こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

己の中に巣食う欲望の怪物を飼いならせ「Call Me トゥナイト」

「Call Me トゥナイト」は、1986年に発売されたOVA。大体50分くらいの作品である。

 

 とんでもなく古い謎のOVAを発見して視聴したところ、こいつがなかなかの曲者でカオスだった。これは結構なパンチが効いた異色作だった。

 

 作風としては青春ラブ、SF、そしてグロとエロが混合したものである。

 確かにアホっぽい設定ではあると思うが、なんだかんだで古今東西のオタクはこういうのが結構好き。現代のラノベなんかでもこんなネタがあれば受けるかなって思えるものだった。

 

 そんな本作の内容はこうだ。

 まずとある夜、コールセンターに一本の電話が入るところから物語は始まる。コールセンターと言っても、イケてるお姉ちゃん達が電話を取るいわゆるテレクラってやつっぽい。一生使ったことがない古の心の癒やしコンテンツだよな。

 で、そのテレクラに来たお悩み相談の内容が「自慰行為をしていたら体が変になる」というものだった。電話相手は若き青年。

 若さの盛りを迎えた元気な命なのだから、当然内部に溜まったアレを外部に向けて発散しなければならない。青年がそれをするのは分かるし、体が変になるってこともきっとあるだろう、とかいう軽い事を思ってテレクラ女はその男に会いに行く。

 するとこれが予想とは全く違ったもので、男は性的に興奮するとどういうわけかガチで体が変になる。興奮すると無駄に高い画力が光るグロい化け物へと変身してしまうのだ。

 

 なにそれ?ウケる!ってなる設定だった。 

 

「男は狼なのよ気をつけなさい」なんて言っているピンクレディーの歌があったが、興奮するとこの男はガチに化け物になる。よく言う男の性のあり方の例えが、例えでなくマジになっている。そんなギャグかと思いきや、変身の都度色んなデザインが飛び出すガチ化け物は気合が入った描き方になっているのでしっかり見てしまう。

 

 笑えるSF性が面白い。男は変身の都度服が破け、部屋の物が壊れるので困ってしまう。そしてテレクラの彼女はなんか面白がりつつもエロへの耐性をつけさせるべく彼に協力する。なんとも異質なラブコメをしている。これくらいの危険とスリルがある男女交際の方がアバンギャルドな女子にはウケるのかもしれない。この彼女もやり手だよな。あとこの彼女はJKなのにコールセンターのオーナーというとんでもない経歴を持っている。

 

 化け物になる変身能力がなければ爽やか男前の彼は女受けが良い。そんなわけで、中盤になると街のスケバンのボスに気に入られて性的に襲われる。ここは男と女が交わるセクシーシーンとなっている。結構攻めたところまで描いてくるのな。と言ってもなんとか肝心なところはぼかすくらいなので、別に18禁の要素があるとまでは行かない。

 

 スケバンと交わることで性的興奮がマックスになった男がまた化け物に変身してしまった時には、テレクラ彼女から愛の叱責が入る。自制心無きいくじなしのスケベ野郎的な事を言われた彼は、内なる化け物に打ち勝って正気を取り戻す。ここにはちょっとばかしの純愛もあり。

 

 最後にはなぜ人間の彼が化け物に変身するようになったのかのネタばらしがある。聞けば何それって感じの変身の種明かしだったな。

 宇宙を股にかけて世界中にいる生物をたくさん取り込むコレクターというヤツがいて、その異星人みたいなヤツが青年の体に入り込んだことで、コレクションした色んな生物のどれかに変身出来たって事が分かる。

 ウルトラマンと同化したからハヤタ隊員は格好良い光の使者に変身出来るわけであり、こちらの彼の場合はそれが化け物に置き換えられているので当然化け物にしか変身出来ないわけである。困った異種族との同化だったな。

 

 すったもんだの末に内なる化け物を追い出し、青年の悩みは解消される。そして迎えた不気味なオチは、コレクターがまた別の取りついて地球にいるというものだった。一旦の解決のすぐ後に次の恐怖が来るこの落とし方は、後味の悪いホラーものみたいじゃないか。

 

 ぶっ飛んだ変な設定のアニメだったが、キャラの作画が好きだったし、グロい化け物のデザインも良かった。この手の触手とかを伸ばすグロ化け物って結構好きなんだよな。

 メインヒロインを演じたのは玉川紗己子であり、こんな変わった作品が彼女の初主演作にもなっている。結構好きな声。

 彼女にとっては忘れない門出の一作となったことだろう。今でもコレに出たことを覚えているのかな。結構色っぽい芝居が出来る人だけど、今では風間くんのママ役だもんな。

 

 ごちゃ混ぜカオス展開の中でもこの作品が伝えている事は、性の怪物に翻弄されずに己をしっかり持てということなのだと思う。性との向き合い方において良い心がけを伝えている。

 作中人物のように、現実でも人間は性が絡めば理性無き化け物のようになってしまいがち。しかしラブにおいてそこのところの暴走はネックとなる。なので節度を弁えてあれこれを行おう。そんな考察が得られるエッチでグロくて楽しい青春もの、それが古のOVA「Call Me トゥナイト」だった。なんだかんだで良い作品。

 

 世の男性諸君よ、素敵なトゥナイトに女性にCall Meする際には、 しっかりとした紳士の心得を持って臨んで欲しい。

 

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