こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

地球に眠りし3つの遺産で戦え「無敵王トライゼノン」

無敵王トライゼノン」は、2000年10月から2001年3月まで放送された全22話のテレビアニメ。

 

 やったことがないけどコレのゲームボーイソフトが我が家にある。

 キャラはスレイヤーズぽくて良い感じだし、タイトルの語感と出て来るロボがガオガイガーぽいことでもなんか良い感じがする。そんな事を思ってはいても長らく見ていなかったトライゼノンをこの度やっと見ることが出来た。やっと出会えたこの感じにちょっとだけグッとくるものがある。

 

 で、遂に視聴が叶ったトライゼノンだが、なんだかイメージとだいぶ違い、思った以上にアホなアニメだった。ざっくりアホなノリのアニメだが、設定とかロボデザなど、所々に光る良さもある。総合的に見ると好きなヤツだったかな。

 

 聴けば声までが若いあの日の福山潤が主役の神威章を演じてる。本日のベテランがこんな変なアニメでも経験値を稼いでいたのか~という名優の歴史も分かっちゃう。

 薄幸のヒロインのカナ役と主題歌は林原めぐみが担当。チョー、真田アサミ椎名へきる田村ゆかりなど、割と多めに登場するキャラクター達を演じる声優陣は豪華だ。

 

 ネタ要素が結構強めな作品であり、考え方によれば本来硬派寄りであるのがセオリーなロボットものに軽く喧嘩を売った内容でもあったと思う。そんなこんなで四捨五入すれば世間的評価はクソアニメに類するものなのかもしれない。まぁあくまでも私は好きだったけどね。

 そんな微妙な立ち位置の本作だが、TBS製作のアニメで初めてのデジタル製作だったという記念碑的立ち位置を占めた一作でもある。

 アニメもデジタルに移行する。新世紀に入ったくらいには、このようなターニングポイントを迎えたという当時の業界の都合も見えてくるものだ。そういえばこのくらいの時期にはデジメーションなんていう今だと使い古されたワードもあったとかなかったとか。

 

 従来アニメにとっては新要素だったデジタル感が随所に見られる。割とスムーズに動く作画の出来は悪くはない。特にロボが合体したり戦ったりのシーンは結構格好良い。

 デジタルに強い新鮮さを見る。そんな時代の作品だった。

 

無敵王トライゼノン

 

 アニメの内容は、地球を侵略しに来た謎の異星人勢力「ゼノパレス」を倒すために主人公達地球人戦士が戦うというものである。

 

 まずは北海道夕張市から物語がスタートする。後には下ってか上ってか、かなり遠い九州にまで行き、果てには宇宙をも目指すことになる。22話の中で割と移動に忙しい作品になっていた。

 

 北海道に住む貧乏一家の神威家の騒動をピックアップする導入から既に喧しい。アホ親父に嫌気がさした息子のアキラが、レトロな荷車で家出を始めるという波乱の幕開けを迎える。

 アニメの中では終始小競り合いを行うアキラと親父のギャグ展開は笑える。この二人の関係性には「うる星やつら」の竜之介とそのアホ親父と同じようなものを見た。

 

 主役のアキラだが、良く言えば熱血漢、他の言い方すれば思考することの少ないアホ少年である。とりあえずバトルに持って行きたがるアホさ、貧乏な身の上である上資源の少ない状態で戦いを行うことから飯にやたらガッツクなど、主人公にしては心の落ち着きがない。とにかく喧しい。これに振り回されるヒロインのカナが結構不憫。

 

 アキラや親父はじめ、テンションの高い奴らがワイワイするコメディ要素が全体的に強め。それでも本筋としては地球存亡をかけた大きな戦いを描いているわけで。このギャップがおかしいアニメだったな。

  

 大昔に地球に授けられた遺産である3つのロボと3つの戦艦を巡って主人公たちの物語が展開する。まるで三種の神器的アイテム集めを行う展開はアドベンチャー好きな少年心には楽しめるものだった。

