こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

神々の生みし秘宝が世界を変える「Sa・Ga2 秘宝伝説」

Sa・Ga2 秘宝伝説」は1990年12月14日に発売したゲームボーイソフト。Sa・Gaシリーズ第二作目にあたる作品である。

 

 先日プレイした「魔界塔士Sa・Ga」がとても面白かったので、前にプレイしたことがあるけど内容をほぼ覚えていない続編のこちらもやりたくなった。やりたくなったらやるのが私なので忙しい間を縫ってせっせと秘宝を集める旅に出た。

 

 やはり「Sa・Ga」。白黒のゲームボーイなんて今見ればちゃっちゃいと思いがちだが、決して侮ってはいけない。

 表題「Sa・Ga」の通り、人の性(さが)を表した骨太ストーリーには手に汗握らすロマンがある。

 

 声高らかに言おう。こいつは傑作であると。

 

Sa・Ga(サガ)2―秘宝伝説〈完全クリア編〉

内容

 世界には神々が生み出した77個の秘宝が散らばり、それを全て集めし者はとんでもない力を有すると言われている。

 主人公もまた父親に預けられた秘宝を一つ有している。家庭に根を下ろさず、いつも家の窓から出ていく放浪の父を探すため、大きくなった主人公は3人の仲間と共に父を探す旅に出る。その旅では残りの秘宝も探すことになる。

 

感想

 テキストによる意味深なプロローグが語られた後には主人公と父親とのやり取りが始まる。これがまた緊張感がなくて和むものでもあった。

 父親は秘宝について何らかの情報を知っているらしいが、詳しいことは言わずに窓から旅立って行く。ベッドの上でまだ微睡んでいる主人公は、それを見て「おとうさんはどうしていつも窓からでていくのだろう?」と思うのである。Sa・Gaらしいツッコミ所ありの間抜けなシーンでスタートとなった。家を出ていく時は、窓でなく玄関からにしましょう。

 

 久しぶりにプレイしたけど、とりあえず覚えていた内容が最初だけ仲間になる主人公の学校の先生のこと。見た目がトゥルントゥルンで人か魔物か微妙。前作序盤で王様と結婚した村一番の美人娘と先生のグラフィックが同じだったので、先生は恐らく女性で美人。

 

 Sa・Ga2からは使用キャラ属性に新しく「メカ」が追加されている。ならば選ぼう。主人公はロボにしたけど、ちゃんと人間の父の子として扱われている。

 パーティーはメカ、人間男、エスパー男、スライムを選択した。

 主人公とその他選択できるメンバーの関係性は学校の同級生ということになっているが、平気で人外の者も混じっているあたりやはり自由なSa・Gaワールドだと言えよう。前作同様、街の住人に普通にモンスターとかが混じっていてお話出来る。

 

 前作同様、今作も既存のRPGにあるレベル制を取っ払ったシステムとなっている。メカは装備武器の使用回数が回復出来るが、人間やエスパーが使う武器は回数限度がある。

 レベル制を配した各種属性のステータス上げの方法が個性的なものとなっていた。この仕組が分からないとザコパーティーになってしまう。 

 前作では人間属性であれば薬を買ってステータスをドーピング出来たが(バグを利用すれば他の属性でも可)、今回ではステータスを上げるアイテムが店に売っていない。地道に上げて行くことが必要。

 使用武器によってステータスの上がり方が変わるという仕組みになっていた。私はこれに気づかず、攻撃力に特化した武器ばかり選んでいたので、終盤になってすばやさがまるでないパーティーになってしまった。のろまで敵に先制を取られると大ダメージを食らうし、すばやさがある程度ないと攻撃が当たらない仕組みになっているので終盤は困った。なので終盤はすばやさが上がるパンチ系、ムチ系、ビームライフルなどを装備してのろまな連中をすばやくする修行を行った。これに数時間持っていかれた。

 

 前作と違って敵から簡単に逃げれる。この点にはストレスを感じなかった。

 難易度は前作よりは低いくらいかな。各所で5人目となるNPCキャラがパーティーに入ってくれるし、戦闘に負けて死んでも後半までならオーディンの力で復活して再挑戦できる。助かるのが戦闘でHP0になっても戦闘終了後にはHPが1になっていること。ここが前作からの助かる変更点。

