「超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA」は、1987年に発売されたOVA。
OVAとしては二作目になるが、一作目はテレビ版の最終回にあたるものだったので、正式にオリジナルで展開する次なる新しき戦いの物語としては、ここが初と言っても良いだろう。
テレビシリーズは無念の中途半端な打ち切りに終わったダンクーガだが、ファン熱とクリエイター熱が集中した作品だったのか、OVAシリーズはしぶとく続くことになる。後には本作に続くOVA三作目も製作されるのだ。
OVA「GOD BLESS DANCOUGA」は、元々は劇場版作品として世に出る予定だったという。
画角も4:3でなく16:9の広い枠で作られている。そしてメカデザインが進化し、作画も良い。かなり張り切って作った一作だと分かる。
がしかし、大人の事情があったらしく、華々しく劇場公開することは叶わずOVAになったという。
人気を得るだけの魅力があった作品だとは分かるが、世に売り出すチャンスを続けざまに逃している感も確かある。
本作はムゲを倒して平和になったその後の世界からスタートする。
そんな平和はいつまでも続かず、ムゲに次ぐ謎の敵が襲来し、忍達は再び戦地に赴くことになる。加えて宇宙からの侵略者を討ったは良いが、次には地球人同士でも侵略行為を行うことで内輪揉めが起きるという事情も見えてくるものだった。討つべき敵を討てば、次には身内から敵の存在が浮かんで来る。そんな争いのリレーの様相も見える内容になっている。
オープニングでは、若き後輩軍人にキツめの指導を行う亮の姿が見られる。いきなりの成長ぶりを見せてくれた点は印象に残る。
序盤には、戦いばかりの日常を脱した忍達が、それぞれの人間生活を過ごす様子が見られる。獣戦機隊メンバーが、軍人を離れた一般人として人生を歩む姿が濃く見られる点に特別感がある。
忍はバンドマン、沙羅はモデルになっている。ローラは葉月博士の養子となっていて雅人と付き合っている。亮は地元の女と仲を深め、エンディングでは結婚する。
テレビ版でもやんわりと触れた雅人とその親父の確執について触れていく内容も印象に残る。
テレビ版よりも、もうちょっと奥に踏み込んで各員の人間ドラマを追う点が一つの見所。
アランの意志を次ぐレジスタンス、アランの元カノ、沙羅の旧友など、新キャラ、新要素もここだけのお楽しみとなった。
獣戦機隊メンバーは、作戦を展開する上でやむなく都市を破壊してしまい、その罪で投獄され、どこかの囚人映画のように強制労働を行うようになる。いくら何でも地球を救った英雄達をこんな目に合わせるのは酷い。
しぶとく生き残ったムゲが、沙羅の旧友の女性の体を乗っ取って悪さをしていたということがオチで分かる。
これを討つために再び出撃するダンクーガのアクションが格好良い。スパロボでは何回も見たけどアニメでは初の断空光牙剣、断空砲の必殺技が見られるのも注目ポイント。
テレビシリーズではちょっと触れたくらいでしっかり描ききらなかった忍と沙羅の恋模様をそれまで以上に濃く描く点にはキュンと来るものがあった。ここの関係がスムーズには行かず、喧嘩をしたりいちゃついたりでゆっくりと仲を深める点が良いではないか。
ラストシーンで亮の結婚式が描かれる。そこでブーケをキャッチした忍が沙羅にキスする流れこそがハイライトシーンとして注目出来る。恥ずかしくてビンタを返す沙羅の反応がウブで萌える。
いつもは「やあぁってやるぜ!」の事前報告を行う忍が、キス後の最後のセリフではやった後なので「やったぜ!」と事後報告をして幸せなオチとなる。この着地の仕方はとても好きだった。
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