こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

気持ち良い終幕となった良質舞台イベント「冴えない彼女の育てかた Fes. Fine ~glory moment~」

冴えない彼女の育てかた Fes. Fine ~glory moment~」は、2021年4月に開催された冴えカノの舞台イベントである。冴えカノは近年稀に見る神作だった。

 

 元々はお客さんを招いて派手に盛り上げる予定だったらしいが、コロナのあんちくしょうのせいで配信ライブに切り替わったという歴史がある。時代と時勢ならではのやり口だよな。

 この私はというと、マジで時間と金に都合をつけるのが難しい春を過ごしていたので、このイベントは会場でだろうが配信でだろうが、とにかくチェック出来なかったのだ。もっともっと暇になりたい。

 

 私のような忙しいオタクはそこそこな人数いるはずだ。そんな奴らの救いとなったのが、このイベントをBDにして発売しれくれた事だ。マジにありがたい。関係者に感謝。安くはない買い物だが、金を落とす価値は十分にありました。

 

 足掛け6年以上もプロジェクトが可動した冴えカノだが、その歴史の中で舞台イベントのパッケージ化は初のことだという。

 意外にも俳優陣が揃って見れる舞台のBDは無かったのか。そういえば劇場版BDには、おまけ程度で出演者が揃った舞台挨拶映像があったな。大西沙織が挨拶した後に、ファンが「さおり~!」って叫んでいる声がマイクにめっちゃ乗っていて笑ったなという記憶がある。あれ以外にさおり~!がしっかり見れるBDが出てくれて良かったぜ。

 

 劇場版ファイナルが終わってロスの所に良い贈り物となった。丁度一年くらい前にBDで見た劇場版はマジで良かったな~と未だに新鮮に思い出すことが出来る。劇場版で究極進化を迎えた加藤恵にはマジにキュンキュンさせられ、あれを見た晩は眠れなかったぜ。そんなファンは多くいたことだろう。

 

 そんな最高のアニメ作品を最高に盛り上げた最高の俳優陣達でお届けする冴えカノラストイベントが、この秋満を持してパッケージ化された。紹介する上で「最高」のワードを連発しがちな一作となっている。

 だったらそいつを見るしかないじゃあないか!ということで、先日BDをゆっくりと楽しんだのである。

 どうせそうだろうとは思ったけど、これがとても楽しかった。アニメも最高に面白かったが、冴えカノ役者陣もまた面白い人間が揃っているので、舞台も当然面白いものになった。マジで良かったな~。ジャケ写が可愛すぎて昇天出来る。加藤恵のことは推せて仕方ない。

 

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 たっぷり3時間もあるライブで、おまけに出演者のオーディオコメンタリーもついていた。なので2度回して合計6時間も楽しめた良きBDだった。

 アニメならよくあるけど、実写のイベントにまでオーディオコメンタリーがあるものは、もしかすると人生でお初かもしれない。登壇した名優達の作品に寄せる想いも聴けるオーディオコメンタリーは聴く価値あり。これは聴いた方が良い。

 

 ライブ内容は、前半はお歌のライブ、後半は朗読劇。大きく分けて見どころはこの2つ。

 

 まずお歌のコーナーはとても良かった。

 毎年たくさんの作品を追う運命の下で呼吸している私のような人間は、アニメ本編を楽しむだけでアップアップ状態なのだ。なので、各作品のキャラソンとかラジオとかドラマCDなどを追いかけるまでのことはなかなか出来ない。

 がしかし、この冴えカノに限っては、珍しくはまり込んでキャラソンまでガッツリ聴き込んでいる。冴えカノのキャラソンアルバム、ギャルゲーソングカバーアルバムは良質な名盤として相当楽しんだ。全曲知っているので、お歌コーナーはめっちゃ楽しめた。

 本当に曲が良い。各キャラのオリジナル曲は完成度が高い。既に世間から評価を受けたギャルゲーソングカバーコーナーは、やっぱり良い曲なので、歌い手が変わっても良い。

 