 

 前作では塔を登って次の階層へと旅立ったが、今回でも同じように天の柱を登って別の世界へと旅をした。各階層はコンパクトなので、他のゲームのようにだだっ広いフィールドマップで迷子になることがないのが良い。

 

 敵の魔物の種類が豊富でデザインも秀逸。

 ロボットの「28ごう」という敵、ウイルス系の「なぞのびょうき」という敵のネーミングセンスには笑った。

 

 今作でも四天王的な4人のボスがいる。アシュラ、アポロン、ビューナス、オーディンと、いずれも各国の神話に出てくる神様の名前である。

 このシリーズはアシュラを気に入っているようで、彼はシリーズ三作全てに登場する。1では四天王の更に上に位置する大ボスとして後半に登場したけど、今回では一番最初のあんまり強くないボスとして登場する。

 美の女神の冠を戴きながらやることがゲスいビューナスに対して、主人公が「いまのあんたがいちばんみにくいぜ!」と啖呵を切るのは有名な話。これもまたゲーム界の神話になりつつある。こんな感じで前作同様Sa・Ga節が健在となっている。会話はけっこう荒く、主人公の語りがやっぱり漢(おとこ)。

 

 このシリーズはBGMが神がかって良い出来である。今回ではボス戦の曲が特に良い。超格好いい。

  

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死闘の果てに

死闘の果てに

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 前作ではファンタジーの世界にアキバやアメ横という現実にして和風な要素を急にぶっ込む演出が見られた。今回では、とある階層で大江戸編が展開するのが印象的だった。時代劇、義賊、悪代官、ここら辺りの要素が好きなので、それらが反映された大江戸のエピソードが楽しめた。

 

 作品で一番好きなキャラが主人公の父親。父親がけっこう深く物語に関わってくる。

 開始して速攻後ろ姿が父っぽい人を見つけるけど、顔が全然違うというひっかけがある。よそにも家庭を作っている嫌疑がかかるエピソードがあり、一時主人公から引かれるが、後に潔白と証明される。ここはハラハラしたぜ。

 敵に特攻して自爆したら向こうは無事で犬死となり、ラストでは実は生きていてまた出てくる。その後アポロンから皆を庇ってまた死にかけるけど、ラストで復活する。こんな感じで父は何度死にかけても生還する。

 父親が一番物語を引っ掻き回したのが、アポロンに秘宝を全て持っていかれた時、実は秘宝はもう一個あって全部で78あると明かすところ。「皆も薄々気づいていたよね?」的なテンションで喋るが、それまでの流れのどこを見てもプレイヤーは絶対に気づかないと思う。

 こんな感じで父親はいつだって意表をつく人物として描かれる。楽しいパパだった。

 

 なんといってももラストが良い作品だった。1でも希望に満ちた後味スッキリなエンドで良かったが、2でもまた味わい深いエンドだった。

 上手いのがOPとオチとで同じ画を持ってきたこと。OP同様、最後も主人公がベッドで寝ていて、そこに父親が旅立ちの別れを言いに来る。主人公はもう待つのは嫌だから今度は自分も連れて行ってと言い、加えて母親も連れて行ってくれと言う。そして最後は、父親が出入りの常としていたルートである家窓から家族3人が仲良く旅立つ。 

 これを見て「なんて爽やかで平和なラストなんだ」と感動した。戦いの末に平和が訪れたその象徴として家族団欒の実際を見せること、これは説得力がある。

 ラストステージの非常階段を降りるところは出てくる敵が強い上に逃げられないので心が折れそうになった。しかし、その先に待つラスボスの制御システムを破壊して見ることが出来たのは平和なエンディングシーンだった。クリアした価値があるというもの。

 

 そんな訳で、愛に満ちた作品「Sa・Ga2 秘宝伝説」をクリアした。

 私は想った。全て揃えれば世界を変えられる力を持つ秘宝よりも、愛のある家庭の方がずっとお宝だと。

 

 愛の漫遊人が綴るレトロゲーム備忘録でした。

 

サ・ガ2 秘宝伝説

サ・ガ2 秘宝伝説

 

 

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