こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

実写とアニメの融合が見どころ「バンパイヤ」

「バンパイヤ」は、1968年10月から1969年3月にかけて放送された全26話のテレビドラマ。

 

 産まれていないから当時のことは記憶にあるはずなく、想像しようにも時代が遠すぎる。そんな大昔の作品を今更になって視聴した。

 これも特撮作品の範疇に入るらしく、昔その手のジャンルの図鑑で見たことがある。まさか令和時代に入って見ることになるとは思わなかったぜ。

 

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 狼に変身する能力を持つ少年トッペイは、母を訪ねて田舎から東京に上京する。それからなんやかんやあって悪の天才 間久部緑郎、通称ロックと対峙し、これまたなんやかんやの末に決着を迎えるという内容が描かれている。 

 全体として結構面白い話だった。

 

 現在ではドラマ「相棒」出演者として有名になった水谷豊が主人公のトッペイを演じている点に注目出来る。若いというかまだ子供だからすごい。テレビがシロクロだったこんな昔から仕事をしていたのか。

 最近家の掃除をしていたら、なんか面白そうと思って買ったままずっとやっていないニンテンドーDSの「相棒」のゲームソフトが出てきた。子役からスタートした水谷豊が相棒に出るまでの道のりも長かったんだなぁと思える。といっても、この「相棒」のゲームだって10年以上前に発売したものだけど。

 

 原作はあの手塚治虫の漫画であり、なんと原作者が本人役としてドラマにも登場している。

 原作者が登場という点もすごいが、本作最大の見所はなんと言っても実写とアニメの融合を売りにした点。これはなかなかの仕掛けだと思う。

 

 普段は人間の姿、でも動物に変身する能力を持つ者達を本作では「バンパイヤ」と呼んでいる。子役時代の水谷豊が演じた主人公 立花特平、通称トッペイは、夜の月を見ると狼に変身してしまう。変身シーン、変身後の狼の姿はアニメとして描かれる。悪い人間の敵とアニメの狼が戦闘を繰り広げるというかなり斬新な画が楽しめるものだった。

 バンパイヤと聞けば吸血鬼、コウモリ男をイメージしてしまいがちだが、本作におけるバンパイヤとは、動物に変身する能力がある者全般のことを意味している。別に血を吸ったりはしない見た目としては可愛いものである。

 トッペイは狼に変身するが、他にも鳥や蛇、キリンなどをはじめ色んな動物に変身する者が登場する。あと、ちゃんとコウモリのバンパイヤも出てくる。

 

 第一話を見て思うのが、とりあえず東京にいるというヒントオンリーで母を求めて上京してきたトッペイの行動力が無謀だということ。

 劇中で当時の東京の人口は1300万人とされている。めっちゃいるじゃん!今ならもっと増えているのかもしれない。これだけいたらマジでテキトーに石でも投げれば誰かにあたるレベルだな。

 東京には一生行ったことがないのだが、60年代の当時の東京が見れるのはなんだかすごいと思える。

 子供一人で街をフラフラしているトッペイに声をかける当時の警察の服が今よりもなんかダサいし、当時のパトカーも何か角ばっている感じがして今の方が格好良いと思える。なんとなく見ていても時代の違いが分かる。

 

 東京に出てからは住処と仕事場を探さないといけない。そんなトッペイの就職先がまさかの虫プロであり、ここで手塚治虫本人が仕事をしているシーンを見ることが出来る。当時の会社の外観、内装共に映像で確認出来る。虫プロで働くとかトッペイもやるなと思える。

 

 トッペイと対峙し、どこまでもヒールを貫いたボスキャラのロックがもう一人の主役として描かれている点も印象に残る。

 ロックが悪い悪い。頭が良く、腕っぷしも強いため、論証での追い込みのみならず、力づくで挑んでも何度と無くかわして逃げられる。

 本来ならトッペイの仲間である他のバンパイヤ達を騙して味方につけたり、殺人も行い、悪いことならだいたいスムーズにやってのける。

 爽やか軽やかに悪行をやってのけるロックの活躍も面白みの一つになっていた。すごく悪くて確かにムカつくけど憎めないキャラだった。結果、好きなキャラだった。

 中盤くらいにはトッペイよりもロックの方がたくさん出てくるくらいになっている。

 

 トッペイの父を演じたのが左卜全だったのも印象的だった。その昔「ヤメテケレ」を連発する謎に楽しい歌をヒットさせたあの人なので懐かしい。

 

 途中から山口県にバンパイヤ達が集結する流れになり、舞台が山口県に移る。こちらの地も東京と同じく一生行ったことがない。老後死ぬほど暇になったらバンパイヤ聖地巡りで行ってみるのも悪くないとか思った。

 この地でバンパイヤ同盟の決起集会があって一悶着起き、その後には時代感が逆流して謎の原始人が出てきて暴れる展開になったりと飽きさせない展開になっている。変な博士が人間を原始人に変える研究をしていて、これの騒ぎが中盤から終盤にまで持ち込まれる。バンパイヤだけに飽き足らずまさかの原始人まで投入してくる流れは予測できないものだった。

 この原始人化とは、言語能力を奪って知能を下げたっぽい感じにし、あとはものすごく毛深くするというものだった。後半では保育園の子供達も原始人化の餌食になったりと荒れた事件になっていた。迷惑な騒ぎ。

 

 ハイライト的な事件となったのが、日本政府が動いての「バンパイヤ狩り」。

 デビルマンの後半展開のような荒廃した世相が見えるちょっと怖い展開になっていた。同時に社会性も見えたりした。

 バンパイヤは人間よりも強いので、危険な存在として扱い、その結果狩ることとなる。これの実行までの流れにロックのやつが一枚噛んでいるのが憎らしいところだ。

 人間にはバンパイヤを狩るように、逆にバンパイヤには人間に立ち向かうように、両者を煽って日本を荒らすロックのスマートな仕事ぶりが見えた。

 人間には良い人がたくさんいると言って最初こそ人間側についたトッペイだったが、そんな人間から酷い扱いを受けることになる。純粋なトッペイの心に影が差し、やっぱり真の悪は人間にありという答えを出すまでになる。

 バンパイヤか人間かという極端な違いを考えるよりも前に、ただ肌の色が違うだけでも人は人を差別する。そんな重いメッセージ性が、トッペイのセリフから伝わる点には考えさせられる。

 

 日本まるごとを巻き込んで悪事を働いたロックを妥当することで物語は無事終わる。犯人はロックだと多くの者が分かっていても捕まえられないストレスが最後にはすっきりなくなるものだった。

 

 OP曲が地味にハマるもので、最近はすっかり覚えてつい口ずさんでしまう。「バンパイヤ 悲しきさだめ」の歌詞に哀愁を感じるの好き。この曲は気に入った。

 

 そんなバンパイヤ達も最後には悲しきさだめを抜けてハッピーエンドを迎える内容となっていてよかった。オチの方はテレビオリジナルとなり、原作漫画は未完になっているとのこと。

 

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