こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

萌え擬人化スポ根アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」

ウマ娘 プリティーダービー」は、2018年4月から6月にかけて放送された全13話のテレビアニメ。その他BDにはOVAが3話収録されている。

 

 現在アニメ2期が絶好調放送中、そしてもひとつオマケにやっとリリースしたスマホゲームの方もとんでもない勢いでヒットしている。これを受けて、今一度「ウマ娘」をおさらいしようと思い、アニメ一期をここ2日で視聴した。これが大変楽しいので困る。

 2018年のアニメ一期本放送時から私はこの作品の良さを知っていた。もっと上に来るべきコンテンツと思っていたが、あれから3年して新アニメとゲームがめっちゃ勢いに乗っていて嬉しい。というかもう3年も前のアニメなんだな。アニメとゲームが無い間もVチューバーとしてコンテンツを腐らすことなく盛り上げたゴルシの活躍には拍手を送りたい。

 

ウマ娘」とは、実在する競走馬を萌え萌え美少女に擬人化したまさかのプロジェクトなのだが、何でも擬人化したがる日本人の中でもコレに目をつけるヤツがいるとは意外だった。

 人生での稼ぎは着実且つ堅実に、というのが我が家の家訓である。一攫千金を狙えはするものの、出方をミスれば即廃人と化す可能性もある危険な金儲け、それが競馬である。我が家の家訓とは遠いものであるゆえ、競馬とはほぼ無縁で大きくなって来た私は、競走馬の名前も全然知らなかった。

 人生の中で競馬に触れたことといえば、ファミコン版の「ダービースタリオン」をちょっと遊んだこと、ウイニングイレブンと間違えて買ったのが競馬ゲーム「ウイニングポスト」だったこと、そして「鋼の錬金術師」にハマった関係から「馬券錬金術」というスーファミゲームを買ったことがあるが全く遊んだことがないことくらいしか想い出がない。ちなみに、ゲームソフトにおいてパチンコゲームと競馬ゲームはだいたいゴミというのが私のお兄ちゃんの持論である。

 

 そんな感じで、馬の元ネタは何も知らずに一期の本放送を見ていた。

 美少女にケモミミと尻尾を生やしてキモオタを釣るだけの安易な擬人化コンテンツだろうと、最初は完全に舐めてかかっていた。競馬レースシーンを見れば、普通に女子が走っている陸上競技じゃないかと思ってシュールな画に笑いもした。初回を見た時には、P.A.WORKSも変なアニメを作るようになったなと思ったものである。だが、この作品は尻上がりにどんどん化けていった。

 昭和、平成、令和、その他どこの時代で産まれた人間も共通して心を熱くするのが「燃える青春」である。この作品にはそれがたっぷりと含まれている。「巨人の星」とか「あしたのジョー」がイケる口ならコレもイケると思う。

 

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 とにかく出てくるウマ娘達は見た目が可愛く、個性的で魅力がたっぷりである。

 なんかいっぱい出てくるけど皆可愛いから推しが決まらない。推し決めに苦労させる楽しきコンテンツであり、この私の優柔不断さを加速させるものでもあった。

 

 北海道からの刺客スペシャルウィークを中心としたウマ娘達のレースにかける青春物語が炸裂する大変良質な作品になっている。

 二人のお母ちゃんの愛に支えられてすくすくと成長したスペちゃんが、日本一のウマ娘を目指して東京に上京して一旗上げる。その展開を涙あり、笑いもありで描く大変楽しいものになっていた。スペちゃんの人間のお母ちゃんがイケメンで美しい。

 

 トレセン学園というウマ娘の学校に入り、ウマ娘がちゃんと勉強しているのも面白い。座学もやり、レースに出るための特訓も行う。学校の授業では史実や実際の競馬ルールなんかにも触れているので勉強になる。

 

 ただの擬人化アニメには終わらず、実際の競走馬が持つエピソードをアニメにも落とし込んでいる点には、マニア的職人芸が出ていると思う。元々私は競走馬のことなんてまるで知らないので、史実をネタにされても元ネタが分からない。最近はリアル競馬のこともちょっと勉強している。元ネタが分かった上で、盛り込まれたマニアな馬ネタを見ると、これはスゴイこだわりとフィーチャーがあると分かる。馬に詳しい、またはしっかり好きな人間たちが作り込んでいる点が評価出来る。アニメでも何でも、のめり込んで作品をしっかり磨きあげる行為は素晴らしいものとして光る。

 

 誰が速いかを決めるだけの単純な競技であるからこそ、その結果が残酷に響くこともある。勝った負けたの結果が客員に重くのしかかるこそ、胸が熱くなるドラマが展開するのが良い。勝負の世界は厳しく残酷、だからこそ面白いとも分かる。勝利したい気持ちに待ったをかけられない走る命達のきらめきがとにかく美しいアニメなのだ。レースに負けて悔し泣きするスペちゃんやエルちゃんを見ると、こちらも泣きそうになったものだ。

