「アストロガンガー」は、1972年10月から1973年3月まで放送された全26話のテレビアニメ。
その昔、親から与えられたロボットアニメ図鑑で最初に紹介された作品がこのアストロガンガーだった。
ロボットものの元祖といえばマジンガーZの名が最初に思い浮かぶ。でもその図鑑でマジンガーZが紹介されるのはアストロガンガーの次だった。マジンガーZよりも先行して記載されるには理由がある。それはアストロガンガーの方が2週間だけ放送が早かったからだ。なんと、あのマジンガーよりも先輩のロボもの作品なのだ。これはすごいぞ。ちなみにどちらのアニメも主題歌は水木一郎の兄貴が歌っている。同クールに主題歌掛け持ちだって平気でやってのけるのが魂のアニソンシンガーだ。
マジンガーよりも先輩のロボットものなのに、なんでスパロボには出てこないのだ。良いじゃないかガンガー、私は好きだぞと言っておきたい。
顔がもろに出た大きな鎧のお兄さんの見た目にはガッツリとしたロボ感がなく、ちょっと間抜けな感じもするためか、私のお兄ちゃんには「ダサい」と評価されていたのを思い出す。だが私はガンガーを推したい。
割とインパクトある存在だけに記憶には残るものの、本編はまるで見たことがなかったアストロガンガーを今になってやっと見ることが出来た。綺麗にBDになって発売されていたので助かる。
そんなこんなの古い記憶と照らし合わせながら、新しい時代に新しくパッケージ化されたアストロガンガー本編を楽しんだ。その感想を殴り書いて行こう。
内容
宇宙を彷徨っては星々の植物を食い荒らし、酷い時には星ごとを消滅させてしまう困った侵略者ブラスター星人の次なる標的は我らが地球に決定した。
凶悪ロボットを送り込むなどして地球侵略行為に精を出すブラスター星人に対抗するのは、星カンタロー少年とアストロガンガー。
カンタローはかつてブラスターに滅ぼされた惑星カンタロス出身の母と日本人の父とのハーフ。というわけで、正義の巨人ガンガーと合体して戦う神秘なる能力を持っている。カンタローとガンガーが合体し、心身を一つにして悪のブラスター星人を打倒するワクドキ物語を26話分お届けするものになっている。素晴らしい。
感想とか
まず主役ロボのガンガーの扱いだが、彼はカンタロス星で発掘された「生きた鉄」 という鉱物と生物のハーフ的生命体に設定されている。厳密に言うとロボではなく、かといって人間もない。本編にある説明の通り生きた鉄なのだ。ロボとの違いは、多分壊れにくいとかなのだと思う。正確にはロボではないからスパロボに登場させ辛いのかな。
一昔前のハリウッド女優を想起させる日本人離れしたルックスを持つカンタローの母が、命からがら母星から持ち出したのがガンガーの素である。最初はマジで何かを作る素材の鉄って感じの見た目だった。
生きた鉄は自己増殖してどんどん大きくなり、姿形を自由に変えることが出来る。母がデザインした巨大ロボットの絵を記憶させることで、ガンガーは小さな鉄から巨大なお兄さんになって行く。生きているし情報を記憶出来る賢い鉄なんだな。
この発想、かなり変わっている。
ガンガーとカンタローは容易に意思疎通が可能。ガンガーはよく喋る。それも飯塚昭三ボイスで。悪いけど特撮で大きくなった身からすると、飯塚昭三といえば悪者の声ってイメージが強い。しかしここでは飯塚昭三なのに主役にして正義の味方キャラの声をしているから意外。飯塚昭三のこの立ち位置は珍しいかもしれない。ていうかこんな昔から仕事してたのかって今更ながらに思う。
人間のカンタローとガンガーが一体化して戦うのだが、ガンガーに入って操縦するような描写はなく、本当に同化しているだけ。やはりパッと見がロボっぽいので、最初はブラスター星人もガンガーの中に人間が入って操縦していると想っていた。透視しても中に操縦席と人間が見えないのでビックリするブラスター星人のアクションが印象的。
カンタローはロボットの操縦はしないものの、小学生のくせにバイクを乗り回している。この点はフィクションの最たる部分だよな。最近はスーパーカブのアニメを見て、乗車マナーを守っていないキャラを見つけると、ネット世界の端っこでウダウダ文句を言うオタクがいるくらいだから、ガキがバイクに乗るこんなのを今放送したらどんな面白い反応をするのだろうとか想ってしまった。
敵のブラスター星人は皆同じ見た目をしている。それぞれに番号が書かれているので、誰がどれかはその番号で判断出来る。一見大したことのないデザイン性に思えるブラスター星人だが、よく見ると愉快なようで怖い顔をしている。夢に出てきそう。
ブラスターはとにかく植物をたくさん食らい、酸素もたっぷり必要とするとのことである。ブラスターが住み着いた星はだいたい5、6年くらいで食らい付くされて死滅する。緑の自然を狩るということで普通に迷惑。
ロボットを使って山の緑を殺して丸ハゲ地帯にしたり、広範囲に渡って大地を泥濘状態にしてまともに人が住めなくしたりもする。ブラスターによって汚染された地域は、特殊マスクを着用しないと歩けない。怖い。
ブラスターが地球侵略作戦会議を行う描写が結構見れた印象がある。割としっかり目に作戦会議をしていると思う。侵略する側も真面目に仕事にあたっている感じが見られた。
地球をなるべく汚染せずにゲットしたいけど、ヌルいことをやっていては侵略が進まないので、最悪半分は汚染してもいいからゲットを優先しようとかいう会議は妙にリアル性がある。
地球侵略作戦を行う中で、自分達の目的の植物を死滅させてしまう場合もある。そうなると人間がいなくなったあとに、自分達で植物が作れるよう研究を進めるのも印象的だった。ややサイエンスも絡むロボものだったな。
敵が科学の粋を集めた兵器を送り込んでくるので、地球側では「国際科学警察」通称ISPをブラスター対抗勢力として当てるのだが、基本的に歯が立たない。強大な敵が相手ともなれば、地球内でも手を取り合って科学を結集させた武装組織を作るわなとも思える。
最終回では宇宙に浮かぶブラスターの円盤にガンガーが乗り込み、円盤爆破と共に宇宙に命の花を散らせることになる。カンタローは助かったが、ガンガーは一体どうなってしまったのか。あと引く悲しさを感じる暇なくそこでスパッと終わる。きっとガンガーは上手いこと脱出して無事なのだと私は信じている。彼の勇姿を忘れない、忘れてはならない。
そのためには、ガンガーを身近に感じられるアイテムがあれば良い。ということでガンガーのフィギュアをAmazonで探したら格好良いのがあったのだが、私の金銭感覚で言わせてもらうとアホみたく高い。購入は諦めよう。
マジンガーよりも先輩の巨大ロボヒーロー作品を見れて良かった。古いけどそれなりに楽しめたぜ。アニメに出てくるテレビとかめっちゃ古くて懐かしい気持ちになる。
ガンガー終了後に同枠で放送された次なる作品があの伝説のネタアニメ「チャージマン研」だったという。チャーケンへとバトンを繋いだ大いなる作品、それが「アストロガンガー」だった。これは次の世代へと語り継ぎたい作品だ。もちろんチャーケンもな。
ちなみにチャーケンのBDも今年発売するとのことである。ありがてぇ。そちらの方も我が命ある内にきっと視聴しようと思う。
では最後に、ガンガー、ガンガー、アストロガンガー!
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