こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

もっと見たい恩返し「天使のしっぽChu!」

天使のしっぽChu!」は、2003年3月から4月まで放送されたテレビアニメ。

 前作「天使のしっぽ」の続編である。

 

 今回は前作と放送スタイルが異なり、1話30分スタイルではなく、1話12、13分でお届する形に変更となっている。

 ちょっと毛色の近いアニメのシスプリでも、一期から二期で今作と同じような放送形態の変化が見られたと記憶している。

 

天使のしっぽChu! 優しい愛の羽

 

 前作の最後から一年後の世界が描かれる。

 一年もあれば年頃の女子は心身共に結構成長するもの。そんなわけで、ヒロインズには、内面、外見共に変わっている点も見られる。

 

 ヒロインが出揃った状態から始まる二期なので、いきなり12人ヒロインとご対面になる。これは華があって景気の良いスタートだ。

 

 よりファミリー感が見える作りになっていて楽しい。

 皆の主様の悟郎は、前作ラストで見つけた進路を歩み、今では獣医のインターンをしている。

 主様の生活を支えるため、自分達でも自立するためということで、12人のヒロイン達もそれぞれが学校に行くようになったり、家事を頑張ったり、仕事をしたりしてリアル生活を送るようになっている。

 一期だとまんまファンタジック感が見えるばかりだったヒロイン達のリアルな生活が見えるようになった。ミカがバイトに出て、次の日の朝には疲れた顔で起きてくるシーンに、働く女性のリアルが見えたりして面白い。

 

 守護天使にはランクがあり、皆それぞれ学びを得て昇級している点にも一年分の成長が見られた。

 女神様が引退したことで、ヘビのユキが次代の女神様にまで昇格する物語も見れた。

 

 主従の関係を越えて主様を愛すことは、守護天使界のタブーとなっている。

 皆に厳しい女神様の正体はツルの転生者だった。そして前世では悟郎の父親に助けられて恋をしていた。

 女神様自らが、タブーを破ってまで30年越しの想いを悟郎の父にぶつけたエピソードは美しかった。ええやん。

 バレたら具合が悪いので、鶴の恩返しの事は息子と嫁には言わないでと他の守護天使に口止めする悟郎の親父がちょっと可愛い。

 

 カメのアユミは、その後も四聖獣のシン様と文通をしたりして関係を続けているようだ。よその男に首ったけな守護天使ってのもちょっと複雑。

 川澄綾子の声で「シン様」と言うので、どうしてもクレヨンしんちゃんのあいちゃんを思い出してしまう。当時だと同時進行で双方を演じていたのではないだろうか。

 

 サザエさん式でなく、時間経過によるキャラの成長も描きたいという部分が濃く見えた。特にその点を描いたのは、サルのモモが大人の階段を上るエピソード。

 女の子の日を初めて迎えたことで大変動揺してしまうモモがいて、それを優しくケアするアカネがいる。このシーンにほっこりできる。そして家族の愛情が見えた。

 ちなみにモモを演じた平野綾、アカネを演じた千葉紗子は事務所の先輩後輩関係でもあるという。

 

 微妙にリアル性を持たせる展開が見えるのが印象的。

 リアルなツッコミをすれば、男一人で住んでいた狭いアパートに、追加で女が12人も住むようになるのは、いろいろおかしい。近所からもツッコまれるだろう。

 大家さんの娘さんが家にやって来て、そこの所にツッコミを入れてくれる展開が見られる。12人もいるけど、それぞれ借り主との関係性は何なのか?と深めに根っこを掘っての質問が続くのだが、皆してめっちゃ嘘をこいてピンチを凌ぐ。

 娘、嫁、前妻など、めちゃくちゃな設定で切り抜ける点にユーモアさがあった。しかも本人がいないところで、女達が勝手に設定を決めて大家さんに話しているし。

 

 もっと現実的なことを言えば、ひとり暮らし用のスペースに合わせて13人生活はきつい。ありえない。

 というわけで、途中からはもっと広々とスペースを使えるよう、他の階に引越すことになる。住まいの状況も変化していくこの感じに、更に濃いファミリー劇感が見えた。楽しそうでええやん。

 

 萌え萌えするだけでなく、獣医になろうという悟郎の進路に壁が立ちはだかるちょっとのシリアス展開もあった。最後はそれを越えてのサクセス展開が見える。

 ペットを助けてと少女に言われ、悟郎は助けると約束するが、命の都合と医療の限界の問題から、最終的にペットは助からない。悟郎に罪はなく、これは仕方のない事だけど、幼い少女にそこの都合はわからない。だから「嘘つき」と非難されてしまうのである。これはきつい。

 これを受け、悟郎は大変落ち込むのだ。これは獣医に限ったことではなく、広く救命を仕事にする医療従事者全てが一度はぶつかる壁なのかもしれない。

 

 多くの命を助ける。それによって動物も主様もハッピーになる。

 それが叶うよう人生を邁進する主人公の物語は清いものだった。

 

 やはりこちらの続編でも、前作同様言いたい事は、動物と仲良くしよっていうことなんだと思う。皆地球の仲間なんだから当然っしょ。良きメッセージ性の見える可愛い作品だった。

 

 結果としてはこのシリーズはここまで。3期はなかったわけだ。

 しかしDVDの特典映像を見ると、スタッフ側が愛と情熱をこめて一生懸命作っている事が伝わる。

 裏方のお偉いさんが登場し、コンテンツの発展性について色々考え、今後も盛り上げていこうということをたくさん喋っているのだ。声優も顔出しで出てくるし、お話を作る裏方も出てくるしで、こういうのって結構貴重だよな。

 雑誌の読者の意見も反映して楽しく作り込む良いコンテンツじゃないか。当時の世界を知らない私だが、特典のスタッフの喋りを聞くと、なんだか楽しそうだから仲間に入りたかったとも思える。

 

 まぁこういうコンテンツも数多あるから、長く続くものもあれば、見えたと思ったら流れてもうおしまいな流星的楽しみしか出来ないものもあったりする。そんなこんなで、オタク文化も常に栄枯盛衰、諸行無常ってことだよな。

 

 古き良き時代を盛り上げた良きコンテンツを楽しめて良かった。

 

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