こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

美しきファミリー劇「若草物語」

若草物語」は、1949年に公開された映画。

 

 アニメにもなって楽しまれている大昔の文学作品が実写映画化したものを楽しんだ。時を越えて人々に楽しまれる作品で、アニメも実写も複数作品があり、ここ最近でも映画や舞台劇として楽しまれている。

 

 複数ある映像化作品の中でも今回視聴したのは1949年に公開した実写映画。実に古い。4姉妹の隣の家に赤ちゃんが生まれるシーンが描かれるが、この赤ちゃんも今では年寄りなっているのかと想うと時の流れを感じずにはいられない。

 そんな古い映画だが、内容は爽やかな家族愛とヒロイン達の成長を描いたもので、大変素晴らしいものだった。

 

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 どうやら没落して貧乏になったらしい家族が描かれる。仕事のため家を留守にした父に代わり、堅実な母が可愛い4姉妹と共に暮らす様がイキイキと描かれている。

 

 メインで描かれるのは4姉妹の次女ジョー。おてんばが過ぎるジョーの青春の物語が面白い。淑女でありながら明朗快活な男勝りのヒロインに描かれ、女版のトム・ソーヤみたいだった。家の門をくぐらず、ショートカットのため横の柵を乗り越えて来るところは印象的。学校でも授業を真面目に受けないので先生からこっ酷く叱られたりもする。他の3人と違い、ダンチで女子らしさがない。淑女の教育を受けながらも「おったまげた!」なんて今日日なかなか聞かないワードを吐くのも愉快。

 

 ジョーの意外な点が読書家なところで、自分でも小説を書いて会社に持ち込んだりしている。なかなかアクティブである。今日の日本ではほぼ絶滅状態となった文学少女というやつだ。この落ち着きの無さでも本は黙って読んで書くというのが良いギャップ。

 ジョーが小説を読んで感動のあまり泣いているシーンがあるが、その本は自分が書いたものだった。自画自賛の末に感動して泣いているという良い性格なところも面白い。

 

 ジョーのギャップ萌えなところと言えばもう一つ。実は裁縫が得意でボタン付けなどお茶の子さいさいでこなす。ベア教授の服にボタン付けしてあげるシーンは萌える。この感じでボタン付けのスキルを見せられるとやられるかもしれない。

 

 母が父に会いに行くための旅費を稼ぐため、ジョーは自慢のロングヘアーを切って売るという大胆な行動にも出る。「賢者の贈り物」を読んだ時にも思ったが、髪が売り物になるってどういう会社で、売り物になるからにはどんなに良い髪質をしているのだろうか。

 

 ローリー、次いでベア教授から言い寄られ、意外とモテるジョーの恋愛物語にも重点が置かれている。私個人としてもこの感じの活発なヒロインはアリだと想う。

 

 4姉妹が実に仲睦まじく描かれるのも良い。美しき姉妹愛が見れる。気心の知れた仲の姉妹トークはテンポが良い。猩紅熱にかかり、最後には死んでしまう姉妹のベスとジョーの深い絆を見るとちょっと泣ける。

 

 4姉妹が絶対的な信頼を寄せる母との関係も良い。やはり母はどっしり構えて心強いものであると分かる。

 両親がいない隣の家のローリーが、母子の暖かい関係を美しい画のようだと言って羨んで見ているというのも良い。ローリーの素直にして詩的な表現は胸に刺さった。

 

 ジョー達家族の親戚のマーチおばさんは、口が悪いけど愛着が湧く良いキャラだった。時に物言いが横暴、皮肉も吐くが、本当は優しいツンデレババアなのが愛くるしいハマるキャラだ。

 

 後半でジョーが住み込みの家庭教師を始め、仕事先の奥さんが使用人のソフィーを呼び出すシーンがある。この時の奥さんのソフィーの呼び方が「ソ・フィ~~」といった感じに語尾が上がって面白い。狩野英孝の「スタッ・フ~~」みたいな感じの呼び方にウケた。

 

 シナリオとは関係のない美術面で印象的だったものが二つある。

 一つはジョーの家の門部分が簡易版の回転ドアみたく設計されていること。十文字の木が真ん中でくるくる回るだけのものだが、こんなものは人生で初めて見た。いつかマイホームを建てる時には設置したい。

 二つ目はジョーが小説を会社に持ち込むシーンで映る歯医者のオブジェ。口がパクパクしているおしゃれで高そうで何よりユニークなデザインセンスは印象的だった。日本の歯医者にもこんな楽しいのを置いておけば皆が怖がる気持ちも和らぐだろう。

 

 途中で姉妹のベスが死んでしまう箇所は寂しいが、全体的には明るい家族を描くものでほっこりした。約2時間の映画だが、サクッと見れて楽しかった。家族、姉妹で仲良しなのって尊い。私も母や兄弟を大事にしようと思えた。

 

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