。じゃあやってみようとなってプレイしたのである。集中して遊んで10日程でクリアした。
ちなみに「MOTHER」の「1」と「2」はプレイ済み。「3」だけやっても楽しめるけど、前作をやってると後半の方で「おお!」と思えることがある。
私はキャラの名前を変更できる場合は100%自分で名前を決める。クリア後にウィキを見て、「あ、主人公達のオリジナルネームってこんなのだったんだ」と気づくのである。
プレイヤーキャラの名前
↓
双子の弟「これぞう」
双子の兄「ごんだい」
双子の父「ジャッカル」
双子の家の犬「ドミニオン」
泥棒男「くにまつ」
オソヘ城の姫「レンホウ」
猿「ふくのすけ」
好物「めいぶつかまど」
PK必殺「マダガスカル」
このように設定した。
・印象的だったシナリオ
「MOTHER」といえばどこか怪奇的であり、私のお兄ちゃんが言った「鬱」な要素もちょいちょい見えるため、他のRPGとは別格感があるのだが、それはやはりこの「3」でも同じことであった。
シナリオは全8章で構成されている。その章によって操作するキャラが違ったりする。最後には仲間たちが集まり、力を合わせて悪を討つ。この流れは「ドラゴンクエストⅣ」や「ライブ・ア・ライブ」みたいで好き。
「MOTHER2」だと、OPシナリオでは未知との遭遇、心強い仲間ブンブーンの死という何かと不気味にして衝撃的な幕開けを迎えた。そして「3」でも衝撃的なのは一緒。
物語の全てはノーウェイ島という一つの島で起こる。平和な島だったが、冒頭で山火事が起き、主人公のお母さんが行方不明となる。第一章の主役はまさかのお父さん。関係ないと想ったおっさんが初っ端を担当するのは「ドラクエⅣ」で最初は主人公ではなく、オッサン騎士のライアンの物語で開幕となるあの流れを思い出す。
街で火事の合図である鐘を鳴らすおっさんのリダがすごくデカイことにウケた。
お母さんの捜索が続く中、段々と最悪な展開が予想できるようになっていく。
そしてお父さんは街人からお母さん発見の報告をウケる。
その時には良いニュースと悪いニュースの2つがあると報告され、良いニュースは武器になるような鋭利な牙をゲットしたこと、そして悪いニュースはそれはお母さんの心臓を貫いていたことであった。
まさかとは想ったが、お母さんは死んでいたのである。
これを受けて冷静沈着なお父さんが乱心して暴れて皆に取り押さえられるシーンもショッキングであった。
最初にキャラの名前をつけるシーンでは、仲良しな主人公家族の映像が映っているのだが、あれは最初だけでまずはお母さんが暴走したドラゴに殺され、その仇打ちに出た双子の兄が失踪し、お父さんは兄を探して日々取り憑かれたように森に出かける。残った弟は寂しい思いをする。
物語は最悪のスタートを迎える。
それから三年が経ち、主人公は大きくなる。
かつてのノーウェイ島にはお金という概念がなく、商業的なやりとりはブツブツ交換でもって行われていた。そこにブタの仮面を被った怪しい連中が来て、「シアワセのハコ」という要はパソコンや冷蔵庫みたいな島の文明にはなかったハイテク家電をどんどん普及させていく。
たった三年の間に主人公達が暮らしていたタツマイリ村は、ただの村から都会みたく様代わりしてしまう。そして文明の発達により暮らしが豊かになったことで、街の人々の心はどこか希薄なものとなっていく。このあたりは何か風刺かがったものを感じる。昔はお隣に醤油を借りて当然だったのに今ではもはや奇行。豊かになれば風習や人自体が変わってゆく。
謎のブタマスク軍団が一気に島の文明を発展させたことになにかしら陰謀めいたものを感じた主人公達はそれぞれ行動を起こす。
そして最後には悪の黒幕である「ポーキー」に迫る。MOTHER2では主人公ネスの幼馴染の少年として登場し、最後にはダークサイドに落ちる。あのポーキーが時空を越えてMOTHER3の世界で悪さをするのである。
ポーキーの作った街ニューポークシティーの映画館ではMOTHER2での名シーンが流れている。
そしてポーキーの住むビルにはMOTHER2で登場した様々なアイテムが展示されている箇所がある。実に懐かしい。
ポーキーとの戦いの後には物語序盤で行方不明になっていた主人公の兄と対面する。
ストーリーは幸せな家族が引き裂かれることに始まり、その後は世界を覆う謎を解き明かして行くというかなり引き込まれる作りとなっている。
・泣ける点
MOTHERはシリーズ通して「母は偉大」を伝えている。と想う。
私は母親が大好きなものだから冒頭でお母さんが死んでしまうのが悲しくてならない。
お母さんは早い内に死ぬが、物語の最後まで主人公達を見守る形で関わってくる。
たまに主人公の回想シーンがあって、そこでお母さんのお想い出が映ると悲しくて泣ける。
私はお母さんとかおばあちゃんが死ぬ話がだいたいダメ。
