「戦国魔神ゴーショーグン」は1981年の7月から12月までテレビ放送した全26話のロボットアニメ。
他に劇場版が二作あり、1982年11月にはテレビアニメの総集編映画が公開され、1985年には新作映画の「戦国魔神ゴーショーグン 時の異邦人(エトランゼ)」が公開された。
ゴーショーグンと言えば、かつて私が遊んだ名作スーファミソフトの「第4次スーパーロボット大戦」「スーパーロボット大戦EX」に登場したから知っているくらいでアニメは全く見たことがなかった。どんな話かは知らなかったけど、とりあえずロボットが格好良いし、赤いボタンと青いボタンのことを言ってる歌が好きだった。
スペースバズーカやゴーフラッシャーは使用するとエネルギーをけっこう持っていかれるので、ゴーショーグンは強いけどスパロボでは使いやすいとは言えないキャラだったな。
そして敵のドクーガ三幹部それぞれが所有する戦艦が強いし体力が高いし、半分くらいHPを削ったら逃げて経験値と金を置いていかないから嫌いだった。
そんな感じでアニメを見る前のゴーショーグンの思い出はこくらで終わりにし、以後はアニメ「戦国魔神ゴーショーグン」を見た感想を書いていこう。
物語は新世紀明けの2001年から始まる。放送当時の81年からしたら20年先の遠い未来の話だが、そんな2001年もこれを書いている今となっては約20年前のことになっているのだから、確実に時が刻まれていると分かる。時間の流れって早いし怖い。時間のことと言えば、古い作品なので出演声優の中にはお亡くなりになった方が多いとも気づいた。
そんな新世紀の地球では、手広く悪さをする巨大な組織ドクーガが幅を利かせていた。ドクーガに対抗するため、謎のエネルギー「ビムラー」を搭載した空飛ぶ基地グッドサンダー号が発進する。グッドサンダーには巨大ロボットゴーショーグンが格納されている。
ドクーガの狙いは「ビムラー」にあり、グッドサンダー号はビムラーの力による瞬間移動を行うことでドクーガと効果的に戦ったり逃げたりを繰り返す。
お話は悪さをするドクーガをグッドサンダーチームが討つというものでそこは単純。少し複雑性を持たせる要素が物語のキーワードである「ビムラー」の存在。
ビムラーの研究を進めていた真田博士は、ドクーガから研究データを守るために自爆して命を落とす。博士のビムラー研究の粋が詰まった遺産がグッドサンダー号。
グッドサンダーが空間転移を行う時には、メカは抜きにしてスペック上5つの生命しか運べない設定になっている。搭乗者はゴーショーグンを操る北条慎吾、キリー・ギャグレー、レミー島田、ボスのサバラス、そして博士の息子の真田 ケン太。
それにしても、サバラスがケン太をグッドサンダーに乗せるために迎えに来た時には、嘘をついてケン太を騙して連れ去らる敵の資格だと思った。サバラスの見た目がちょっとゴツくて怖いのでそんな勘違いを起こしてしまった。人の見た目ってやっぱりある程度は大事。
てっきり主役メカのゴーショーグンを動かす操縦者三人が主人公なのだと思いきや、真の主人公は一番ガキのケン太なのが意外な点。最初こそうるさいだけのおまけキャラと思ったが、このケン太の成長に合わせて謎のエネルギー「ビムラー」の謎の部分が少しずつ開放されていく。
26話のアニメだが、作中ではケン太が10歳から13歳になるまで三年の時間が流れている。ケン太の誕生日に合わせて「ビムラーエネルギーがパワーアップする仕組みなっている。
ケン太が旅の途中で年上のレミーに恋をする、負傷した慎吾の代わりにゴーショーグンに乗り、恐怖を越えて戦うことを覚えるなどの人間的成長がしっかり描かれている。
最後の方ではビムラーの力によってケン太だけに妖精の声が聞こえたり、メカとコミュニケーションを交わしたりと、まるで超能力者っぽくなっていった。
ケン太の身の回りの世話をするロボットOVA(オバ)、ゴーショーグンに乗る三人の大人達がケン太の教育方針に頭を悩ませ、皆でケン太を育てていく姿勢が見られた。
そんな感じで真面目な大筋が敷かれているのだが、その上にはギャグ要素もてんこ盛りだった。
まず慎吾、キリー、レミーの軽妙な会話劇が面白い。都会的なジョーダンを盛り込んだコミカルなやり取りにはいつもクスリと笑わされてしまう。戦場であってもユーモアを忘れない三人のやり取りが楽しかった。
