こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

マジ、サイコだった映画「サイコ」

「サイコ」は、1960年に公開されたアメリカ映画。

 

 巨匠ヒッチコック監督作品である。

 ヒッチコック作品の中でも一位くらいに有名だし、広く映画作品としても世界的な傑作と言えるのが「サイコ」である。

 

 これまでテレビで何度となく放送されていて、公開から60年経った今年にもテレビで放送されていたのを視聴した。今回で人生二度目の視聴である。

 

 様々な作品でオマージュネタとして使われるヒロインのシャワーシーン→殺人シーンへの流れ、初見では絶対に予想できないであろう恐ろしくて不気味なオチ、これら2点はあまりにも有名なのでいつまでも覚えている。それ以外は導入から過程までかなり記憶が抜け落ちていた。なにせ前回見たのが結構前のことなので。それにしてもこの作品のオチを初見で見抜けた人間は一人もいないと思う。水ダウでこの説を上げれば証明されると思う。

 

 今回改めて視聴すると、やはり歴史に深く記録を打ち込んだ傑作だけのことはあると思えた。とても面白い。

 

サイコ (字幕版)

 

 話の内容は、男と不倫するために金が欲しくなったヒロインのマリオンが、銀行に振り込まないといけない会社の金4万ドルを持ち逃げすることから始まる。

 4万の出所は、生を即金で振り込むのが流儀だとほざくブルジョアジジイ客の懐。格好つけて金を見せびらかすからこんな目にあうのだ。

 

 やはり身の丈に合わない大金を持っていると人は平静ではいられずそわそわするらしい。パトロール中の警官がマリオンの態度が怪しいと踏んで早々に尾行してくる。グラサンをかけてマリオンを尋問する警官の圧が強くて怖かった。取り乱し、そわそわした感じで言い逃れに走るマリオンの態度を見れば、リアルならああもなると思った。

 

 マリオンの大金持ち逃げをメインシナリオに据えても一本書けそうなものだが、マリオンは中盤で死亡し、物語から退場する。それまでメインで描かれたキャラが早々に死んで別のもっとやばい事件に発展していくブーストのような仕掛がこの作品の面白い所。

 逃げ込んだモーテルのシャワー室で謎の人物に襲われて死ぬあのシーンはやはり印象的。シーンでかかる不協和音BGMも恐怖を駆り立てるものでずっと忘れられない。楽曲面でも印象的な作品だった。

 いつまでも思うけどホテルとモーテルって何が違うんだろう。

 

 モーテルの主人ノーマンとマリオンの対話シーンも印象的。病気の母を世話しているノーマンが、母のことに深く触れられると普段と態度を変えるのも印象的だ。映画史に残る有名なセリフ「母は最良の友」もここで聴くことが出来る。母とは大変仲良しな私としては共感出来るセリフだ。

 

 シャワー室でマリオンが死んだ後始末を行うノーマンをしっかりと描くシーンが興味深い。死体はもちろん、飛び散った血の始末まで行う。様々あるミステリー作品で、こういうシーンをしっかり描くのは珍しいと思える。

 

 マリオンごと車を沼に沈めるシーンも覚えていた。日常生活で絶対に見ない異常な光景だし、普通に違法投棄だから記憶に残るシーンではある。初めて見た時にも思ったが、大きな物がゆっくり沈んでやがて見えなくなるのがなんだか面白い。このシーンは怖いよりも面白く興味深いものと考えて見ていた。

 

 マリオンと話す時には気さくな好青年で、時には純粋な童貞ぽい少年の一面も感じるノーマンが、不都合な証拠を消すためには全く違う表情になるのが良い。演じた俳優の怪演が光る。イケメンだったし。

 

 消えたマリオンの調査に乗り出した探偵に詰め寄られ、ノーマンもうっかり尻尾を出しそうになる。警官に問い詰められるマリオンを見ても思うが、やましいことがある人間が尋問を受けた時の逃げ方がなっていない。この探偵も始末されることになる。

 

 マリオンの妹、マリオンの不倫相手の男がベイツモーテルに乗り込んで調査をすることで恐ろしい謎が解ける。 

 

 顔ははっきり見えないけど、シルエットや声では序盤から登場していたノーマンの母親がキーパーソンになる。母が怪しいので、母が殺しに関係しているのかと思ったら、まさかのオチでびっくりした。これが偉大なるミスリードだった。母は絶対に家にいると誰もが思う感じに見せておいて、後半ではとうの昔に死んでいることが判明する。ではこれまで出てきた母は何者かと思っていたら最後があんなので怖すぎた。ノーマンの母の秘密を巡っての展開には引き込まれるものがある。

 

 結果としてノーマン一人の体に、彼本人と母の2つの魂が混在しているということになる。これまで登場していた母が白骨化した死体だったと分かるシーンは衝撃的だった。警察に捕まった後、ノーマンが母として語る後半シーンは怖い。そしてラストはマリオンの車を沼から引っ張り上げるシーンで締める。全ての謎が世間に分かるであろうことを臭わせて終わるラストカットがナイス。

 

 こんな感じで、最初の犯罪がもっとやばい犯罪へと切り替わる点、ノーマンの精神が特殊な状態にある怖さが面白い作品だった。ノーマンの秘密を知れば、マリオンが4万ドルを盗んだことなんてケチな犯罪に思える。

 

 今年で還暦を迎えた作品を今日になっても楽しめるなんて素晴らしい。名作は時を越える。それを教えてくれたのがヒッチコックだった。

 

サイコ (字幕版)

サイコ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

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