こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

これがマフィアだ「ゴッドファーザー」

ゴッドファーザー」は、1972年に公開されたアメリカ映画。

 

 ゴッドファーザーといえば一番に来るイメージが上映時間が長いこと。これと並んで「アマデウス」「十戒」「風と共に去りぬ」あたりも、確かDVDが二枚組だったり両面だったりして、視聴するにはかなり手強い相手だった。

 名作映画を見るのはもちろん楽しい。しかし、長時間の確保、確保したところでその間集中して戦うことが出来るか、という点でちょっとした苦労もあったりする。こうなると本当に趣味を楽しめているのかどうか怪しいものだが、動画を趣味にする者はいつだって時間のことであれこれ悩みがちなのだ。

 

 そんな時間の不都合がやや緩和するのが、幸か不幸かコロナ問題にあった。コロナ自粛期間を有効活用し、私はこの長い映画「ゴッドファーザー」にチャレンジした。

 

 父がDVDをレンタルしてきたり、ビデオも持っていたし、これまでテレビで何度も放送しているので見るチャンスはいくらでもあたのだが、ちゃんと見たのは今回が初めてのこと。まさか令和に入って初視聴になるとは思わなかった。

 

 映画を見て、タイトルの「ゴッドファーザー」は、「名付け親」という意味だと分かった。

 

ゴッド・ファーザー (字幕版)

 

 1945年の世界を舞台にマフィア組織「コルレオーネ・ファミリー」の活躍を描いた作品となっている。

 

 マフィアもビジネスという価値観は強い印象として残った。

 マフィアにも領分があり、作中では5大マフィアによって業界のパワーバランスが保たれている。「NARUTO」でいう五影怪談のようにして5大勢力ボスが顔を突き合わす会議のシーンには緊張が走っていた。なるほど、見ていれば政治や何かの委員会の会合の場のように見えないこともない。無秩序に拳銃をぶっ放して暴れるアホ連中ではなく、業界の調和を保つために各勢力が緊張感ある駆け引きを行っているのが分かる。武力オンリーで行くのではなく、政治的駆け引きが出来る頭もないとマフィアは出来ない。ビジネス的な一面も確かにあるというもの。

 

 コルレオーネ・ファミリー初代ボスのヴィトー・コルレオーネは、麻薬商売はやらないなどのマフィアの矜持を持っている。政治方面にもコネクションを持っている。こう見ると、マフィアも広く社会を見て理解しないと出来ない商売だと分かる。ヴィトーは一端の流儀を持つだけに、堅気連中からも信頼を集めている。ヴィトーの貫禄がすごい。

 

 マフィアなのでやはり荒いことだって問題なくやってのける。脳天に穴を開けるをはじめとした鉄砲のドンパチシーンは迫力があってショッキングでもある。

 

 オープニングシーンから既に引き込まれる興味深いものになっていた。娘が強姦にあった復讐を依頼するため、中年男がドン・コルレオーネに凄惨な事件のいきさつを語るところから始まる。OPからこの話題はヘビーだった。こういう闇の依頼も受けるのがマフィア稼業。

 自分を芝居に使わない監督に不満をもつ男もまたドン・コルレオーネになんとかしてくれと依頼する。こういう時には荒い脅しをかける。

 

 警察にもやはり悪いヤツは潜んでいて、中盤ではボスの息子のマイケルが敵もろとも悪い警察を撃ち殺す。

 殺人を犯した後、マイケルは田舎の村に潜伏して事が落ち着くのを待つ。ファミリーの本部がある街はかなりの都会なのに、こちらは打って変わって田舎風景が広がるので舞台の移り変わりにギャップがあった。

 現地の美人娘のアポロニアと結婚してマイケルの生活も安寧なものになるかと想いきや、仲間の裏切りでアポロニアは車ごとぶっ飛ばされて死ぬ。えぐいシーンだった。

シチリアの女は銃より怖い」というシチリアンジョークなのか?とも思えるセリフは印象的。

 

 アポロニアが死んだら、さっと前の女とよりを戻して結婚するマイケルのフットワークの軽さも印象的だった。

 

 マフィア達は狡猾にお得な相手と手を結び、その過程でよそへの裏切りも行う。結んで切っての関係が渦巻くマフィア世界の深み見ると恐ろしくもなる。

 

 ファミリーの長男ソニーがハチの巣にされて殺されるシーンは衝撃的だった。そんなに打ち込む必要ある?とツッコミたくもなる。

 冷静沈着な親父とは違い、ソニーはかなり頭に血が登りやすいタイプである。妹のコニーが旦那から暴力を受けていると知れば、夫のカルロをボコりまくる。二度目のカルロボコりに向かう途中で殺し屋数人にマシンガンで打たれて死ぬ。

 嫁に暴力を振るうカルロは許せないくそ男だと思った。最後にはマイケルがこいつを粛清してくれたので良かった。

 

 敵から弾丸を喰らっても死ななかったヴィトーが、孫と楽しく遊んでいる最中にあの世に行くという最後は印象的だった。良いおじいちゃんとして生涯を閉じたのだから、良い形の最後だったのではなかろうか。

 

 ここからのマイケルの巻き返しがすごい。

 

 マフィア一家の中で、家業に関わらず堅気として生きたマイケルは、戦争で軍隊の英雄にまでなった。そんな彼がボスである父と次期候補だった兄も亡くした後には、怒涛の運命に飲まれ、マフィア界でのし上がり、最終的には二代目ボスにまでなる。鬼のように冷徹に事をこなす彼の眼力がすごい。

 激動の運命を強くマイケルの活躍から目が離せない作品だった。

 

 マイケルを演じたアル・パチーノは「狼たちの午後」で「アッティカアッティカ」と吠えるケチな強盗をやっていたのに、ここでは全く違う感じで来るのでビックリだ。

 

 マイケル指揮の下で同時展開する自分以外の5大勢力ボスとおまけに裏切り者共も一気に殺るという一大プロジェクトは終盤の見せ所となっていた。

 妹の息子の洗礼式に出るマイケル、各地で同時に殺しを実行する仲間達、2つの場面を交互に映しながらエンドに持っていく演出にはドキリとするものがあった。ぶっちゃけここまで休みなく見ると、そろそろ眠くもなって来るところだったが、衝撃の作戦が展開するココでハッと目が覚めた。プロだけあって殺しの手口も鮮やかで仕事が早い。

 

 陰謀渦巻くマフィア社会には、この世のどの業界にも見ない厳しさがある。恐ろしい世界だが、ここで見られる大河ドラマには目を奪われた。約3時間もある長い作品だが退屈せずに見れた。

 

 続編もチェックしよう。 

 

 

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