後半ではキリーの口から、誰にとっても戦場は怖いものだからジョーダンでも言ってないとやってられないと告げられる。恐怖と向き合った上で語るユーモア論は感慨深い。
ゴーショーグンに乗るようになってからはジョーダンばかり飛ばす三人だが、ゴーショーグンに乗る以前の三人それぞれのエピソードはいずれもシリアスでドラマティックなものだった。三人の過去エピソードがかなり印象的で好きだった。
ブンドル、カットナル、ケルナグールの敵の三幹部も、敵なのに恐怖感はなく、いつも愉快な会話劇を展開している。コミカルなキャラクターなので敵だけど憎めない。特にブンドルは一話から最終回まで面白かった。彼については待ったなしの圧倒的変人だった。このアニメではとにかくブンドルが面白い。気障な変態を演じるのに定評がある塩沢兼人の声も最高にハマっていた。
何にでも美学を求める彼は、クラシックをかけて戦闘に臨む。血なまぐさい戦場もブンドル流儀で高貴なものと化した。
セリフにクセがあるアニメの中でも、ブンドルは一番喋りにクセがあり、美学を追求する彼ならではの名セリフだったり語録といえるものが存在する。ことあるごとに「美しい」を連呼するのは面白い。
個人的ブンドル名セリフをいくつか上げていこう。
↓
「美しき者、高貴な者、ヒーローになる者はラッキーな偶然が付物なのだ」
「愛と狂気は紙一重」
「時は宝石のように貴重だ」
「ワンパターンも磨けば光る」
などなど……こんな感じでいちいち言うことが面白く、たまには胸に刺さる良いことっぽいことも言う。
最終回の後日談では宇宙美学論を説いたことで時の人となったとされている。
ケルナグールは、フランケンシュタインの怪物と超人ハルク合わせたような緑の大男の見た目をしている。名前の通り蹴る、殴るをすぐにやっちゃう野蛮な男で、イラついたらケルーナというロボットをボコボコにしている。ドクーガは経済をも操る大きな組織で、ケルナグールはあの見た目でフライドチキンやハンバーガーを売る会社の社長もしている。しかも美人の嫁さんもいて仕事面も家庭面でも成功者である。
ネオネロス皇帝が税金をバク上げして物価が高騰した際にはフライドチキンも売れない時期があったりした。税金関係までも操るから、ドクーガはマジで手広く侵略行為を行っていると分かる。私もその昔にはゲーム「シムシティ」で税金をバク上げして民から怒りを買ったことがある。そんな感じで後にはドクーガも民から反感を買うことになる。
敵の会社の商品であるフライドチキンを慎吾やキリー達が食うシーンもあった。
劇場版では自社のCMに夫婦揃って出演している。
こんな感じでケルナグールのキャラ設定もかなり面白い。
カットナルは覚醒剤はやらないが精神安定剤ならアホ程飲むキャラとして描かれる。ケルナグールと同じくイライラに弱いキャラだった。後日談では大統領になり、医師会長にもなってすごい出世をしている。
最終回の後日談は、ゴーショーグンチームと三幹部とで格差が激しかった。三幹部は皆成功者となっていたが、キリーは自叙伝を出したが売れず、レミーは本編であれだけ願望として口にしていた結婚とは無縁の生活を送っている。慎吾は風呂場の石鹸で転んで骨を折って入院し、現在無職という一番可哀想なことになっていた。地球平和のために戦ったのに慎吾のだけは可哀想すぎた。
こんな感じでビムラーのことを除けばあとは真面目なんだかふざけているのか分からない作品だが、そこが面白いアニメだった。
劇場版「 時の異邦人(エトランゼ)」はレミーが主役でゴーショーグンは出てこず、テレビ版最終回から40年経った世界が描かれる。意外な設定が光るこの劇場版も面白かった。作風はシリアスで、SFとミステリー要素も盛り込み、テレビシリーズとは違う魅力があった。
テレビ版では敵対していたゴーショーグンの三人とドクーガ三幹部が味方同士になって戦うので何事が起きたのかと思った。
レミーはメインキャラの中では紅一点の素敵なキャラだった。演じた小山茉美のおしゃれなノリの演技は良かった。
こちらの劇場版ではレミーがミンキーモモが言いがちだった「サンクスフレンズ」のセリフを言う。両キャラ共に小山茉美が演じていたのでこうなったのだろうと思う。両作を知っているとちょっと感激するシーンだった。
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