 

 海外戦に挑戦したエルちゃんが、フランスのウマ娘ブロワイエに敗退し、その後スペちゃんに電話した時に電話越しで泣いているのが分かるシーンは本放送で見た時にも泣けた。ベテラン声優の池澤春菜がせっかく演じているのに、ブロワイエのセリフは全部フランス語で彼女の日本語の芝居が見れないのがやや残念。ブロワイエはほとんどオスカルみたいな感じのウマ娘だったな。

 

 熱いレースを展開した後には、勝者がスポットを当てられるウイニングライブが描かれる。これはアイマスやん、とツッコんでしまうものだった。オタクを引き込むコンテンツだけに、この要素はあって然るべきとも思える。露骨に萌えて可愛い。最初こそ、このアイマス要素はいらんだろと想いもしたが、見ていくとこの二面性が楽しい作品なのだと思えるようになる。楽曲はやはり妥協なくしっかり作り込んできている。

 ルドルフ会長が言うには、ウイニングライブを疎かにするヤツは学園の恥ということなので、ウマ娘達はただ走るだけでなく、歌って踊るアイドルの素養も必須となるのだ。それにしても会長、美しい。

 序盤ではサイレンススズカ以外のスピカメンバーのステージパフォーマンス力がゴミ過ぎて、その道に長けるトウカイテイオーの指南を受けることになる。チビでポニテのテイオーもめっちゃ可愛い。カラオケ屋でライブの練習もする展開があるとは面白い。ゲームのウイニングライブでは皆達者にパフォーマンスしているのに、シリーズ初期だとこんなにダメダメだったんだと笑える。

 

 主にスペシャルウィークサイレンススズカあたりをメインに描き、彼女らが所属するチームスピカの動きもしっかり描いて行く。スピカの面々が皆可愛いし、ゴルシのような曲者もいてキャラ性としても面白い。

 やはり注目せずにはいられないのがゴルシことゴールドシップの存在。ざっとメンツを見ても、このゴルシとオグリキャップはネタキャラが過ぎると思う。

 基本的に不真面目であり、皆が特訓している間もテーブルゲームを楽しんだり、高橋名人の必殺技の連打でスイカを割るヤツとかを楽しんでいるゴルシが面白すぎる。メジロマックイーンにやたらと絡んだ結果、目に痛いダメージを追うというゴルシの笑えるお家芸も作品の魅力になっている。OPアニメでも目にマスタードを食らっているし。

 

 笑えてしょうがないネタキャラがオグリキャップだった。コイツがまともに走って歌うシーンが記憶出来ない程に、登場シーンではめっちゃ飯を食ってる。いつ見ても飯を食っていて、学校に何しに来ているんだって思う。調べてみると、リアルでもオグリキャップはアホみたく食う大食い馬だったという。

 本編に深く関わってこない割には、画面の端っこに頻繁に登場する隠れキャラ的な楽しみがある。毎話オグリキャップはどこにいるのかと探してしまうのも楽しみだった。

 

 アニメ一期を通して一番笑えたのは、オグリキャップがドーナツの大食い大会に挑戦するエピソード。スーパークリークからの派手なズルを受けてもなお全部食って優勝する凄まじい暴食ぶりを見せているのが面白い。美少女なのに、食ってデブになって腹が出てヘソも覗くというギャグマンガみたいな描写も可愛い。こいつ程ではないものの、スペちゃんも冗談みたいな大盛り飯を食うので、腹がデブになってヘソが見える時期がある。

 そんな訳で、本作はオグリキャップフードファイターの道を極める物語でもあった。

 スポ根要素が多々あるアニメだが、出来る限りの範囲でちょこちょこふざけてくる要素が好きだった。

 

 速そうと思って最初だけスペちゃんも警戒していたハルウララが実は笑える程遅かったのも笑えた。後にどんどん高知県に染まっていく姿も面白い。

 

 本名はずっと出ないトレーナーさんもある意味主役キャラ。本作は、名だたるウマ娘達をスピカにスカウトして一流選手に育成するという彼の物語でもあった。

 基本的にウマ娘達に舐められていて、激しいボディコミュニケーションを受けたりしているトレーナーさんの青春もかなり楽しそう。トレーナーも含め、スピカの面々が仲良しで、ファミリー感を出しているのがほっこり出来て良い。あくまで仲良くの範囲で喧嘩しまくりのダイワスカーレットウォッカのコンビも可愛い。ダイワスカーレットの可愛さにもだいぶハマる。

 トレーナーと言えば、チームリギルにはおハナさんというエロ格好良いお姉さんがいる。私ならリギルに入りたい。おハナさんも美しいヒロインで良かった。トレーナーさんとおハナさんって絶対出来てるよなと思ってしまう。

 

 ウマ娘達が電話するシーンでは、馬の耳に合わせるために受話器が不自然なまで縦に長いという点にクスリと笑える。最初は作画ミスかと思えてしまった電話シーンが愛らしい。

 

