こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ポップなお坊さん映画「ファンシイダンス」

「ファンシイダンス」は、1989年12月23日に公開された日本映画。

 

 8年くらい前にBSでやっていたのを見たことがあり、その時に面白くて気に入った映画である。それを今になってまた見てみた。2回目の視聴だが、やはり味わい深い妙なテンションの映画だと言える。

 

 若い修行僧たちの話を描くのだが、所々におふざけ要素を入れていて、それでいてしっかりお寺の仕事の説明もしている。結果的にためになる(多分)作品だった。何にせよ、一般人は立ち入ることなき世界が覗けて面白い。

 お寺が舞台のお話だが、主題歌はプリンセスプリンセスという点はポップ。

 俗世を映すシーンでは、人々のファッションにバブリー感を見ることが出来る。

 

ファンシイダンス

 

 本木雅弘演じる主人公青年 塩野陽平は、バンド活動を楽しむお気楽な学生だったが、卒業してからは実家の寺を継ぐため、山の修行に出る。そこに弟の郁生も付いてくることになる。

 スーパーアイドルをやっていたもっくんが、本当に頭を剃って出てくるのがすごい。坊主にしてもまだ綺麗だと言えるのが真なる男前。もっくんは剃っても綺麗だった。

 冒頭のライブシーンでは半分ロン毛、半分ハゲの頭でもっくんが愉快に歌って踊っている。しかもバックには東京スカパラダイスオーケストラを引き連れていた。

 

 塩野兄弟に加え、彦麻呂が演じる英峻 (えいしゅん) 、デブで間抜けな珍来(ちんらい)も合流し、4人で修行生活をスタートさせる。

 しゅっとして男前な英峻が、巨漢になった今日の彦麻呂と同一人物とは思えない。これはテロップで配役を見るまで誰だか分からなかった。

 

 基本的に皆不真面目で、陽平は適当に修行を済ませると、後は悠々と実家を継げるくらいに思っている。郁生は「お坊さんは格好良いもん」とかほざいて兄貴についてくるし、英峻は彼女が寺の娘だから逆玉結婚のために仕方なく山に登ってくる。珍来はずっとバカやってる。

 

 先輩のお坊さんもそれなりの俗物に描かれていて面白い。竹中直人演じる先輩坊主の光輝は、表面は真面目、裏では色々やっていて面白い。スーツとかつらで夜にこっそりキャバクラに行ってるのとかは不真面目過ぎる。

 修行しているお坊さんだけど、部屋の押し入れに酒やタバコを隠し持っているし、一番笑えたのはテレビとファミコンもそこに隠していたことだった。お坊さんもファミコンをやるんだとちょっと安心する。

 

 主人公たちが寺に届いた菓子を盗み、トイレに隠れて食っているシーンが面白い。食ったカスはボットン便所に捨てるというマナー違反を犯して証拠を隠していた。こうして菓子を食いまくった末に、珍来が糖尿病になって戦線離脱することになる。山に籠もった人間が余計に太って病気になるなど信じられない。

 

 印象的なアイテムとなったのが、陽平の彼女の真朱(ますお)が友人からもらう携帯仏壇。これが面白いアイデアものだった。

 

 男だらけの集団生活ゆえにあることだが、男同士のカップルも出来るということも映していた。郁生は男女問わずから人気者で、先輩の坊主に性的に気に入られ、地元の女学生は郁生ファンクラブを作っていた。

 

 陽平が托鉢に出た先でナンパしているのもコミカルで良かった。

 

 脱俗を計るお坊さんがどうしてもそれを出来ないという流れをコミカルかつ、時に不謹慎に描くのが好きだった。

 キャラ同士の会話劇も妙なテンション、妙なテンポで行われて印象深い。

 

 十分にふざけているけど、その反面お寺の仕事もしっかり見せている。

 これがどこの宗派かは知らないが、とにかくやることが細かくて厳しい。

 

 飯の作法、たくさんある寺の鳴らし物の扱い、寝る時まで規定の体勢があるなど、とにかく厳しい。

 楽しくて好きな作品だったけど、これを初めて見た時には面倒くさいから絶対にお坊さんにはならないと思ったのも事実である。

 

 お経を唱えるシーンでは歩き回ったり、時には踊ってるようにも見える激しいアクションを行っていた。ただ座って黙々と唱える宗派でもないみたい。疲れそうな仕事だ。教本を南京玉すだれのようにしてぱらぱらめくるのはおしゃれ格好良かった。

 

 後半シーンの法戦式は過酷で精神的にかなり疲れそう。

 やることだけやっていれば俗物でも免許が下りるのだろうが、やはりそこまでの手順は俗世間を離れたきついものだと分かる。

 

 これといってダンスなどはしていない作品だが、面白い試みの意欲作だと思う。時には悟りの境地的良いことも言っている作品なので、日本の名作の一本に数えようと思う。

 

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