こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

コルレオーネファミリー、魂の系譜「ゴッドファーザー PART Ⅱ」

ゴッドファーザー PART Ⅱ」は、1974年に公開されたアメリカ映画。

 

 前作に引き続き上映時間は約3時間半と長め。「風と共に去りぬ」などの古くて尺が長い映画にたまに見られる「INTERMISSION」の時間もあった。これを一息で見るのはかなりきついと想う。コロナ自粛というこんな暇な時期でもないとチャレンジする気にならないシリーズ作品だったろう。

 

 今作は確かに面白くて退屈しないが、内容が複雑でちょっと難しい。ただでさえ作品時間の長さで脳味噌が疲れるというのに、その状態でこの複雑さだといつの間にか話の内容に置いていかれそうになる。私は長めの休憩を取り、二分割して見た。

 

ゴッド・ファーザーPART2(吹替版)

 

 激動の運命の中でコルレオーネファミリー二代目ボスに就任したマイケルのその後、そして今は亡き初代ボスのヴィトー・コルレオーネの若き日々、この2つの物語が描かれる。二人の主役の物語が交互に描かれるのが印象的な演出となっている。

 

 順調にボスまで上り詰めたマイケルのその後だが、これがなかなか波乱なもので上手く行かない。

 

 マフィアの仲間内でも担当する領分の線引があり、そこで揉める連中がいる。どの派閥がニューヨークのここからここまでを占めるかということで抗争が起き、マイケルもその面倒事に巻き込まれ、夫婦の寝室を狙撃されて危ない目にあう。

 

 自分を襲った裏切り者を追うため、一時ファミリーを離れて捜査を進めるマイケルだが、その先で兄フレドからの裏切りにあったり、旅先で妻の流産を知ったりしてトラブルは続く。

 ファミリー統制が上手く行かず、冷酷な仕事ぶりについて行けないということで妻にも愛想をつかされで、マイケルのストレスもかなりのものになっていると想う。

 

 心根は良いヤツだが心が弱いとマイケルから評される兄フレドの心情が吐露されるシーンは印象的だった。

 自分よりも有能な弟のマイケルに嫉妬心があったことをあらわにするフレドの言葉にはリアル性があった。

 

 兄弟の生き残りには妹もコニーもいるが、マイケルはコイツとも揉める。コニーが安定してうざい。

 前作でDV夫のカルロがマイケルによって消されたが、コニーは性懲りもなくわけの分からない男を連れてきて結婚しようとする。カルロみたいなワルを消してもらったことはむしろマイケルに感謝した方が良いのではとも想うが、コニーはそのことを恨んでいて、当てつけのようにして次の男を連れて来て金をせびる。ちょっとバカ女ぶりが目立って苛立つキャラである。

 

 冷酷なマフィアとなったマイケルの息子を産みたくなかったために、ケイが堕胎の道を取ったことはショッキングだった。ケイの流産の真相がなかなかに重いものだった。子供たちはマイケルの手元に置き、ケイとは離婚することになる。マフィアの仕事と離れた家庭での夫、または父としてのポジションを確立出来ないマイケルの葛藤も見えた。

 

 母の下を訪ね、家族を失うことについて語るマイケルに少しの弱さを見た。家族を重んじ、家族を守るために戦っているはずなのに、結果を見れば家族を失うことになっていることに嘆くボスの孤独が見えた。

 

 今回では兄弟との不和、嫁とのいざこざなど、マイケルの複雑な家庭問題を扱っているのが特徴的だった。とにかく組織のボスってのは苦労が耐えないと分かる。

 

 後半では特別委員会の開く裁判でマイケルが質問攻めにされるシーンが描かれ、これも印象的なシーンだった。表向きはクリーンな仕事をしているというポーズをとるマフィアの都合も分かる。

 

 同じマフィアの間でも戦争が起きることと結びつく要素として、キューバでの内戦が扱われていることが印象的だった。マフィアの世界もそうだが、戦争をする国の事情を見ても恐ろしい時代だと分かる。

 

 ラストでは父が生きていて、ソニーやカルロもいる中でパーティーをするマイケルの回想シーンに入る。どんどん孤独になっていくマイケルの人生を見れば、この時期が平和で良かったと思える。マイケルが海軍に志願して戦う相手が日本軍だったのも印象的だった。日本もその昔には戦争をしていたという史実を改めて認識してしまう。

 

 

 マイケルがある種の人生の落ち目を辿るなら、もう一方で展開する父ヴィトーの若き日の物語は活気あるものだった。

 

 ヴィトーの家族はドン・チッチオ率いるマフィアに殺され、まだガキの時分に国を出て旅をすることになる。優しかったヴィトーの母がショットガンでぶっ飛ばされるシーンは怖かった。一家皆殺しにすると言ったからには情け容赦なくガキであっても必ず消しにかかるマフィアの残忍さが出ていた。

 

 前作の老け込んで貫禄抜群だったヴィトーとは打って変わって、若き日のヴィトーは家庭を支える良き青年に見える。若き日のヴィトーをロバート・デ・ニーロが演じたのは印象的だった。

 

 堅気からも尊敬され、人々から頼られていた人格者のマフィアだったヴィトーと違い、ヴィトーの過去の物語に出てくる他のマフィア達は荒くれ者でとても悪い。自分の占める街の業者からみかじめ料を取って回るファヌッチはクソ野郎だった。

 

 アパートで犬を飼ったのが問題となって追い出しをくらったおばさんから、なんとか大家に口利きをしてくれなんて依頼が来てもちゃんと聴いてやるヴィトーは人が良い。

 

 前作でも登場した「嫌とは言えない申し出」のセリフがヴィトーの口から出るのが熱い。

 

 ヴィトーが発砲音を殺すため、銃を持った手に布を巻きつけてロックマンのバスターみたいにしてファヌッチを殺るところが格好良かった。発砲後、火薬が布に引火して燃える演出はリアル性があって良かった。ヴィトーの殺しの手口も鮮やかであった。

 

 最後には大きくなったヴィトーがドン・チッチオにしっかり復讐を果たす展開は痛快であった。

 

 2つの時間軸で親子二人の物語を追い、コルレオーネ魂の系譜を描いた大河ドラマに感動した。

 

 こうなると続く「PART Ⅲ」 を見ない訳には行かない。

 

 

スポンサードリンク