「あした世界が終わるとしても」は2019年1月25日に公開された劇場版アニメ。
3DCG、モーションキャプチャーなど、アニメの見せ方の幅を広げる技術が搭載された長編アニメである。
最近ではTVアニメでも1クールに一本あるかないかくらいでこの手のCG作品が見られるようになった。アニメ云々を抜きにして、映像技術の進歩にバンザイしたい。
先に実写で役者に芝居をさせ、その動きに合わせて絵をかぶせる。それに声優が声をあてるという手書き時代からすれば考えられない技術が用いられている。
本作の監督が言うには、手書きでないからと言って決して楽な訳でもないらしく、なんだかんだでやることはたくさんある手法らしい。おつかれ様を言いたい。
そんな今作だが、まずは絵が美麗でキャラクター絵も良い。そしてヒロインが可愛い。特に内田真礼演じる主人公の幼馴染にしてメインヒロインの泉 琴莉(ことり)がとても良い。主人公の世話を焼きたがる幼馴染という、コテコテのメインヒロイン要素は、令和になった今日でも結局最強。
作品ジャンルはSFとバトルと恋愛要素もありな感じ。今時な世界観だった。
本編は、主人公少年 狭間 真の母が突然死する回想シーンから始まり、前半は真と琴莉の学園ライフやデートを描くなどして平和に進行する。すると急に「北斗の拳」的な荒廃した世界に場面が切り換わり、その世界でも真と琴莉そっくりのキャラが出てくる。ここでの急な世界観の転換には「え?」ってなり、何事だと思って引きつけられた。
実は地球は分裂して二つあり、それぞれの世界には相対する人物が存在していると分かる。二つの世界にそっくりさんが存在し、片方の世界で死んだ者は、もう一方の世界でも死ぬ。これが真の両親の突然死の原因と分かる。
片方の世界の者は自分でも何がなんだからわからない内に命が終わってるのだから迷惑というもの。
この似ているようでしっかり異なる二つの世界をキーワードに物語が展開していく。あっちの世界の者がこっちの世界に来て事を成すことで、それぞれの世界に変革をもたらすみたいな流れになる。複雑な感じがするが、見てみるとそうでもない。
こちらの地球ではただの女子高校生の琴莉も、向こうの世界では民衆の指導者の立場にある。その関係から向こうの世界で暗殺され、メインヒロインなのにこっちの世界でも死んでしまう。悲しかった。
片方の世界で政治屋を大量に虐殺することで、両日本の政治を根っこから殺しにかかるという展開が印象的だった。そんな感じで、少々だが政治的思想を問うこともした作品だったと想う。
後半では向こうの世界で核爆発的なものをぶっ放すことで、こっちでも同じ人数分被害がでるという、大量虐殺を極簡略化して済ませた作戦が展開される。エグい。
そして街にはアニメの「亜人」みたいな恐ろしい化け物を放って普通に人を襲わせて殺す作戦も展開される。
後半はややグロでバイオレンスな描写もありだった。
高い戦闘力を持つバトルヒロインのリコ、ミコの双子の活躍が印象的だった。バトルヒロインで感情の起伏に乏しい美少女双子という設定は「リゼロ」のリム、レムのコンビを思い出させる。
前半部分では、シンガーソングライターあいみょんの軽快な挿入曲に合わせて真と琴莉のデートシーンが映される。ここで真から琴莉への愛の告白が未遂で終わる。これには「じれったいから早く言いなよ」と思ってしまったが、事件が終わりを迎えたラストシーンでは、真がしっかり告白を決めて終わって良かった。
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