 仲間だけどライバルでもあることから、ウマ娘同士がガチでぶつかり合う展開には胸を熱くし涙した。レースシーンは迫力もあってすごく楽しめた。

 最終回のドリームマッチからの「Special Record!」披露、そして「うまぴょい伝説」へと入っていく流れは大変良かった。名曲も多くて胸アツだったな。

 通常ED曲の「 グロウアップ・シャイン!」 もとても良い。

 

 BD特典の「ウマ旅」では、元ネタとなる馬の解説がしっかりされていて、アニメ視聴後だとこちらも大変楽しく拝見することが出来た。アニメに落とし込まれた馬ネタの数々を関係者から聞くことが出来て勉強になる。

 このアニメを見ない限りは、絶対に興味を持たなかったであろう競馬業界のあれこれの話を聞くと、私が知らなかっただけで、これまで地球でこんなことが起きていたのだなと思えた。

 スペシャルウィークの母キャンペンガールは、実際でもスペシャルウィークを産んですぐに死んでしまい、その後スペシャルウィークの面倒を見たのは、日本で働く外国人スタッフだったという。スペちゃんのお母ちゃんは、その方をモデルにしているのだそうだ。この話を聞くと泣ける。

 リアルのスペシャルウィークは、アニメ一期本放送期間だった2018年4月に亡くなったという。時期的になんだか運命めいたものを感じもする。

 

OVA「BNWの誓い」

 ビワハヤヒデナリタタイシンウイニングチケットのBNWの三人を主役にした全3話のOVAもかなり面白かった。BD購入特典となるが、これは放送しないのが勿体ない良い出来だった。このエピソードがかなり楽しくて感動も出来るので2回見てしまった。

 大会レースではなく、トレセン学園で開かれるファン感謝祭の駅伝がメインとして描かれる。今回のウマ娘は、襷をつけて公道を走る。本編とは変わった面白みがある。

 

 親友同士だったBNWの三人の友情に亀裂が生じ、それを徐々に回復していく熱い展開に泣ける。引退を決意したナリタタイシンを残りの二人が友情で引き止め、再びトリオで走る美しい物語を見ることが出来た。ナリタタイシンはイケメン。

 タイシンのために、雨の中風邪を引いてまで幸福の四葉のクローバーを探すビワハヤヒデの愛に泣ける。風邪で倒れた姉のピンチヒッターとして駅伝を走るナリタブライアンの姿も美しくて格好良かった。ビワハヤヒデとブライアンの姉妹愛も美しい。

 

 美しい友情と姉妹愛が大きなテーマとして描かれるが、あとはいつものウマ娘らしくだいぶおふざけに走っていて笑える箇所もありすぎる。

 まずBNWの駅伝計画を記したポスターの絵が下手くそ過ぎて笑えた。脈絡から考えるに、あの絵を描いたのはルドルフ会長かナリタブライアンのどちらかだと思う。二人共クールで美しいのに、あんなに死んだ画力を持っていたとしたらウケる。

 

 駅伝の裏でもうひとつ展開する大きな戦いが、オグリキャップのわんこそば千杯食いチャレンジである。ここでも走らずに食ってばかりでマジウケる。

 ウォーミングアップで食ってきたと言って既に腹が出た状態でわんこそば大会に出るオグリキャップの言動が狂人めいていて面白い。たくさん食った後だから当然わんこそばを食う途中でも苦しくなり「何がいけなかったのか」と反省しているのがアホ過ぎる。OVAでもとにかくオグリキャップに笑わされた。

 

 テレビシリーズからの既出キャラ、ここでお初の新キャラも含めたキャラ総出のお祭り企画になっていた。現在アニメ2期でかなり美味しいところを持って行っているミホノブルボンライスシャワーもここで初登場になっている。

 クイーンベレー、サンバイザー、ブロワイエらオリジナルウマ娘も皆再登場する。サンバイザーは、失踪したナリタタイシンの影武者としてギャグパート要員を務めている。釘宮理恵の無駄使いとも思えるサンバイザーの活躍にも笑える。

 

 ゴールドシップにまつわる伝説的事故に、よーいどんの合図後もスタートをしなかったというものがある。この時馬券を買っていた客は悲鳴をあげたらしい。このネタが後半に盛り込まれているのが見どころ。

 この業界ではアイドルである細江純子が、走らないゴルシを目にして「きゃー」の声を上げた史実が見事アニメ化されている。ちゃんと本人がアフレコしているので、これは元ネタを知るファンにはウケただろう。エアシャカールと喧嘩してゲートが上がっても走らないゴルシには笑える。

 出走前パフォーマンスでは、グラサンをかけて立ったままずっと動かないゴルシが描かれている。これはライブが始まってからずっと動かないマイケル・ジャクソンを真似たものっぽい。ちゃんとおふざけしてくるウマ娘の作り込み用がやはり面白かった。

 

 

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