「クラッシャージョウ」は1983年に公開された長編アニメ映画。そして1989年にはOVAが2話制作された。
2時間10分程もある割りと長めの映画である。
BD化されたので綺麗な映像で楽しんだ。
キャラデザにはあの安彦良和が関わっている。
作品舞台は西暦2160年。宇宙を股にかける何でも屋「クラッシャー」という一団の活躍を爽快に描いたもの。基本的には犯罪以外何でも引き受ける集団で、主人公のジョウがリーダーを務める4人組チームの活躍を描く。他のメンバーはヒロインのアルフィン、チビのリッキー、半分はサイボーグの巨漢オヤジのタロス。かなり楽しい4人組である。それにおまけして、ロボのドンゴという仲間もいる。
劇場版でもOVAでもかなりの大冒険が描かれる。宇宙船でドンパチもやれば、銃撃戦、チャンバラまでやってのけるのでバラエティに富んだ楽しい作品となっている。
ジョウ達が相手取る敵にはロボをはじめとした兵器にメカ、モンスターと様々なものが登場する。ジャンルも多彩と来ている。
古い作品だがよく動くし、出来は素晴らしいと思う。宇宙船が飛ぶシーンや、内蔵された細かいメカの描写、飛んでいくミサイルなどは良く書けている。今ではCGでやっちゃうところを、当時は手描しかないから大変苦労したと思う。マクロスで有名な河森正治も作品に関わっている。
物語の筋よりもSFの楽しさが詰まった点を見てとにかく心がワクワクした。
劇場版のOPシーンからゾクゾクくる。ゲームの「F-ZERO」みたいな車がカーチェイスする所からぐっと惹き込まれる。
劇場版では政治が絡んだハイテクノロジーの取り合いみたいな話が描かれる。結構黒い。
宇宙船のワープ機能が確立された世界観なのだが、物語のキーアイテムとなったハイテクノロジーは対象物をどこかにワープさせるという兵器として使えるワープ装置。これはやられると困ると想って見ていた。宇宙から急に地上に飛ばされて落下して死ぬという流れもあって恐ろしい兵器だった。
意外と人死にが多い。凶悪な敵の軍団は結構な数が死ぬ。
ヒロインのアルフィンがとりあえず可愛い。
サンライズだからということで、映画の後半では攻撃から逃げ惑う人たちの中に「ガンダム」のシャアやハロがいる。
同じ原作者による作品ということで作中で「ダーティペア」の映画が上映されている。うんたらペアといえばコレか他には「ビューティ・ペア」しか思いつかない。
あとはジョウの宇宙服が初代ガンダムカラーだと思う。
大作スペース・オペラであった。
BD特典のキャスト、スタッフトークが大変楽しめるものであった。
安彦さんは取材で履歴を聞かれても、昔からたくさん仕事をしているからどれを先にやったかよく覚えていないと言ってた。それだけ長い間アニメ界を賑わせてくれた偉人だということが分かる。
原作者の高千穂先生のトークの熱量がすごくて、話も面白かった。
高千穂はキャラクターを演じる声優を選ぶのに大いに口出しをしたとのこと。
当時役者業を廃業していた竹村拓の声が入ったテープを選考時に聞き、辞めた人だけど気に入ったからという理由で業界に戻してジョウ役に起用したという。この話がすごいドラマティックなんだけど。
竹村さんは当時の仕事は有給で休んで収録を終えたらまた業界を去るつもりだったらしいけど、この作品の成功でその後もずっと声優として業界に残ったという。このエピソードが素敵すぎる。
古い作品で、関わった人間もこう言ったら何だけど古い人ばかり。なので話に出てくる人間や作品も古い。新規ファンはネット辞書を引かないといけない。キャスト、スタッフトークはレベルの高い話が聴けて良かった。
BD化する時にこういう新規かつ質の高い特典をつけてくれるのはありがたいよな。
「宇宙が熱い」のキャッチコピーに劣ることなしの名作、それが「クラッシャージョウ」である。
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