「機動戦艦ナデシコ」は、1996年10月から1997年3月にかけて放送された全26話のテレビアニメ。1998年には劇場版が公開され、他にはOVAも作られた。
一話が約22分程度で従来の30分枠作品よりもちょっと短い。ノイタミナ枠的なやや短め作品なので、疲れずサクッと見れて良い。
先日DSソフト「スーパーロボット大戦W」をプレイした。遊ぶほどに参戦作品のアニメが懐かしくなり、そうなるとまた見たくなる。というわけでナデシコを再び見たのだ。
そういえばセガサターンとドリキャスのナデシコのゲームも買ったな。
長きに渡る私の人生でたった3ヶ月間だけニートをしていた時期があった。あの3か月は最高に楽しかった。そんな過ぎ去りしニート時代に見たのが本作だった。当時はDVD-BOXを用意して楽しんだ。しかし、視聴後になって既にBDも出ていると知った。「くそ!だったらBDで見たのに!」と思ったのがナデシコの一番の思い出かもしれない。今回はもっと綺麗なBDで視聴した。やっぱり綺麗なんだなコレが。
数年ぶりに見るが、びっくりするくらい中身を覚えていない。かなり新鮮な気分で見ることが出来たぜ。
今作の売りは、SFと萌えのコンボ技によって生まれた独自の作風にある。放送当時には今ほど業界が萌え豚共に媚びを売りまくる戦法に出ていなかった。だからこそ、当時なら意外性抜群、そして異端な感じもあるアニメとしてオタク共の記憶に強く刻まれた作品になった。
テイストは異なるものの、同じくSFと萌えを強い売りにした「エヴァンゲリオン」と放送時期が近かったことから、オタクの間ではエヴァ派かナデシコ派で楽しい論争になることもあったりなかったりした。エヴァの中でも綾波派かアスカ派か、ナデシコならユリカ派かルリルリ派かってな具合で揉めたくらいなのに、まったく楽しい話題を呼んだ二作だったな。ちなみに私はエヴァよりもナデシコ派。現在エヴァの劇場版最新作が調子よく公開中だが、ナデシコだってもっと上を目指せただろうと思う。
こんな感じでエヴァのことも思い出しながら、久しぶりにナデシコを見た感想を書き殴って行こう。
物語は2195年からスタートする。まだまだずっと先のことだな。
謎の敵「木星蜥蜴」と地球人達との間で展開する大規模な戦争を主軸に扱い、その中で主役機のナデシコ内であれこれのラブコメやギャグが展開するものになっている。
「うる星やつら」と「宇宙戦艦ヤマト」が好き。そんな好きなもの二つをごちゃ混ぜにした何かが楽しみたい。とかいう甘ったれたことを考えているオタクにお勧めできる一作だ。ルリルリ可愛い!
基本的にふざけ倒した作風になっているが、SFの設定は興味深く、意外と凝ったものになっている。登場メカも格好良く、単純にビジュアル的に惹かれる作品だった。あとヒロインが可愛い。
とんでもない破壊力を持つ重力破「グラビディブラスト」、ワープ能力の「ボソンジャンプ」など、今作ならではの目立つ要素があったのも良い。
パイロット別にカラー分けされたエステバリスのデザインもとても格好良い。エステバリスの有線式ロケットパンチが格好良くて好き。
後半になると、謎の化け物とばかり思っていた木星の敵が実は同じ人間だと分かり、双方が人殺しを認識して戦闘をためらう。敵も人間だということを政府がひた隠しにしているというショッキングにして黒い展開も見られた。正義はどこにあるのかという真面目なテーマも扱っている。
基本はふざけているが、引き締める時は引き締めるのがナデシコの作風。
一見戦争に関係にないようで最後まで微妙に関係していた作中ロボットアニメ「ゲキガンガー3」の存在もふざけているように見えて実はキーワードになっていた。さりげなく毎度毎度ゲキガンガーネタを潜り込ませるのが面白かった。
マジンガーとゲッターの要素をそれとなく取り込んだ全く違う何かになっているゲキガンガーのデザインも好ましいものだった。
敵味方共にカルト的人気がある作品であり、双方が一緒になってゲキガンガーを見て心を通わせる展開は不思議なものだった。アニメをはじめオタク文化は国境も星域も越えるということが言いたかったのだろうか。とりあえずゲキガンガーにはオタクの希望を見たぜ。
ゲキガンガー大好きなガイがお気に入りのキャラだった。本名はヤマダ・ジロウなのに、アニメキャラぽくて格好良いからという理由でダイゴウジ・ガイというソウルネームを勝手に名乗っているのが笑える。
あんなに濃いキャラをしておきながらマクロスの柿崎のごとくあっけなく本編から退場するのは意外、というかネタ要素も感じる。ただのネタキャラと思いきや、アキトが戦士として成長を遂げる助けにもなった良いキャラだった。
人類の未来をかけた戦争をやっているとはとても思えないナデシコ艦内の楽しい雰囲気も好きになる要素。
ナデシコクルーは美少女率が高く、正規の軍人ではなくネルガル重工という会社の雇われ社員というのも特徴的要素だった。厳しい軍隊ではないので、普段のノリも緩い。艦内でミスコンをする回なんかもコミカルで印象的だった。
元々はコックさんをしていた主人公アキトは、巻き込まれるがままに戦争に参加することになる。このアキトが熱血主役でヒロインからモテモテになるハーレムもの要素も楽しめる。
この作品の優秀な点はヒロインの出来の良さにあると思う。
今ほどアニメヒロインの萌え属性が細分化されていなかった古い時代の作品だが、登場ヒロインは実に個性的でジャンルも様々。幼馴染ヒロインがいてミステリアス、ロリ、妹、ツンデレ、眼鏡、年上、巨乳、そばかす、説明好きなどなど、アキトの回りにいるヒロイン達を見れば、全方位異なるジャンルの萌えで取り囲まれている。これは夢がある作品だ。
短い話数の割に登場キャラが多いが、その中で個々が際立つようになっているのも良い。
最初見た時にはメインヒロインだし桑島法子のキャピキャピ演技も可愛いということでユリカが良かったが、今見るとメグミちゃん、エリナさんあたりも面倒臭そうだけど一生懸命生きている感じがして良いなって思える。古いけどヒロインは皆可愛く魅力的だった。
メグミちゃんの前職が声優という点は印象的。この時代に「それが声優!」的なことやってたのか。可愛い女性声優にアタックされるアキトを描く点にはオタクの夢が感じられたぜ。
流行りワードになったルリルリの決めセリフ「バカばっか」は、オタクでないパンピーでも知るところとなっている。作中でアキトが選んだのはユリカだが、中の人の事情を言うと、アキト訳の上田裕司とルリ役の南央美が結婚したのは有名な話。
本作以前の戦艦メインのアニメといえば、マクロスやヤマトが上げられる。それらを見た後に新しくナデシコを見た当時のオタクたちは「なんじゃこりゃ」と思ったことだろう。
この作品はオチを見てもしっかり戦争終結まで行ってなくて「なんじゃこりゃ」な最後だったが、とにかくアキトはユリカを選んだことだけは分かった。
はちゃめちゃな点もありな変なアニメだったが、楽しくてとても好きになるものだった。ヒロインが可愛いので目の保養にもなる。オタクに好まれるザ・オタクなアニメにもなっている。
改めて視聴して萌えもSFも良い。熱血ロボも良いと思えるものだった。そしてOP曲、ED曲は共に名曲。
オタクの明るい未来にボソンジャンプだ!
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