「メトロイドフュージョン」は、2003年2月14日に発売されたゲームボーイアドバンスソフト。
19年前のバレンタインデーに出たゲームを今更やっているのか。古っ!
箱付きソフトを用意したが、ジャケ絵はポップで格好良い。気持ち新しく見えるが、しっかりレトロゲームだな。
先日「メトロイドゼロミッション」を遊んだ流れで、同じくアドバンス版メトロイドシリーズのこちらも遊ぶことにした。
ゼロミッションは一作目のリメイクであり、フュージョンはナンバリングで言うと 4にあたる。ソフトを起動すればメトロイド4と表示される。2と3もお家にあるけどまだやっていないんだよな。ちょっぴり歴史が飛んではいるが、さしてプレイに問題はなく、これが初でも普通に楽しめる。
今回のメトロイドはジャケットを見ても毛色が違うと分かる。なんだかサムスが全体的に青っぽいのだ。通常スタイルだとオレンジと赤のカラーリングだが、今回はそうではない。
ゼロミッションのジャケットは赤が目立ち、フュージョンは青が目立つものになっている。アドバンスで出たニ作を並べると、まるでビートルズの2枚のベスト盤の赤盤、青盤のようだ。ニ作の箱を並べて飾ると更に映える。
今回からの新しい要素は、タイトルにもあるフュージョン。ドラゴンボールよろしく何かと何かが一つとなってこれまた別の何かになるあの現象がサムスにも見られるのだ。
今回扱う事件内容は、謎の生命体Xに迫るというもの。ヤツを追い詰め、ターミネイトするのが本筋となる。
本来Xはゲル状の体を持っている。そして他の生命体に取り憑きそれをコピーすることで自由に変身出来るのだ。何かをコピーして悪さをするというとんでもなく厄介な化け物だ。
見た目、能力共にポケモンのメタモン的なものだと思って問題ないだろう。
コピー能力を持つこんな化け物は他の生命にとって脅威である。そんな脅威が、我らがサムスにも迫るのだ。
現場での探索ミッション中、サムスはXの襲撃に合う。サムスの体に取り憑いたXはスーツ内まで侵食し、サムスをじわじわと犯すのだった。サムスは意識不明の重体に陥る。
侵食からの融合が始まり、サムスはスーツ姿を解除することが出来なくなる。スーツを着たままの状態で一部を切除することになる。そうして出来上がったのが、生命体Xの要素が入った今回の青いサムス。
酷い事になった一方で良い事もあった。Xとフュージョンしたことで、サムスもまたXを取り込む事が可能な特殊体質になったのだ。
今作では回復施設を頼らずとも、そこらのザコを倒して元の姿になったXを取り込むことで小回復が可能。一箇所で粘れば体力マックス回復も難しくはない。その分難易度も低めだと言えよう。
これでXに取り憑かれても重体に陥ることはない。サムスはただ一人Xへの耐性を持った戦士となった。
というわけで、Xだらけのバカデカくて危ない施設の探索ミッションに出かけるのだ。
無数のXに乗っ取られた状態の閉鎖空間の中、今回もサムスが大暴れする。
今回の舞台もだだっ広く、人気無しなので終始不気味だったな。
うむ、ゼロミッション以上に込み入ったSFチックな面倒が盛り込まれた設定になっている。
コピー能力を持った強敵という、どこかのSF映画にでもありそうな感じにワクワクする。
最初にXがサムスに取り憑いたという点が重要になって来る。それが作品の特筆できる点に繋がる。
なんとXは、サムスの能力と姿をコピーして登場するのだ。しかも最強装備状態でのスーツをコピーしている。対してこちらは都合上一部をパージして弱体化したニュースタイルで挑むことになる。
ダンジョンをうろつくコピーサムスの存在がとにかく怖い。
過去の自分に今日の自分が挑んでも全く歯が立たない状態になっている。これは悔しいが逃げるしかない。
ステージのどこかをうろつく自分のコピーに恐怖しながら進めるこの感じが怖くも楽しくて良かった。合図無しのいきなり出てくる事もあるので緊張感を持って進めないとすぐにゲームオーバーだ。
最初は丸腰に近い状態であり、こちらは少しずつ装備を蓄え、後半では自分のコピーに逆襲を仕掛けるという面白みがある。
二人のサムスが戦う事になる後半展開は燃える。
ゼロミッション以上に字幕での説明が多く、作品の世界観が掴みやすい。文字説明が増えたおかげで、何のためにどこに行けば良いのかも分かりやすくなっている。ギャルゲー愛好家ゆえ、テキスト読みには慣れている。もっと活字で攻めて来いってなくらいだ。そんな訳で、活字に弱いメトロイド好きにはおすすめ出来ない作品かもしれない。
テキスト説明があることで、ミッションにおいて迷子にならずスムーズに進める良さがある。とは言ってもメトロイドらしく隠し通路もいくつかあるので、少々の頭のひねりも必要。
ゼロミッションではどこまでも孤独で案内役も無しに進めることになったが、こちらではナビゲーションルームに入ることで音声ナビを受けることが出来る。少なくとも自分以外の声があることで、こんな人気の無い場所にもちょっとの安心感が持てるというもの。
コンピュータ音声による案内に、かつての上司アダムを思い出すことでやや感傷的になるサムスの心情が描かれている。彼女の内面や過去も分かり、ストーリー性も増している。
今回の冒険の相棒となるナビの存在はストーリーを盛り上げる要素となっていて良かった。
ラストミッション突入前のやり取りでナビとアダムの口調が重なり合う所にはグッと来るものがあった。アダムのスピリットは確かにそこにあったと分かる展開は胸アツ。
ラスボス戦では、形はどうあれコピーサムスと共闘している流れが見えた。コピーサムスとしては、ただ防衛本能で脅威を討とうとしただけなのかもしれない。しかし、こちらのピンチを助けてくれたように見える。真意はどうなのか分からないが、そこを予想するのも物語を追う楽しみとなった。
敵にやられてゲル状に戻ったコピーサムスとラストフュージョンすることで、サムスが元の姿に戻る流れは見事。ただ胸が熱い。
それまで敵対関係にあった者同士が、ピンチを乗り切るために共闘するという少年誌でありそうな熱い感じがすごく好き。悟空とピッコロがラディッツ打倒のために初めて共闘した時のような興奮がある。
こちらのメトロイドでも爆発カウントダウンの中での脱出ミッションがある。爆破脱出が好きなゲームだよな。数字が少なくなって行く事には焦るが、同時にスリルが楽しめる。
爆発まで時間がないのに宇宙船まで戻ったら無くなっていた事にはびっくりしたぜ。そこからラスボス戦に入るからな。ラスボスは制限時間内に片付けないといけないから忙しい。
サムスがミッションの途中で助けたダチョウと猿のモンスターが今回のMVPだな。宇宙船を一時的に発進させて敵から守ってくれたのが彼らだった。
なんだか後半のドラマ性には魅せられるなぁ。
基本的には「どこそこに行け」の指示の通りにマップをうろつくゲームだが、必要最低限での短いテキストドラマも合間に挟まれる。このテキストで進行するドラマ部分も見応えがあったぜ。良き世界観。
今作も面白かった。だいたい4時間半くらいでクリア出来た。
ボス戦の中には初見殺しではないかと思える物も少々あったが、そこはちょっとの学習で乗り越える事が出来るだろう。無理のない難易度で遊びやすく、こいつは良作と言って問題ないだろう。
未知との融合によって新しい魅力を掘り下げた意欲的な作品だった。こいつはやる価値あり。
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