こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

逃亡犯と人質少年の絆「パーフェクト・ワールド」

パーフェクト・ワールド」は、1993年に公開されたアメリカ映画。

 

 脱走犯をケビン・コスナーが演じ、それを追いかける警察の役をクリント・イーストウッドが演じた。豪華な顔ぶれとなった。

 

パーフェクト・ワールド(字幕版)

 

 1963年のアメリカを舞台に、子供を人質に取った逃走犯の物語を描いている。互いに父親がいない二人が行動を共にする中で芽生える親子のような絆が美しい。

 

 車を乗り換え、ブッチは幼い頃父からもらった絵葉書に写るアラスカの地を目指す。逃亡犯と人質によるロード・ムービー調な展開も良い。

 

 キャスパーのお面の横に寝転ぶブッチを最初に映し、それが最後のオチに繋がる演出が印象的だった。

 

 宗教にうるさい母がハロウィンを許さず、仮装衣装で遊ぶことのなかったフィリップが、ブッチと共に訪れた店でキャスパーの衣装を盗んでしまうシーンも記憶に残る。犯罪者と旅する中で窃盗行為に出たことは後でどう処理されたのだろうと気になる。この店の事件でフィリップは逃げることが出来たのに、ブッチに親しみを感じてか、迷った末に車に戻る。

 その昔にはキャスパーの映画を見て、スーファミのソフトでも遊んでいたので色々懐かしい。

 

 看守を殺し、相棒だって途中で殺したブッチだが、子供には優しい。ブッチの相棒のテリーはやばいヤツ過ぎたから早めに切り捨てておいて良かったと思う。

 自分の父がガキを殴る乱暴者だったため、子供につらく当たる親を見ると過剰に反応してしまうブッチの特性が濃く描かれているのが印象的だった。逃げる途中にも子供をめっちゃ叱る母親を見ると顔色を変え、後半では子供を殴った男を銃で殺そうとする。

 男が殴った子供をブッチが宙返りさせて遊んであげるシーンがある。こんなのあるんだと思って姪っ子にやってあげるとめっちゃ泣き出して母に叱られた。

 

 ブッチは、父がいないフィリップにあれこれと教えを説く父親的な部分も見せていた。旅の途中でバーの女と寝るという一幕をフィリップに覗かれるシーンがあったが、ああいう生々しい大人ならではの性の事情もそれとなく伝えているのは子供に対して嘘がなくて良い。

 

 ブッチとフィリップの間に父子の絆を見もするが、後半では男を撃ち殺そうとしたブッチから銃を奪い取ってフィリップがブッチを撃つという厳しい展開も用意される。心通わせた相手を撃たなければ関係のない人が死ぬという葛藤の中で引き金を引くフィリップを描く展開は重い。

 

 二人を描く一方で、ブッチを追う捜査チームの物語も展開する。パレード仕様になっている変な車で捜査に向かうのが印象的だった。途中で車とコンテナが分離するところはドキドキした。FBI捜査官もチームに派遣されるが、こいつが何か気に食わないし、女性メンバーを口説いたりするのでちゃんと仕事しろって思った。

 

 ブッチが警官に取り囲まれる原っぱでのシーンが一番見どころだった。最後までフィリップのことを考えてくれたブッチの良いところが見て取れる。

 ハロウィン未経験のフィリップのため、ありったけのお菓子を警察に要求し、母にはフィリップがハロウィンに参加するのを許可しろと要求する。これがフィリップを解放する条件になる。優しい条件で良かった。

 

 凶悪犯を取り囲み銃を構えた警官達だが、それぞれが意外にもお菓子を持ち歩いていると分かる。その場でまあまあな量が集まっていた。やはり糖分回復とか、こうして犯人にやることを想定していくつかは携帯しているものなのだろうか。あと警察がタバコをポイ捨てするシーンがあったのはちょっと嫌だったな。

 

 抵抗意志のないブッチが絵葉書をフィリップに渡すのを見て、銃を取り出すと勘違いしたFBIがライフルで狙撃するシーンがショッキングだった。最後には良いヤツになったブッチを撃ったことに怒ったイーストウッドとその助手の女がFBI男をボコるシーンは爽快だった。あいつ嫌いだったんだよな。

 

 人殺しを行なった犯人だけどブッチはフィリップの心を成長させた親的な役割も果たしていた。解放されてもブッチを心配してまた彼の元に帰るフィリップの優しさにもホロリと来るものがある。

 フィリップにとって得た物も大きい旅だったろうけど、絶対に心の傷にもなると思う。その後フィリップは何を思って大きくなるのだろうか、ということを想像してしまう結末だった。

 

 犯罪者と人質の物語から家族のあり方について深く考えさせられる作品だった。深いメッセージ性があり、感動できるパートもありな面白い映画だった。

 

パーフェクト・ワールド(字幕版)

パーフェクト・ワールド(字幕版)

  • 発売日: 2015/03/15
  • メディア: Prime Video
 

 

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