 主人公機のトライゼノンは北海道の山を掘っていたら出てくる。息子がロボに乗って自分には何もないとダダをこねる親父が面白いけどうるさい。戦艦やロボと見れば見境なく占領、強奪に走る親父の暴走ぶりはアホ過ぎる。結果、自分達の戦艦「東雲」の艦長は犬になるとかネタ過ぎるな。

 坑夫として鍛えたオヤジのパワーは相当なもので、マスターアジアや衝撃のアルベルトのように、ロボは無しの生身単体でも敵のロボを破壊することが出来る。オヤジのパワフルさがギャグすぎる。喧しいこの親父のことがなんだかんだで好きだった。チョーの演技も愉快過ぎる。

 

 トライゼノンとは全くタイプの違うガイアゼノン、アルマゼノンの合計3体のロボで戦うことになる。3体揃う時には結構ワクワクした。こうして「~ゼノン」が続くと、丁度一年前に放送していたダイナゼノンを思い出すよな。

 3つの一族それぞれが古文書を持っていて、それぞれがそれぞれの遺産にたどり着き、最後は一つになって敵の本丸を討つ。仲間の力を集めて進むこの感じは好きだった。まぁその道中でだいぶおふざけが過ぎている気もするけど。

 

 アキラ達こっち側とデュラン達がいるあちらのゼノパレス側とでは、同じ戦場を描いても随分とテンションが異なる。こうも緩急をつけて敵味方の状況を描くのも珍しい。

 主人公サイドは基本ふざけている。戦争をしているアニメとは思えないバカ騒動が続く。神威家一家が揉めても、カナのママが圧倒的ママ感をもって騒ぎを制すといういつものファミリーコメディが楽しめる。カナの母親のキャラ性も良かった。

 

 敵サイドだとデュランには病気の妹がいる。そもそも向こうの勢力で内部抗争がある。政治的駆け引き、同僚を出し抜いての出世など軍人社会特有のピリリとした空気感も見える。などの結構シリアスな環境も見えてくる。

 ゼノパレス側にも戦う理由がはっきりとあり、使命感としては主人公達よりも強いものがあるかもしれない。

 こんな感じなのに、相手側は馬鹿騒ぎばかりで犬が艦長のチームと来ているからテンションの振り幅もすごい。

 

 ゼノパレスのキャラは、地球人サイドのキャラとは絵のタッチが異なっている。ゼノパレス陣営にはちょっとだけ銀河英雄伝説感も見える。こちらはアキラ達と違ってちゃんと軍人をしている。

 

 一番印象に残るエピソードは、神威家と北海道の人々との小競り合いを描いたものだった。トライゼノンが目覚めた序盤の話に、トライゼノンがいるから北海道は敵に攻め込まれた、だから出ていけと民が主人公達ファミリーに文句を言って来る。

 敵に対抗できる貴重な戦力であるからありがたい反面、それを狙って敵が集まるから迷惑でもあるという聞けば分かるけど結構酷くもある意見を民が言って来る。これと同じシーンが「ザンボット3」でもあったなぁ。荒いオマージュだったのかな。

 これを受けてアキラとアホ親父は申し訳ないと縮こまる余地なく早々にキレて北海道の民に応戦して出る。一般人とガチ喧嘩するヒーローを描くバカ展開がユニークだった。器が小さい神威家の男達は民のことを「許さん」と後々になっても怒っているのが面白い。このシーンは笑った。これについては、ザンボットファンに喧嘩を売っていると考える者がいるなら、それはそれで強く否定出来ない。

 

 2クールもので22話と微妙に短く、これまた微妙に半端な話数の変わり種ロボットものだったが、これはこれで良し。なんだかんだで愛せるアニメだった。

 喧しいのが嫌いな人には一生嫌われる作風だろうけど、この喧しさが一周回って心地良い。私と同じくこういった理解力を持つ者ならきっと楽しめる。そんな作品だった。

 

 ありがとうトライゼノン。家にあるゲームボーイのやつは持っているだけで多分一生やらないだろうけど、アニメはちゃんと見て好きになったぜ。 

 

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