 歌コーナーは、ロゴとかBGMも含め、限りなくMステに近い構成でお届けしている。松本孝弘作のMステのテーマ曲に、怒られないギリギリまで近づけたそれっぽい曲がバックで流れている。その上「歌のトップテン」の要素もちょいちょい入れつつランキング形式でライブが展開する。この作りはユニークだ。

 

 登壇した人間皆歌が上手いと思う。

 シンガーの春奈るな、アーティストデビューしている安野希世乃の歌唱力は確かなもので、普段からも歌っているシーンを見ることが出来る。残りのメンバーがステージでガッツリソロで歌うのは珍しいもので新鮮。歌手デビューしていない役者陣がソロで歌う姿が、こんなに鮮明な映像で残るのは嬉しい。

 

 美智留のオリ曲が好きなんだよな。「Cherish you」とかめっちゃ良いやん。可愛い子が文化祭で可愛く歌ったらバエる。バンドサウンドが非常に心地よい。矢作紗友里が歌っている所がパッケージ化されるのはレアだ。可愛くていい声。

 あやねるとちょろいラジオをしていた頃から面白いお姉さんだなと思って好きだった矢作紗友里が、聴かせるシンガーとしてここにいる事に感動する。

 歌の仕事はちょっと苦手なので避けていたけど、この年になると何でも挑戦だ!という想いで、美智留役に挑戦したとオーディオコメンタリーで話していた。推しの役者の心情が知れるのも良かったぜ。

 

 披露された曲の中だと英梨々の「Blooming Lily」がかなり好きなので、ここで聞けて良かった。大西沙織の歌をしっかり聞いたのはこの曲がお初だったと思う。歌が上手い。

 この曲も可愛い。「ゆるしてあげない」とサビで言ってる所が可愛い。

 英梨々というヒロインは、間違いなく大西沙織のキャリア初期の当たり役になったと言えるだろう。だから彼女としても、最後のイベントは寂しいので終わらせたくない、とにかく次を、とかなりの要望を口にしていた。

 いいよなこういうのって。演じている人間達にとっても、青春の大きな仕事として作品は記憶に濃く残っていくことが分かる。役者の持つ作品愛も見えた点が良い。

 作中では喧嘩ばかりしている詩羽先輩を演じた茅野愛衣が、実は「Blooming Lily」に一票を入れていた事にもほっこりした。

 

 茅野愛衣の「スキャンダラスゥ~」の歌い方もセクシーで上手くて良かったな。茅野愛衣が歌うのも結構レアだし、この役でこの感じのクールな歌唱法はもっとレアだな。

 

 ライブ披露曲は割と贅沢に20曲もあった。しかし、ここから漏れた曲にも好きなのが多すぎて、その点はちょっと不満もある。

 ステージ映えする曲だし、完成度も高いことから出海ちゃんバージョンの「true my heart」は絶対に聴きたかった。代わりに「恋愛CHU!」を歌ったけど、こっちの曲も強烈な面白萌え曲だよな。赤﨑千夏の声だからイケる選曲だったよな。曲中の台詞パートががめっちゃ可愛い。

 ここで歌唱しなかった「true my heart」については、オーディオコメンタリーで語っている。サビは「きしめん」寄せで歌うのか、自然な感じに寄せるのかで悩んだと言っていた。曲について触れてくれるのは良いよな。生きしめんはいつか聴きたいぞ。

 

 矢作紗友里は名作ゲーム「ever17」の「LeMU〜遙かなるレムリア大陸〜」をカバーしているが、これも今回は歌われていない。聴きたかったな。

 この曲についてオーディオコメンタリーで結構盛り上がっていたのが印象的。オリジナル曲の後半部分で短い英詩パートがあるが、ここがマジに何を言ってるのか分からなくて、カバー時には困ったという裏話が聞けた。

