こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

我が体を求めて「ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」

ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」は、1994年に発売したスーパーファミコンソフトである。

 

 過去に2回程挑戦したことがあるが、その時には自分の怠惰や飽き性ではなく、忙しいスケジュールのため断念した。一度手をつけておきながらクリアしていないというもやもやが未だ残っていたので、令和に入ってちょっと楽になった今こそと思ってクリアしてみた。

 なかなかやりごたえのあるソフトで結構楽しめた。長く続くシリーズものだけに目立ってクソ要素もなく、無難に楽しめるRPGといった感じだった。

 

 本作はギリシャ神話の設定を底に敷いたRPGで、壮大な世界観が印象的な作品だった。タイトルにあるヘラクレスも主人公のサポート役として参戦する。

 

ヘラクレスの栄光4 神々からの贈り物

 

 物語はアトランティス王国から始まる。主人公、その友人のうるさい男プラトン、ヒロインのエピファーらはアトランティスで平和に暮らしていたが、他国の敵襲や嵐の被害を受けてアトランティス王国は壊滅に向かうことになる。

 

 死にゆく仲間達がたくさん出る中、主人公達は永遠に肉体を保持するオリハルコンの箱の中に入る。それから幾年もの時が流れた世界に主人公の魂は転生する。自分の体を持たず、魂だけとなった主人公は、様々な人の体に入ることで本当の自分の体にたどり着く冒険に出る。

 

 主人公、次に仲間になるプラトンは特定の体を持たず、冒険の途中で出会う誰かの体に魂を入れて戦うことになる。この点が本作の特徴として強い部分だ。オリハルコンの箱に入った本人達の体には終盤も終盤まで進めないと戻ることは出来ない。

 

 最初は犬の体に始まり、主人公は実に多くの人物の体に入ることが出来る。最終的には一体何人になるのか把握しきれないくらい選べる体は多かった。それぞれの体で使える技、ステータスが異なるので、効果的に体を選ぶことが戦略の鍵となる。

 各キャラクターの経験値を積むことで熟練度を上げることが出来る。多くのキャラでレベルマックスにするやりこみ要素があるのが楽しい。

 

 普通なら擦れ違って終わるだけで、自分の人生の中での配役が通行人AからZのどれかに過ぎない人物にも一端の人生がある。体の乗り換え設定からそんな気づきを得ることが出来た。 

 

 エンカウント率はまぁ普通といった感じで、バカみたいに敵が襲ってきたり、強かったりすることもなく、ビギナーレベルでも行ける作りだったと想う。

 

 フィールドマップで昼夜が変わるのも印象的で、戦闘パートでは天気や空間を操ることで戦いが有利になるというちょっと変わった要素もあった。私としてはとにかく力押しで行く感じだったので、天気の変化とは特に気になる要素でもなかったのだが……。

 

 ダメージを食らった時、逆に食らわす時の雄叫びを手で入力して決めることが可能。このちょっとしたクリエイト機能も楽しい要素だった。

 

 グラフィックは綺麗。エンカウント時、敵はアニメーションで動いている。結構グロいのもいたりするので注意。

 パーティーメンバーの攻撃時、各員の視点にカメラが切り替わる点はちょっとしたこだわりで好きだった。戦闘に迫力が増す良い要素だった。

 

 移動マップは広く、途中で迷子になることもしばしば。

 ちょっと悪いのは途中で使う潜水艦がどこに行ったのか分からなくなること。

 

 ダンジョンの上から下へと水が伝わるようにして潜水艦を浮かせるイベントがちょっと面倒だった。

 

 主人公が喋らないというのはこの手のゲームにありがちな設定だが、ご多分に漏れず本作の主人公も喋らない。そこをカバーしてべらべら喋るのが序盤で仲間になる主人公の友人プラトンである。

 転生したプラトンは結婚して子供が4人もいるのだが、その割には精神的に幼い感じがする。途中で仲間になりゾンビ化してしまう少女やヘラクレスとも口喧嘩するし、ちょっとおバカっぽい。だが、賑やかで好きになるキャラだった。

 

 旅を進めるのに窮した時、また人生にちょっとの暇が出来た時には、重要アイテムの「プラトンのにっき」を読むのが良いだろう。割と豆なプラトンは、旅の途中で日記を認めている。これを読めば冒険のヒントを確認することが出来るし、もっとプラトンに愛着が湧くのでお得。

 

 本作ではメインシナリオのボスを倒すとエキストラパートが解放され、裏ボスに挑戦することが出来る。このエキストラパートでプラトンは旅に同行せず、日記を持って自分の家に帰ってしまう。嫁と子供の元に帰ったプラトンと訪ねると「もうおちついたら?」「自分はもう家族と離れたくない」とか言って守りに入った同級生ぶりを見せつけてくる。彼が父として成長するのは嬉しいが、同時に寂しくもなる。あの頃の落ち着きのないプラトンに戻って欲しいと思った。

 

 プラトンの村に自作の歌を聞いてくれというガキが出てくる。歌を聞いてやると、それがまるで初音ミクのような感じで歌っているので驚いた。スーファミでこの感じで聞こえるのはレベルが高いのではないだろうか。意外なおまけ要素だった。

   

 序盤で王国の壁にメッセージを書き込むイベントがある。後半で廃墟と化した同じ場所を訪れ、そこでプレイヤーが壁に打ったメッセージを再び見ることが出来る。同じ場所でも時が経てばこんなに悲しい風景に変わっているのかと想うとゲームなのに感情が揺さぶられる。

 プレイ当時には、配信者のうんこちゃんがどこかで言った「俺たちが一番だ!」というセリフをやけに気に入っていたので、そのまま壁のメッセージに使わせてもらった。

 

 

 ボスキャラの名前は「にくしみ」「むきりょく」「ふくしゅう」などで、生命体というよりも負の感情の集合体といった化け物に描かれている。そして見た目はなかなかグロい。人間の良くない心理を具現化して見せるというダークなテーマ性がまた奥深いものに思えて良かった。

 

 テーマとして永遠の命、魂、転生というものが扱われている。

 アトランティス王国で主人公達の先生をしていたアールモアは、永遠の命の研究をしている。永遠の命をテーマの一つに扱う一方、序盤で我らがアトランティス王国は滅びの時を迎えてしまう。不朽のものと確実に滅びゆくもの、対比する二つの要素が並ぶこの点になにか深いテーマ性を見てしまう。

 

 こんな感じでちょっと不思議な仕掛のRPGとなっていて楽しかった。

 

ヘラクレスの栄光4 神々からの贈り物

ヘラクレスの栄光4 神々からの贈り物

  • 発売日: 1994/10/21
  • メディア: Video Game
 

 

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