印象的なのは第6章、ひまわり畑に迷い込んだ主人公の前にお母さんの幻が見え、お母さんが正しき方向に主人公を導いてくれる。
崖から落ちた主人公は藁の山の上に落下する。それはお母さんの父である主人公の祖父が作ったもので、お母さんが夢枕に立って藁を詰めと指示したからやったとい言うのである。こういうの泣ける。
プレイヤーキャラの独りである泥棒男が途中で記憶喪失になり、アフロのカツラを被って有名バンドのメンバーになる。後に記憶を取り戻して旅立つ時、バンドの仲間達が送り出しのライブを行ってくれる。そこで泥棒男はアフロカツラを床に置いてライブハウスを後にする。あのシーンは感動した。
最後は悲しき双子の兄弟対決が行なわれる。そこに父も母も関わることになり、敵の洗脳を解かれた兄は最後には死んでしまう。悲しすぎる。
エンディングムービーで双子が仲良く走り、最後はお母さんが伝書鳩を飛ばすシーンが映るのがまた泣ける。
・ゲームの特徴
まずは主人公の家で飼っている犬が最後まで登場すること。
MOTHER2ではキャラ名をおまかせにすると複数パターンの中から、プレイヤーキャラが全部SMAPメンバーの名前になり、人間キャラ4人に次いで最後に決まる犬の名前は「まさひろりん」になる。これは中居正広から取っている。この犬の「まさひろりん」は、MOTHER3の設定と違って、世界中の街々を旅しないといけないMOTHER2においては、家を守らないといけない、結構歳を食ってる、あとはビビってるという設定上初期しか行動を共にしない。なので3でも犬は序盤だけの付き合いだろうと想ったら最終章でも一緒に戦うことになる。この点は意外、そして嬉しかった。本当を言えば、MOTHER2の方でも犬のまさひろりんと共に冒険したかったぜ。
MOTHERの1でも2でも電話による声の出演しかしなかったお父さんが今回はプレイヤーキャラとして最終章まで登場する。
MOTHER3独自のシステムにサウンドバトルというものがある。
敵にはそれぞれのリズムがあり、そのリズムに合わせてタイミング良くボタンを押すと連続攻撃ができる。しかしこのリズムを掴むのが難しく、連続攻撃を組むことはあまり出来なかった。
MOTHER3ではダッシュが出来る。それまでのシリーズではないアクションで、これによって敵から逃げやすくなる。ダッシュ機能は時間短縮できるのでかなり助かった。MOTHERの1でも2でも移動が遅いわと想っていた。しかしダッシュがあるせいで、私がMOTHER2で好きだった自転車のアイテムがないのは寂しい。速く走れるので自転車が必要ないのがMOTHER3であった。
敵キャラは、キマイラという異なる物体を合体させたもので結構キモイ。頭は鶏、体は蛇みたいな敵もいる。「仮面ライダーV3」で登場したイカハンマー、ガマボイラーなどの合体怪人を思い出す。
MOTHERシリーズは猿が出てくる、女の子のPSI能力が強い、これは3でも共通している。字の汚い異星人「どせいさん」も出てくるぞ。そして懐かしのキャラアンドーナツ博士も出てくる。
女の子主人公のキャラ設定が奇抜。お姫様で可愛いのだが、一人称が「俺」の刈り上げっぽい短髪美人キャラである。なので「レンホウ」と名付けた。
猿の主人公キャラは、恋人の猿を人質に取られ、敵軍で働かされるという変わった角度から物語に参加している。この時には敵の幹部であるクソヤロウ「ヨクバ」と行動を共にし、ヤツの言いなりとなって働かないといけない。しかし敵と戦う時に猿は無力で、ヨクバの力を借りずに戦闘シーンをやり過ごすことは出来ない。
キマイラ研究所というところに、最強のキマイラというのが放し飼い状態になっていて、施設のどこかを歩いているのだが、まるで「クロックタワー」のシザーマンのような感じで、そいつには絶対に勝てず、逃げるしかない。捕まったら即ゲームオーバー。スリルがあってちょっと怖い。後にポーキーの住むビルのトイレの中で遭遇することになり、狭いトイレでは逃げられずにゲームオーバーになってしまった。あれには腹が立つ。
MOTHERシリーズ全部がそうだが、基本的に敵が強い。
どのシリーズでもかなりの回数ゲームオーバーになった記憶がある。中ボスはどれも強敵、しっかりレベル上げをして連続攻撃が成功しないときつい。
というわけでMOTHER3を遊んで丸っと振り返りを行った。かなり面白かった。
途中でどこにいけば良いのか迷うこともなく普通にプレイできた。壮大なスケールの物語で最後の方はびっくりするかもしれない。
12年も遅れてプレイしたが、かなり骨太なストーリーなのでやる前には覚悟しておいた方が良い。絵柄が可愛いのにストーリーは重めでギャップがあるぞ。
母が恋しくなる一本だったね。
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