 そして松岡くんは、ever17クリア済みユーザーとして作品の魅力を語っていた。私も一年半くらい前に本作のPSP版を遊んだのだが、これがかなりのとんでもない神ゲームだった。ヒロインの空とかつぐみとかめっちゃ良かったな。

 

 恵の「季節抱きしめて」、英梨々の「恋わずらい」も聴きたかった。マジで良い曲ばかりなんだよな。

 安野希世乃は、「季節を抱きしめて」を歌う心の準備をしてステージに臨んだとオーディオコメンタリーで話していた。歌詞に4月が入る4月の舞台でやるにはうってつけの曲だったのにな。いつかステージで生歌が聴きたい。

 

 あとは冴えカノソングとしてはかなりお気に入りで聴いていたのが、アニメ二期で妄想キャリブレーションが歌った「桜色ダイアリー」「青春プロローグ」の2曲。ただのアイドルソングと思うなかれ。切ない乙女心をギュッと凝縮したときめきソングで好きだった。グループが解散しているのでもう聞けないが、こういうイベントのこんな企画があればやはり思い出してしまう名曲だった。この2曲はもっと広くたくさんの人間に評価されて欲しい。と願う反面、まぁ私一人が良さを知って楽しめればそれはそれで良いとも思う。

 

 そんな訳で前半の20曲ライブだけで1時間半もあり、これが大変楽しかった。歌パートだけでも十分に見る価値がある。

 

 

 後半の朗読劇を見ると、当たり前だけど、やっぱり皆芝居が出来るんだな~と改めて思ってしまう。

 悪いけど、矢作紗友里大西沙織あたりは、ラジオの喋りを聴くと普段役者をしているイメージがまるで沸かない。なのでこうして生の芝居を見ると、やっぱり「すげぇ~」ってなる。

 

 ギャルゲー的一枚絵を用意して、倫也が各ヒロインとお楽しみイベントを迎えるストーリーが展開する。

 メインヒロインの恵パートでは、結婚して安芸恵になるという最高にキュンキュンするオチを見れて良かった。これは感動だ。

 加藤恵は平成時代が産んだ怪物級萌えヒロインだったよな。安野希世乃は、この役で役者として絶対に成長出来たと思う。素人目線でもそんな事が思える。

 

 美智留のイフストーリーだと揉めてバンドが解散しているというのは、残念だけどちょっと笑えた。

 

 改めて芝居を見て、良いチーム感が見える良い一座だと思えた。久しぶりに各キャラの芝居が見れて嬉しいぜ。

 

 そしてやって来たエンディングロールが泣ける。これようにガチなやつを作っている。

 結婚式のドッキリのやつみたく、イベント当日の映像もその場で編集してエンディングロールに取り込んでいる。仕事が早い。

 これまで行った過去の舞台イベントも画像で振り返る感動のエンディングになっていた。 

 2015年のイベント映像を見た矢作紗友里の感想が、当時の松岡くんは「薄っぺらかった」だったことには笑ってしまった。確かに薄っぺらかった時代を経て今に至るんだよな。

 

 オーディオコメンタリーで大西沙織も言っていたが、冴えカノは「妥協のない」コンテンツだった。改めて好きだわ。

 ちょっとだけ映像化してあとは尻切れトンボのもの、作り手側の公言こそないが絶対にやっつけでやってるだろうと言えるもの、そんな感じの作品だってこの世には少なくない数存在する。そんな中、オチまでしっかり作り込んだこのアニメは秀逸なもので、拍手を送るに値する価値がある。冴えカノからはマジで愛と勇気とたっぷりの萌えをもらった。青春の一作だぜ。マジ感謝。

 

 表向きにはこれが卒業イベントとなっているが、役者陣からは、改めてお客さんの前で何かしたいという意見も聞こえた。もうワンチャン何か弾ければ良いと思う。イベントが楽しかったので、劇場版をもう一度見たくなったな。

 

 そんなわけで、いつだっていつだって変わらない良さがある冴えカノの舞台イベントは最高だった。

 

 

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