こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

モンスターに育てられた勇者だ!「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」

ドラゴンクエスト ダイの大冒険」は1991年10月から1992年9月まで放送された全46話のテレビアニメ。
 あの名作RPGドラゴンクエスト」を下敷きにしてオリジナルストーリーを展開するものである。

 

 随分懐かしい作品となってしまった本作だが、なんとめでたいことに2020年を迎えたこのタイミングでリニューアルしたのものを放送することが決定している。であれば、新しいのに行く前に古いのを見たい。丁度見たくなったし、コロナでお外に遊びに行くのも危ないという条件も手伝い、ここ数日で平成版アニメを一気見することが出来た。

 

 ダイの思い出といえば、昔通っていた散髪屋の本棚にあった原作漫画を読んでいたこと。個人的に漫画一巻の見せ場だったのは、悪者ヒロインのずるぼんが縄で縛られているシーン。モンスター達に色仕掛けを使って縄から脱するお色気シーンが印象的で未だにそこだけは覚えていた。でも後のことは大方の話は忘れていた。
 
 本作のアニメを見たいと以前にも思ったことがあったのだが、VHSは出てもDVDが出ていなかった。長らくソフト化が止まっていたが、今年の夏にはBD-BOXが無事リリースされた。この夏の家籠もり期間を盛り上げてくれた良き作品だった。BDの映像修正技術がすごい。古いアニメなのに綺麗に映るぞ。こんな感じで大昔の荒れた画像の作品がどんどん綺麗になって再登場することを願う。

 

 肝心なアニメの中身をチェックした思い出を語っていこう。

 

ドラゴンクエスト ダイの大冒険 1 DRAGON QUEST―ダイの大冒険― (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 本作の主人公はチビな少年のダイ。人間の子供なのに、生まれてこの方ずっとモンスターに育てられ、モンスターと共に成長してきた。きめんどうしのブラムじいさんの割とスパルタな教育を受けてダイ良い子に育っていく。この辺の流れがなんかドラゴンボールぽい。じいちゃん以外の人間を知らずに大きくなった悟空みたいな人生を歩んでいる。同じく頭に「ドラゴン」を冠する作品という繋がりからつい意識してしまう。ダイがどんどん強くなっていく展開にもその要素を感じる。

 一度は封印した魔王が復活し、世界が再び危機に陥ったところで、ダイもまた魔王を討つ勇者としての力を徐々に発揮するようになる。ダイが島を旅立って魔王討伐の旅に出る王道ファンタジー展開が見れる。 

 今は亡き藤田淑子がダイを元気に演じているの見れたのが嬉しい。大変懐かしい声が楽しめた。
 

 物語は難しいことはなく、普通のRPGといった感じ。ザ・王道である。ダイが困難に立ち向かい、修行をして強くなっていく物語も描かれる。その中でポップ、マァムら仲間との絆も描かれる。
 このようにしっかり王道ファンタジーしているものを見ると、昨今の深夜枠を盛り上げている例の作品群が似非ファンタジーにも見えてくる。同じくゲームみたいな世界で魔王と戦う作品も大きく毛色を変えたよな、という気づきが得られた。

 

 作中にはドラクエのゲームでもお馴染みのモンスター、魔法が登場し、BGMもアレンジを変えてゲームのものが使われている。ゲームファンが馴染みやすい要素があって良い。

 

 最初のエピソードはダイの島にニセ勇者一行がやって来るもので、これが最初にしてかなり印象的だ。私の思い出のヒロインずるぼんもこれの一味だった。勇者のふりをして王様の恩恵をうけて良い思いをしているケチな詐欺師達だったな。

 

 アバン先生に弟子入りしてアバンストラッシュを覚える流れも印象的だ。魔王ハドラーの前では弟子達は足手まといとなり、一旦逃げることになる。強い敵に会ったら逃げるという展開も数回見られた。一度背中を見せたらもう戦えなくなるというダイの考えは心を掴むものがある。勝てないものは仕方ないが、そうしてしがみついて行くガッツもいるよなと思える。あまりにも敵前逃亡を嫌がるものだから、仲間の手で気絶させてダイを連れて逃げるなんて場面もあった。ダイを見ていると物事の引き際についても考えさせられた。

 

 魔王の下には6つの軍団があり、それを率いる6人のボスがいる。これを順に倒していくことになる。
 最初に戦うリザードマンのクロコダインとの戦闘は激しいものだが、戦う内にクロコダインが人間の美しさを知るようになり最後には仲間になる。人間はいいもの、生まれ変わったら人間になりたいというクロコダインの切実な願いには胸打たれるものがある。

 クロコダインの心変わりを一番手伝ったのが意外にもポップの勇姿だったことが印象的だ。ダイが主役で切り込んでいくのに対し、ポップはビビリでドラゴンボールで言うとクリリンヤムチャあたりの一歩引いたポジションのキャラだった。それがクロコダイン編からは前に出てきて活躍しだす。ポップをただのコミカル要員に終わらせず、ダイと共に成長させるキャラとして印象づけたのが良かった。

 

 人間なのに魔王軍団にいるヒュンケルとのエピソードも割と濃い。ヒュンケルが身につける剣を兼ねる鎧の特殊な武具は良いデザインだった。ハドラーに騙され、勘違いから人間を恨むことになり、誤解がとけるとこれも仲間になる。マァムはポップとくっつのか、それともヒュンケルか、というラブな点でもやや楽しめた。


 かつての強敵が仲間になってこちらの勢力が大きくなるという、この手の作品には定番の流れも見られた。

 バトルシーンもちゃんとバトルしていて結構楽しかった。魔王を倒して平和になるのがエンドというオチが最初から見えている一本道の作品なのだが、アニメでは放送回数の関係で魔王どころか6人の軍団ボスすら倒しきらないところで終わる。本当に俺たちの戦いはこれからだで終わっている。

 

 多くの期間はダイ、ポップ、マァムのアバンの弟子3人のパーティーで話が進む。後半からはマァムが僧侶から武闘家に転身するという斬新な進路変更を行い、パーティーを抜けることとなる。そこからメインヒロインがお姫様のレオナになる。ここは割と思い切ったバトンタッチだったな。
 今ではカツオ君ボイスになってしまった冨永みーながしっかりヒロインのマァムを演じているのがレアな感じがする。冨永みーなのヒロインボイスも可愛い。レオナも可愛く、声は美声が心地よい久川綾なので、まぁ個人としてはどっちのヒロインも需要があっていいかなって感じ。ポップとマァムの間にちょっとラブな感じもあったので二人がどうなったのかも気になる。マァムと再び合流することなく尻切れトンボだったから2020年版ではそこの含めて魔王を討伐する最後までやって欲しい。

 

 久しく見ない王道ファンタジーでなんだか目が覚めた。昨今のいろいろいじってる深夜枠ファンタジーももちろん悪くないが、時には古典的なものも良い。

 2020年のダイの冒険を楽しみに待つ。

 

 

 

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